現在のJリーグで、バルサに当たるのが横浜Fマリノスなのか、川崎フロンターレなのか、ヴィッセル神戸なのか、定かではないが、それぞれの観衆がどのタイミングで拍手を送るかにも目を凝らしたい。観衆の志向とクラブの志向が一致しているか。拍手はそれを知る物差しといってもいい。

 カンプノウのファンは言い方を変えれば、偉そうだ。その拍手はプレーに対する反応だ。批評的な要素を多分に含む応援である。先週末、Jリーグのスタンドに湧いた拍手もこのスタイルになる。受け身の応援だ。カンプノウに限らず、スペインのスタンドがほぼこのノリであるのに対し、プレミアのスタンドは激励型だ。観衆が選手に好プレーを促すために拍手を送る。もちろん、好プレーに対する拍手も湧くが、それ以上に、ハッパを掛けるための手段として用いられている。

 屋根に覆われたスクエアな密閉型スタジアムに、その拍手はよく反響する。送り主である正面スタンドやバックスタンドに座る観客の存在が、ゴール裏に陣取るサポーターの存在を上回る場合さえある。

 Jリーグのスタンドに話を戻せば、応援を送るのはゴール裏席に座る観衆がメインという、現在の姿を改めるいい機会だと思う。スタンドの随所から自然発生的に拍手が湧くスタジアム。これが理想的な姿だと思う。いまは拍手という応援文化を追究するチャンス。各チームがどんな拍手を送るか、注目したい。