10年落ちの中古車にも価値がある!? 古いクルマが売れる理由

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10年落ちでも中古車販売店で買い取ってもらえる?

 一般的にクルマは、「10年10万キロ以上」の年数や走行をしているものは、査定時にあまり値段が付かないと思われがちです。

 しかし、こうした古いクルマでも値段を付けて買い取ってもらうことができます。なぜ、古くなったクルマでも条件良く売れることがあるといいます。それはどのような条件なのでしょうか。

人気や希少価値があるクルマは年式や走行距離に関わらず高額査定になる可能性もある

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 10年落ちのクルマについて、中古車販売店の担当者は、次のように話します。

――10年落ちのクルマでも売れるクルマの特徴を教えてください。

 どんなに年式が古くても、価値のあるクルマは存在します。例えば、ダイハツ「コペン」のように、趣味で楽しめるクルマや希少価値の高いものです。一方、グレードよって値段が高くなったり低くなったりするのは新車と同じです。

 希少価値が高く、純粋に珍しいクルマでない限りは、エンジンの金額で値段が付けられるケースが大半です。とくに、耐久性があり性能も良いことから、トヨタ系はエンジン単体での需要も高いです。

 こうした場合は、エンジンのみを部品として輸出することで利益を得ることができるため、型落ちした古いクルマであっても、ある程度の価格は付けられます。

――買取が難しいものはありますか。
 
 当然ですが、販売価格より修理価格が上回る場合は、値段を付けることができません。これは、事故現状車(事故を起こしたままの状態のクルマ)、故障などにより走行不能のクルマ、といった非常に状態が悪いものを指します。このようなクルマの場合、弊社では無料引き取りをおこない、廃車処理をすることになります。

 海外市場では、壊れにくく修理もしやすいことから、日本の中古車のニーズが非常に高いです。そのため、専門の輸出業者も多く存在し、部品単体での売買も盛んであることから、クルマとしては価値がなくても、部品単体で値段が付けられるのです。

※ ※ ※

 かつては約10年で寿命や交換時期を迎えるパーツが一定数存在していたことで、10年という一区切りでそのクルマの価値が変動していました。

 しかし、近年ではエンジンや足回り部品の耐久性がかつてより向上していることから、10年を経過しているクルマでも状態が良ければそれなりの査定額が付くといいます。

 前出の中古車販売店の話によると「年式が古くても走行距離が短い」といった付加価値があることで、査定額は変動するようです。

 実際に中古車販売店で数多く取り扱っているのは、製造より3年落ち、5年落ち、7年落ちのクルマのようです。これは、車検のタイミングで買い換える人が多いことから、車検のタイミングとなるこれらの年式のクルマの流通量が多くなるといいます。

 7年落ちであれば、走行距離も約7万km程度なので、クルマ自体に多少の価値を付けられます。しかし、9年目の車検に突入すると査定額もよりシビアに判断されるため、7年以内で買取をしてもらったほうが、ある程度の買取価格を期待できることが多いようです。

15年から20年以上の古いクルマは売れるのか?

 製造から15年以上経過したクルマは、年間走行距離を1万kmと考えると、15万kmを超えるケースが大半です。多くの場合、走行距離が15万km以上に達すると過走行とみなされ、日本の中古車市場では値段が付けにくくなるといわれます。

 前出した中古車販売店でも「走行距離15万km以下、年式15年落ち以下」を線引として、値段を付けていると話します。ただし、この線引については各販売店によっても大きく異なるようです。

 これについて、前出の中古車販売店の担当者は、次のように話します。

「15年から20年落ちのクルマは、修理の費用が大幅に掛かります。また、すでに製造ラインがストップしている可能性があることから、部品の調達が困難でそもそも修理できないケースも考えられます。

 そのため、よほどの希少車でない限りは、修理をしても販売することはできません。一般的なクルマの場合は、無料引き取りによって廃車処理がおこなわれることになります」

映画の影響もあり人気が高いトヨタ「スープラ(JZA80型)」

 では、希少価値の高いクルマとは、どういったものなのでしょうか。

「製造からおよそ25年経過した『ネオクラシックカー』と呼ばれる日本車は、買取価格が高くなりやすいとされています。この背景には、アメリカの輸入規制が大きく関係しています」

 アメリカの輸入関連法では、アメリカ国内で販売されていない日本車を輸入する場合、排ガス基準や安全基準テストをおこなっていないことから、中古車として輸入することが認められていません。

 しかし、製造から25年以上経過したクルマは「クラシックカー」という扱いになり、輸入が可能になります。そのため、日本国内の中古車市場で価値が付けられないクルマでも、車種によってはアメリカへの輸出が可能となるため、25年落ちでも買取が成立するのです。

 また、アメリカ以外でも1980年代から1990年代に登場した日産「スカイラインGT-R」などの国産スポーツカーやトヨタ「ハイエース」のような仕事から趣味まで幅広く活躍できる商用バンなどは、年式や走行距離の影響が少なく、比較的に高値で買取されるようです。