ニキビができやすい人や肌の悩みを抱える人はご存知の通り、すべての人に効く万能な解決策は存在しません。しかし、腸内マイクロバイオーム(腸内細菌)に関する研究が進むにつれて、腸の健康とニキビの関連性が明らかに! その調査結果によると、自分に合う治療法を探すためには、食事の内容に目を向けるべきであるという。

そこで「Hearst Contents Hub」が、医師、栄養士、そして腸内マイクロバイオームの専門家に聞いた、腸の健康とニキビの関係についてご紹介。腸の健康を高めるために最適な食品も、今すぐCHECKして!

【INDEX】


腸の健康は、肌に影響を与えるの?
消化の問題とニキビの関係は?
腸の健康を改善してニキビを防ぐ方法って?

腸の健康は、肌に影響を与えるの?

皮膚と腸に生息する細菌の親密な関係は、「皮膚腸軸」と呼ばれている。「どちらも体を安定した状態に保ち、感染症をもたらす細菌の侵入から体を保護するための、重要な器官です」というのは、サプリメーカー「オプティバック」の腸内マイクロバイオーム(腸内細菌)の専門家である、アシュリン・ドワイアー博士。

「炎症性腸疾患などの胃腸の疾患を持つ人は、皮膚の問題も抱えているケースも多いです。これは、皮膚と腸の健康がいかに密接に関係しているかを示しています」

この関係は良い形でも悪い形でも作用し合うけれど、腸内マイクロバイオームは大事な調節機能を持つという。「腸内マイクロバイオームは、細菌の副産物、未消化のたんぱく質、毒素が血液循環に入り皮膚に到達するのを制限する、腸内のバリア機能を維持するのに役立ちます」と、健康食品メーカー「ビオカルト」の栄養療法士であるクレア・バーンズさんは語る。

食後に栄養素を通過させるために自然に開く腸内バリアは、正常な状態でも、腸内マイクロバイオームや食べ物の分子などが流れ出すので、腸内に生息する善玉菌と悪玉菌のバランスが乱れる(腸内毒素症)とより多くが流れ出ることになる。

そしてそのバリアが弱まり、より多くの腸内マイクロバイオーム、食べ物の分子、病原菌などが体内に流れ出る現象のことをリーキーガット症候群(腸管壁浸漏症候群)と呼ぶそうだ。ドワイアー博士はさらにこう説明する。

「腸内毒素症は、炎症性のあるサイトカイン(細胞から分泌される低分子のタンパク質)の分泌を引き起こし、ニキビの発症に繋がる可能性があります。腸の内層にもダメージを与えるため、細菌の副産物が腸から血流を通って皮膚に伝わる恐れも。それがニキビの原因となる細菌の増殖を可能にし、皮膚の健康にも影響を及ぼすのです」

また、腸内マイクロバイオームによって生成される副産物も、皮膚の細菌を変化させる可能性があるとバーンズさんは言う。

「健康な腸では、こういった副産物は皮膚に良い影響を与えることもあります。しかし、腸内毒素症やリーキーガット症候群になると、より多くの有害な副産物が血流に漏れ出し、アクネ菌などの有害な皮膚の細菌の過剰増殖を促進する可能性があります」

消化の問題とニキビの関係は?

ニキビ、酒さ(しゅさ/赤ら顔、ほてり)、乾癬(かんせん)を含む多くの炎症性皮膚疾患は、腸内マイクロバイオームの乱れに直接関連している。胃腸の不調がニキビのすべての原因である可能性は低いけれど、消化の問題は、ニキビがない人よりも、ある人に多く見られるとドワイアー博士。

ニキビが発生するのは、皮膚細胞が毛包(毛の根元にある袋状の部分)にたまり、排出されるはずの皮脂がブロックされるとき。そこで細菌が成長し、炎症反応を引き起こされるそう。バーンズさんによると、興味深いことに、体の免疫細胞の約70%は腸内に存在するという。

「体に良い働きをする微生物は、皮膚を含む体の免疫システムを制御するのに役立つと考えられています。一方で、有害な微生物は過剰な免疫反応を引き起こし、腸だけでなく体のほかの場所でも炎症が起こしてしまいます」

ロンドンにあるクリニック「ハーレー・ストリート」のスキンケアの専門家であるデイビッド ・ジャック先生は、腸の健康が肌荒れの原因であるかどうかを突き止めるには、試行錯誤が必要だという。

「ニキビがある場合は、プロバイオティクス(人の身体に良い影響を与える微生物)サプリメントを試したり、プレバイオティクス食品(善玉菌を増殖させる働きを持つ食品成分)の摂取量を増やしてみると良いでしょう」とデイビッド さん。

腸の健康を改善してニキビを防ぐ方法って?

