パレスチナ自治区ヨルダン川西岸にあるユダヤ人入植地アリエル(2020年7月1日撮影)。(c) JACK GUEZ / AFP

写真拡大

【AFP=時事】イスラエルで不動産業を営むペリ・ベン・シニア(Perri Ben Senior)さんは、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)のユダヤ人入植地アリエル(Ariel)が、イスラエルに併合されることを心待ちにしている。自らの不動産会社にとって、目玉となるに違いないからだ。

 人口2万500人、大学やショッピングセンターもあるアリエルは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の支持を受けて進む、パレスチナ自治区にあるユダヤ人入植地のイスラエル併合計画の第1弾に含まれる可能性が高い。

 トランプ氏が1月に発表した中東和平案は、国際法上違法とみなされているユダヤ人入植地を含めた、ヨルダン川西岸の広範囲をイスラエルに併合するための支援を米国が約束する内容で、物議を醸した。

 ベン・シニアさんは自身の不動産会社で取材に応じ、イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相が、トランプ大統領の計画を前進させてくれることを期待していると語った。「需要が増えれば、マンションや土地の価格も上がるだろう」

 米国の和平案が発表され、併合計画がメディアの見出しを飾るようになって以降、不動産会社のヨルダン川西岸の物件販売が飛躍的に伸びている。

 アリエルにほど近いエリ(Eli)入植地で同じく不動産業を営むダニエル・ワッハ(Daniel Wach)さんはAFPに、「この2か月間で、過去数年分の取引があった」と語った。

■普通の場所

 イスラエルがヨルダン川西岸を併合した場合どの地域でも、現在の軍事法ではなくイスラエルの民法が適用される。

 ワッハさんはヨルダン川西岸を意味するイスラエル風の呼称を使い、「ユダヤ・サマリア(Judea and Samaria)地区に人が集まっているもう一つの理由は、今や普通のイスラエル市民とみなされるようになったから、普通の場所になったからだ」と話した。

■安い相場

 併合計画の詳細は不明だが、併合される土地が将来のパレスチナ国家の一部になることはないというのが大方の見方で、トランプ氏の計画でもそうなっている。

 パレスチナ国家の樹立を目指した1990年代のオスロ合意(Oslo Agreement)以降、ヨルダン川西岸のイスラエル人入植地の人口は3倍以上に増え、45万人に上っている。

 ヨルダン川西岸の入植地には、宗教的あるいは政治的な理由で家を構える人に加えて、イスラエルの不動産市場よりも大幅に安い相場に引き寄せられた多くのイスラエル人がいる。

 イスラエルとパレスチナの境界「グリーンライン(Green Line)」を挟んでヨルダン川西岸にあるアルフェイメナシェ(Alfei Menashe)入植地と、わずか約12キロしか離れていない場所に、クファルサバ(Kfar Saba)がある。

 ワッハさんによると、クファルサバでは敷地面積200平方メートルの全7部屋の集合住宅の価格は450万シェケル(約1億4000万円)前後だ。ところが、アルフェイメナシェへ行けば同様の条件の不動産価格はその約半額になるという。

「併合直後には価格が今よりも10〜15%上昇し、今から5、6年後、あるいは7年後には少なくとも30%程度上昇するだろう」

 先月、過去最高の売上高を記録したゼーブ・エプスタイン(Zeev Epstein)さんも、ワッハさんと同じく楽観する。「大きな市場になるだろうから準備し、懸命にこの機会をつかむ必要がある」

【翻訳編集】AFPBB News

■関連記事
イスラエルの併合計画に抗議、ガザ地区でデモ 国際社会も非難
西岸併合計画でイスラエルに警告、米は支持 安保理会合
トランプ大統領の中東和平案、世界の反応