【海外ドラマの流行を先取り!】映画監督、ハリウッドスターが愛読!?Variety誌が選ぶ2020年上半期ベストドラマ

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2020年も半分が過ぎ、今年も多くの新たなドラマがリリースされてきた。映画業界関係者をはじめ、映画監督やハリウッドスターに愛読されてきた米エンタメ誌Varietyは今年放送が始まった新作映像作品のなかから、おすすめ作品リストを公開している。そのうちドラマ作品に絞り、注目のシリーズ5点をご紹介したい。逆境をたくましく生き抜く女性たちの勇姿を通じ、明るくポジティブに気分を盛り上げてくれるドラマが揃っている。なお、かっこ内は現時点の日本での視聴状況を示している。

『Betty』(国内未配信)

はじめに紹介するのは、ニューヨークの街で生き生きと活動するスケートボード界の女性集団を描く米HBOのコメディ『Betty(原題)』。いつも陽気な少女・ジャネイは、一度好きなことを見つけるととことん没頭する性格。おとなしい親友のカートとともに少女たちだけのスケボーチームに出会い、その魅力に引き込まれてゆく。

何事にも真剣になれる10代特有の熱気が画面越しに伝わってくる小気味よい作品。サンダンス映画祭で披露され批評家たちからも好評を得た2018年全米公開映画『スケート・キッチン』のスピンオフとなり、出演する5人の少女たちも映画そのままのキャスティングだ。

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Check BETTY out on @hbo this spring. May 1st. We want to thank everyone who has kept by our sides in support through the years. Very excited to embark on this journey with you.

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彼女たちは本物のスケートボーダーであり、映画の撮影まで演技経験はほぼ皆無。8ヶ月間の特別なトレーニングを受け、かつてないほどの急速なスクリーン・デビューを達成した。公園を横切り、渋滞をすり抜け、ニューヨークの街をスケートボードで駆け抜ける彼女たち。生粋のスケートボーダーならではの軽やかな技と、一風変わった少女たちの友情の絆に心が躍る。5月にシーズン1の放送が始まり、6月に早くもシーズン2への更新が発表された注目作。

『フィール・グッド』(Netflixにて配信中)

続いて紹介する『フィール・グッド』もコメディ作品ではあるが、じわりと胸に訴えかけるヒューマン・ドラマの一面も併せ持つ作品だ。他人に打ち明けづらい悩みを抱えた女性同士の恋愛を通じて、より良い人生を生きようと必死にもがく若者たちの強さを描く。

スタンドアップ・コメディアンのメイは、出演していたコメディ・クラブの客席の片隅でジョージと出会う。二人は女性同士ながら急速にひかれ合い、互いを大切な人と感じる関係に。幸せな日々が始まるが、実はメイは薬物依存に悩まされていた。隠し事をしていたメイに不信感を隠しきれないジョージ。

メイはジョージに勧められるまま依存症の互助会に出席し、同じ悩みを持つ仲間たちと新たな信頼関係を築いていくも、今度はジョージとの同性愛の関係を仲間に打ち明けることができず、その秘密が重荷となってしまう。

主演のメイを演じるのは、コメディアンのメイ・マーティン。自身の経験をもとにシーズン1全6話の脚本を共同執筆した。万事が順調でないからこそ輝く人生を讃える、すべての人々への応援歌だ。

『Mrs. America』(国内未配信)

旧来のアメリカの憲法においては、雇用、財産、離婚などに関して男女間の権利に不平等が生じていた。これを修正したのが1972年の修正条項だ。歴史ドラマ『Mrs. America(原題)』では、この修正条項に反対の立場を貫いた女性運動家、フィリス・シュラフリーの生涯を振り返る。

女性の社会進出の権利を強化すべく、当時のアメリカでは修正条項を推す動きが活発に。しかしシュラフリーは、女性がこれまで通り家庭で主婦として過ごす権利が尊重されるべきだと訴え、一様に社会進出を是とする動きに疑問を投げかける。

1970年代の政界の変遷を追う米FX製作の本作では、キリスト教組織ながらロビー活動を展開し、保守的な立場から政治への関与を強めてゆく「モラル・マジョリティ」と呼ばれる団体の台頭にもフォーカス。9話のミニシリーズを通じて、現代の認識とは一味違う社会正義の形を描いている。

『My Brilliant Friend』『The Story of a New Name』(国内未配信)

『My Brilliant Friend(英題。原題はL'amica geniale )』は、イタリア南部に栄える1950年代のナポリを舞台にしたドラマで、欧米で大ブームを巻き起こしたイタリアの小説「リラとわたし」を原作としており、高齢期を迎えた主人公の幼少時代を振り返る追憶の旅路が始まる。

60歳となったエレナは、幼い頃から親友だったライラの失踪をきっかけに、彼女との懐かしい少女時代の追憶へと思いを馳せる。クラスの優等生だった二人だが、地元を陰で取り仕切る男のアジトを発見したことから、危険な冒険がスタート。生涯忘れ得ない二人の友情はここから始まった。

シーズン2となる『The Story of a New Name』では、別々の人生を歩む二人の運命が不思議な交差を見せる。切り立った崖の都市として知られるアマルフィでハネムーンを楽しむライラに対し、エレナは学業も恋人・アントニオとの仲も行き詰まり気味。ところがハネムーンから戻ったライラの身体に明らかなアザが見られたことから、エレナはライラに代わって彼女の夫への復讐を誓う。

『セルフメイドウーマン 〜マダム・C.J.ウォーカーの場合〜』(Netflixにて配信中)

『セルフメイドウーマン』は、貧しかった黒人女性が大富豪として成功するまでの軌跡を描く、ポジティブな気持ちにさせてくれるNetflixオリジナル作品。貧しい洗濯婦だった彼女が、自らのチャレンジ精神だけを武器にミリオネアにのし上がる。

来る日も来る日も洗濯物を洗って日銭を稼いでいたサラだが、ついにストレスから脱毛の症状が。ヘアクリームを試して髪の毛が蘇ったサラは自信を取り戻し、ヘアケア製品の販売で一旗上げようと試みる。黒人女性はセールスに向かないとたしなめられるが、前向きな彼女の野心が消えることはない。見る間に自前の工場を持つようになり、女性は実業家になれないとの侮辱の言葉をものともせず、前だけを見て快進撃を続けてゆく。

最低ラインの暮らしから抜け出そうと立ち上がり、打ちのめされてはまた起き上がるサラ。人生において無駄な努力などないのだと静かに鼓舞してくれるような、珠玉のリミテッド・シリーズだ。Netflixで配信中。

以上、今年放送が始まった新作ドラマまたは新シーズンのなかから、おすすめ作品5点をご紹介した。アメリカで公開されたばかりの新作ドラマのため日本未上陸の作品がまだまだ多いが、日本での配信が始まった際にはぜひチェックしてもらいたい。(海外ドラマNAVI)

Photo:『Betty』© 2020 Home Box Office, Inc. All Rights Reserved./『フィール・グッド』©Netflix/『Mrs. America』© 2020 FX Productions, LLC. All rights reserved./『My Brilliant Friend』公式Twitterより/『セルフメイドウーマン 〜マダム・C.J.ウォーカーの場合〜』 ©Amanda Matlovich/Netflix