腸内マイクロバイオームをベストな状態に保ち、腸の健康バランスを整えるには2つのアプローチがあるという。まずは、プロバイオティクスのサプリメントを試して善玉菌を増やすこと。「約300億CFU(コロニー形成単位)と、乳酸菌とビフィズス菌を含むサプリメントを探してください」とジャック博士。

次に、これらの善玉菌にプレバイオティクスを与えること。そうすることで、菌が繁栄し、増殖していくという。

「プレバイオティクスは、漬物、コンブチャ、ケフィア、発酵食品、生野菜(とくにチコリの根)、リーキ、玉ねぎ、エルサレムアーティチョーク(菊芋)、アスパラガス、生のにんにくなどに含まれます」

ただし、プレバイオティクスとプロバイオティクスを補うだけではまだ不十分だそうふ「カラフルな果物や野菜、健康的な脂肪、良質のたんぱく質を多く含む、ホールフードダイエットの食事を意識してください」とバーンズさんは説明する。

「ニキビの症状改善には低GI食品が効く場合もあるので、砂糖や添加物の多い食品や精製された炭水化物は避けるべきでしょう」

また、ビタミンCとE、オメガ3脂肪酸、レチノイド(ビタミンA)、亜鉛などの微量金属を含む抗酸化物質の多い食品を冷蔵庫にストックしておきましょう、とジャック博士はアドバイス。

「腸と肌はすべてが関係しているという広い視点を持って、肌トラブルが発生した時は食事全体を見直し、関連性を意識することが重要です」

栄養コンサルタントで、ロンドンのクリニック「アヴィセンナ・ウェルビーイング」の創設者であるサナ・カーンさんいわく、サーモン、さば、にしんなど脂がのった魚は、オメガ3脂肪酸の優れた供給源となり、皮膚炎の症状を抑えるのに重要な役割を果たすよう。ビーガンやベジタリアンの人は、くるみやフラックスシード、チアシード、大豆を取り入れると◎。

またスパイスについては、ターメリック、黒こしょう、しょうが、シナモン、クローブ、にんにく、カイエンペッパーなど抗炎症のものを選ぶのがオススメ。「抗酸化物質と抗炎症性化学物質をなるべく多く摂取するために、できるだけプラントベース(植物由来の食品を中心とした食事法)の食事をすることは良い方法でしょう」とジャック博士。

一方で、動物性製品(とくに乳製品)や脂肪や糖分が多い食品は、ニキビの原因になることが分かっている。ジャック博士いわく、高度なAGE(糖化最終生成物。タンパク質と糖が加熱されてできた物質のこと)を形成する原因になる場合も。

「糖は皮膚やほかの組織に存在する構造たんぱく質と結合します。これらは免疫システムを活性化し、炎症を引き起こすと考えられています。またフライやグリルなどで調理された食品は、一般的にAGEが高いため、蒸し焼きなどの調理法がより良いと考えられています」

これらの理論と並行して、乳製品を多く含む食事と高血糖負荷(糖負荷)のある食事が、より高い数値のインスリン(膵臓から分泌されるホルモンの一種)と、インスリン様成長因子1(IGF-1)をもたらすことが、研究で明らかに。そしてこれが、直接ニキビの悪化と関係している可能性も。思春期は成長ホルモンの増加によりIGF-1が上昇するので、ニキビを引き起こす原因の一つともいえる。

ビーガンダイエットで症状が改善する人もいるけれど、食事の内容を大きく変更する前に、健康上留意すべき点はほかにもたくさんあることを忘れないようにしたい。

ニキビが続けてできたり、症状が改善ぜず、新しい食事療法を試すなら、適切なスキンケア管理や医師のアドバイスのもと行うようにしよう!

※この翻訳は抄訳です。

Translation:Hearst Contents Hub