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デリカ注目度、最初はさほど高くなく?

text:Kenji Momota(桃田健史)

いかつい顔立ちと、ミニバンらしからぬ無骨なボディ形状が、このクルマの存在感を際立たせる。

しかも、心臓部には強靭なディーゼルエンジンを持つ。

三菱デリカD:5    三菱

デビューから13年間、基本的な構造を維持したままでも根強い人気を誇る、三菱「デリカD:5」。デリカは、三菱自動車がまだ三菱重工業自動車部だった時代の1960年代に誕生した、商業バンとトラックを起源とする。

D:5という、日本車としては極めて稀な表記で、ディーファイブと読ませる。4代目までの商業車デリカに次ぐ、5代目を示す。

いま(2020年)から15年前の、第39回東京モーターショー(一般公開:2005年10月21日〜11月6日)。当時、三菱ブースでメディアや来場者が最も注目していたのは、三菱レッドカラーの「コンセプトX」。

ランサーエボリューション最終バージョンとなる「エボX」の原型だ。三菱ブースの主役は明らかに、コンセプトXだった。

同時に発表されたのが、「デリカD:5コンセプト」。配布されたプレスリリースには、ワンボックスオフローダーと明記されていた。

同年、三菱はSUV初代「アウトランダー」を発売しており、デリカD:5コンセプトの想定エンジンはアウトランダー共通の直列4気筒2.4L MIVECガソリンエンジンだった。

デリカついにディーゼル専用モデルへ

2005年のコンセプトモデル登場時、2020年代入ってもデリカD:5が人気車であり続けるとは、誰も予想していなかったに違いない。

デリカD:5人気を下支えしているのは間違いなく、ディーゼルエンジンだ。

三菱デリカD:5    三菱

2007年に量産が開始されたデリカD:5は、コンセプトモデルと同じく2.4Lガソリンエンジンが主力で、FF向けに2Lガソリンエンジンも搭載。

だが、結果として、ワンボックスオフローダーを名乗るには、ガソリンエンジンでの運動性能が物足らなかった。

また、2Lガソリンでは、ミニバンで先行するトヨタ、ホンダ、日産に対して、はっきりとした商品性の差を打ち出せなかった。

そうした中、発売から6年が経った2013年、一般的な車種ならばフルモデルチェンジの時期だが、ここでディーゼルエンジンを投入した。

2012年に、マツダが満を持して独自の燃料理論で開発したスカイアクティブを導入。その第一弾として、新規設定のSUV「CX-5」を発売。

受注の主流が、ディーゼルエンジンのスカイアクティブDとなり、日本にクリーンディーゼル旋風が吹き始めた。

国からはEVなど電動車の他、クリーンディーゼルについてもユーザーへの購入補助金が設定された。

こうした時流も踏まえて、デリカD:5の2.2Lディーゼル化が決定されたと見るのが妥当だ。

デリカD:5、もう1つの追い風が

もう1つ、デリカD:5に追い風となったのが、アウトドアに対する新トレンドだ。

日本では80年代から、三菱「パジェロ」に代表されるRV(レクリエーショナル・ヴィークス)を使ったアウトドア志向が、ユーザーの中で定着してきた。

三菱デリカD:5    三菱

それが2010年代入り、女性向け登山ファッションにおける「山ガール」ブームや、「スノーピーク」などテント関連メーカーの多様な商品戦略などが活発化。

そうしたアウトドアの新領域でのアイテムの1つとして、クルマのオフローダー需要が増加した。

そこで、家族全員で乗れて室内空間が広くて、しかも走りがガッシリとして重厚なワンボックスオフローダーのデリカD:5を再評価する声が高まった。

再評価という観点のみならず、2000年代から2010年代中盤のデリカD:5の存在を知らない、または気にしていなかった新規ユーザーにとって、デリカD:5に対して、2007年デビューという古さを感じなかったのだと思う。

その上で、新規ユーザーが納得したのが、ディーゼルエンジンの力強さと燃費の良さだ。

三菱自動車によると、2019年度の発売総数1万6553台のうち、ディーゼル比率は91%に達した。

2019年2月、登場から12年ぶりのビックマイナーチェンジで、デリカD:5はディーゼル専用モデルとなり、2020年4月に三菱ウェブサイトからガソリン版の表示が消えた。

日産との連携 ディーゼルどうなる?

D:5搭載の2.2Lディーゼルは、SUVの「エクリプスクロス」でも2019年6月から採用した。

三菱自動車によると「ディーゼル投入以降は、ガソリン車の4WD比率が減少している。4WDの高い走破性、走行安定性を求めるお客様はディーゼルを選ぶ傾向がある」と分析している。

三菱デリカD:5    三菱

では、日本での乗用ディーゼルエンジン市場、今後の見立てについてはどうか?

「欧州では(2010年代半ばの独メーカーによる)排気ガス問題発覚以降、ディーゼルエンジンのシェアは落ちてきたが、日本では欧州の動向の影響は見られず、乗用ディーゼルの需要は安定的に推移すると考えている」との見解を示した。

その上で、ルノー日産三菱アライアンスを考えると、次期アウトランダーが次期エクストレイルとの部品共通化が大きくなることは確実で、そうなるとPHEV(プラグインハイブリッド)の採用がデリカD:5にも及ぶ可能性があるのだろうか?

これについて「電池等の電装品搭載が室内空間、荷室容量に与える影響を考えると、現段階では予定はない」と、ミニバンであるデリカD:5には現状ではPHEVは不向との解釈だ。

三菱自動車のコアユーザーを下支えする、クリーンディーゼルエンジン。

今後も継続的な改良、また新設計を大いに期待したい。