GIII七夕賞(福島・芝2000m)が7月12日に行なわれる。夏のシーズンは「荒れる重賞」が多いが、七夕賞はその代表的なレースのひとつと言える。

 過去10年の結果を振り返ってみても、10番人気以上の穴馬が3度も勝利を挙げているのだ。そのうち、11番人気のメドウラークが勝った2018年は、2着に4番人気のマイネルサージュ、3着に12番人気のパワーポケットが入って、3連単は256万3330円という超高配当をつけた。

 また、2015年にも2番人気のグランデッツァが勝利を飾りながら、8番人気のステラウインドが2着、最低人気(16番人気)のマデイラが3着に突っ込んできて、3連単は100万円超えの高額配当となった。

 ということで、今年も波乱が起こることを想定。過去10年の結果を参考にして、今回のレースで台頭しそうな伏兵馬を探し出してみたい。

 まず目についたのが、前走でGIレースに出走していた馬の激走だ。

 2010年に6番人気で2着となったアルコセニョーラ、2013年に7番人気で2着に入ったトレイルブレイザー、2019年に12番人気で3着入線を果たしたロードヴァンドールらがそうだ。いずれも、前走ではGI戦に出走。そこで、ふた桁着順の惨敗を喫していたため、人気にならなかったが、格下のGIII戦で底力を示した。


七夕賞で初の重賞制覇が期待されるジナンボー

 このパターンとして今回は、ジナンボー(牡5歳)が浮上する。

 同馬は前走、GI大阪杯(4月5日/阪神・芝2000m)に出走。勝ったラッキーライラックからコンマ5秒差の6着だった。

 その結果からすると、過去に例を挙げた馬たちよりも人気になるかもしれないが、直近のレースで結果を出してきた勢いのある馬や、福島巧者に注目が集まっており、戦前の評価は思ったほど高くはない。

 とすれば、馬券的な妙味は十分。GIレースで善戦してきた実力を、素直に信じてみてはどうだろうか。

 次にクローズアップしたいのは、これまでダートを主戦場としてきた軽ハンデの馬である。というのも近年、ダートから舞台を移してきた馬の健闘が目立っているからだ。

 いい例となるのは、2016年に11番人気で3着と好走したオリオンザジャパンと、2018年に12番人気で3着に入ったパワーポケットだ。

 前者は、2走前こそ、芝のオープン特別・メイS(8着。東京・芝1800m)に出走していたが、デビュー以来、ダート戦で奮闘してきた。おかげで、まったく人気はなかったが、初芝のメイSでも勝ち馬からコンマ5秒差と大きく負けておらず、前走のダートのオープン特別でもコンマ2秒差の4着と善戦。その状態のよさと軽量(斤量53kg)生かして、波乱を演出した。

 後者も、デビュー時からダートの舞台で戦ってきた馬。芝のレースも2回走っていたが、11着、8着とパッとしなかった。しかも、1600万下(現3勝クラス)の身で、七夕賞は格上挑戦だった。それゆえ、出走馬の中で最低人気となったが、50kgという軽ハンデが大きかったのか、あっと驚く激走を披露した。

 これらの例から、今年もダートを主戦場としてきた馬が狙い目になると思われたが、今回のメンバーにはそうした存在はいなかった。それでも、直近2戦でダート戦に挑んできた馬がいる。

 パッシングスルー(牝4歳)である。

 昨秋のGIII紫苑S(中山・芝2000m)を制した重賞馬で、その後はGI秋華賞(10着。京都・芝2000m)にも参戦している。しかし今春は、地方交流重賞のGIIエンプレス杯(3着。3月5日/川崎・ダート2100m)、GIIIマリーンC(9着。4月2日/船橋・ダート1600m)と、2戦続けてダート戦に出走してきた。

 そんな臨戦過程もあって、ここでは伏兵の域を出ないが、パッシングスルーはそもそも重賞馬。加えて、ダートを主流にしてきた馬たちの過去の活躍を鑑みれば、一発あっても不思議ではない。

 さて、七夕賞においては、穴馬パターンとして、ずば抜けて多いものがある。それは、オープン入り後、オープン以上の芝レースを2戦以上こなしている馬で、重賞やオープン特別での勝利がない人気薄馬の台頭だ。

 たとえば、2010年に11番人気で勝利を飾ったドモナラズ、2012年に14番人気で大金星を挙げたアスカクリチャン、2013年に14番人気で3着に入ったタガノエルシコ、2014年に10番人気で2着と好走したニューダイナスティ、2015年に16番人気で3着に入線したマデイラ、2018年に11番人気で勝ったメドウラーク、2019年に12番人気で3着となったロードヴァンドールらがそうだ。

 過去の例にも多いとおり、今回も候補となり得る馬が多数存在する。そこで、例に挙げた過去の穴馬を再度調べてみると、すべての馬が(レース当時)栗東の所属馬だったことはわかった。

 ということで、栗東所属馬に限定すると、候補は2頭に絞られた。ノーブルマーズ(牡7歳)、リュヌルージュ(牝5歳)である。

 2頭とも勝つまでには至らないが、重賞戦線で善戦を続けている。いろいろな要素がうまくかみ合えば、ここで重賞初制覇という可能性も大いにあり得る。2頭の大駆けに期待したい。 波乱が続出している七夕賞。できることなら、今年こそ高配当をゲットしたいところだ。その願い事を叶えてくる存在が、ここに挙げた馬の中にいるかもしれない。