「週刊文春」7月2日発売号が報じた、電通が幽霊法人トップに1000万円を“還流”していた疑惑をめぐって、電通が支払い契約の“隠蔽工作”を行っていた疑いがあることが、「週刊文春」の取材でわかった。今年6月、電通側から幽霊法人トップである赤池学氏に対し、支払い名目から「代表理事」の表記を外す旨を事後的に打診していた。

【画像】1000万円の支払いを裏付ける“請求書”

 電通の“トンネル法人”として批判を浴びた「サービスデザイン推進協議会(サ協)」と「環境共創イニシアチブ(SII)」。SIIの現・代表理事である赤池学氏は、サ協の代表理事も設立時から2年間務めていた。


SIIが入るビル

「電通は赤池氏とコンサル契約を結び、トンネル法人の代表理事としての報酬を『国プロジェクト事業開発アドバイザリーフィー』の名目で年間1000万円ほど肩代わりしていました。同氏がサ協の代表を降りてからも、SII代表理事に関して報酬を支払い続けています。今年4月には、電通は赤池氏側との契約の名目を『アドバイザリー』から『SII代表理事』へと一本化したようです」(電通関係者)

 その後、持続化給付金事業の再委託問題が報じられ、電通は対応に追われることになった。

「電通サイドは『リスク広報チーム』を作り、国会や関係省庁、マスコミに働きかけていました。サ協やSIIの代表理事についても無償と説明し、肩代わりの事実を隠していたのです。ただでさえ幽霊法人と批判を受けているのに、もし契約の存在が発覚すれば追及が強まることは明白。そこで、電通は赤池氏側に『4月まで遡って契約書を修正し、電通へのアドバイザリー名目だけに再変更したい』と打診したのです」(同前)

 実際に赤池氏と連絡を取ったのは、元電通社員でSIIの業務執行理事である田中哲史氏だったという。

「電通と赤池氏側との契約になっているにも関わらず、電通を退職している田中氏が、電通側の担当局長の指令を受けて動いたと聞いています。電通は、自らの手を汚さないかたちで隠蔽しようとしたのです」(同前)

 田中氏は、「週刊文春」の取材に事実関係を認めた。

「電通の局長より、代理として契約について(赤池氏に)連絡をいれて欲しい旨の電話依頼を受けました。組織改編に伴い社内手続きに行き違いがあったため、契約内容を前年通りに戻したいとのことでした」

 赤池氏、電通に質問状を送ったが回答はなかった。

 今回の電通が関係する民間委託事業を巡っては、想定問答メールなど隠蔽工作を疑われる動きが多発している。

 コロナ対策では、巨額の給付金や助成金が民間事業者を通して給付されるが、原資は国民の血税だけに、不透明な形で還流がないかなど、さらなる検証が求められることになりそうだ。

 7月9日(木)発売の「週刊文春」では、電通による隠蔽工作の詳細に加え、電通の“官公庁ビジネス”が成立した背景や、そのキーマンの存在についても詳報する。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年7月16日号)