『Nizi Project』でNiziUを見出したJ.Y.Park 歌手としての持ち味は“セクシー”

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最終更新日:2020.07.09

K-POPファン以外の関心も集めたグローバル・オーディション『Nizi Project』


正式デビュー前から9人組グローバル・ガールズグループ「」が話題だ。

【レビュー】NiziU「気付き」と「成長」をもたらせるJ.Y. Parkの名言で振り返るメンバー紹介

NiziUは、ソニーミュージックと2PMやTWICEらが所属する韓国の大手芸能事務所JYP Entertainmentの合同オーディション・プロジェクト『』から誕生した9人組グローバル・ガールズグループだ。

メンバーが確定し、6月30日にプレデビュー曲「Make you happy」のがYouTubeで公開されると、公開1日で1000万回再生を超えた。これは、日本人ガールズグループとしては異例のことである。

『Nizi Project』は、“世界で活躍できるガールズグループ”を発掘・育成することを掲げたグローバル・オーディション。「日本語でコミュニケーションが取れること」という条件付きで、昨年2月からスタートし、1万231人の応募者の中から厳しい選考を経て、最終候補者12人の中から選ばれた9人がNiziUとなった。

オーディションの模様はインターネットだけでなく、朝の地上波情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)で特集企画として定期的に放送されたこともあり、K-POPファン以外の関心をも集めた。

10代の女の子たちが努力し、夢に向かう姿は感動的だ。しかし、この『Nizi Project』が幅広い世代に支持されたのは、JYP Entertainmentの創立者であり、本オーディションの総合プロデューサーのJ.Y. Park氏の人間力によるところが大きい。「スッキリ」MCの加藤浩次からも「パークさん語録、日本で出しませんか?」という発言があったように、「才能が夢を叶えてくれるわけではありません。過程が結果をつくって、態度が成果を生むのです」など、氏の言葉や助言はとてもポジティブで、金言の宝庫だった。

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その語り口はSNSで「#JYPark構文」というタグができ、特に子育て世代が大きな反応を示したように、彼の言葉や態度は、大人たちにも感銘を与えた。また、南原清隆やおばたのお兄さんなどが彼のものまねをするなど、“わかりやすさ”も大きなポイントだったのだろう。

人を感動させる金言を生み出すJ.Y.Parkとは、どんな人物なのか?


J.Y.Park(韓国名パク・ジニョン)は、現在48歳。日本では2PMやTWICEを世界的に成功させたプロデューサーとして知られているが、未だ現役のダンス歌手であり、韓国では誰もが知っているヒットを何曲も飛ばしているリビングレジェンドアーティストである。『Nizi Project』の中でも、自身の毎日の節制やトレーニングに言及していたが、プロデューサーとして成功した今でも、1日でも長く現役でいるための努力を怠らない。

『Nizi Project』では“イイ人”全開だったJ.Y.Parkだが、アーティストとしての彼の持ち味は、“セクシー”だ。デビュー曲からスケスケ黒ビキニのビニールパンツ衣装を着用したり、ソロコンサートシリーズ『ナップン(悪い)パーティ』は、内容がセクシーすぎてチケットが19禁販売になっているほど。アーティストとしての彼を見ると、『Nizi Project』とのギャップに驚くかもしれない。

J.Y.Parkは1992年、「パク・ジニョンと新世代」というグループのメインボーカルとしてデビュー。しかしまったく売れずに、1994年にソロのR&B歌手として再デビューしたが、そのデビュー曲「Don't Leave Me」の衣装が、前述のビニールパンツというわけだ。

1997年には事務所から独立し、JYP Entertainmentの前身となる自身の事務所を設立。プロデュース活動も開始して、“国民グループ”といわれた男性アイドルグループgodを大ヒットさせた。2001年にJYP Entertainmentを設立すると、ピ(RAIN)を見出し、作家、プロデューサー、実業家としての成功を手に入れた。

韓国内で成功を収めたJ.Y.Parkは、アメリカへ進出。LAに居を移し、2004年にはメイスに「The Love You Need」を、2005年にはウィル・スミスに「I Wish I Made That」を提供するに至った。2007年まではアーティストとしての活動を中断し、作家、プロデューサーとしての地位を固めることに専念しており、日本でもAIに「Too Much feat. Rain」(2006年)、SMAPに「White Message」、「Still U」(2008年)などの楽曲を提供している。


韓国では、2007年にWonder Girlsをデビューさせると、シンプルなメロディと簡単に真似できる振付が大ウケし、デビュー曲「Tell Me」が爆発的なヒットを記録。その勢いに乗って2009年にWonder Girlsのアメリカデビューを仕掛け、米国デビュー曲「NOBODY」が韓国初、アジアでは50年ぶりに「ビルボードホット100」で76位にチャートインする快挙を達成した。

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日本では、2010年のK-POPブームの中、“野獣アイドル”2PMで進出。東京ドーム公演を行なうアーティストにまで成長させると、その後も2AM、Wonder Girls、GOT7、TWICE、DAY6、Stray Kidsなど所属アーティストを続々と日本デビューさせ、TWICEで大成功を収めたのは周知のとおり。


冒頭に挙げた『ナップンパーティ』は、2007年より年末に恒例として行われているが、昨年末は、これまで彼が作詞・作曲をした楽曲50曲を演奏する『パク・ジニョン NO.1 X 50』コンサートが開催された。開催発表時点で1位楽曲は54曲だったが、その記録は今も更新中だ。

ちなみに、プロデューサーとしては、J.Y.Park “The Asiansoul”という表記を使っており、プロデュース楽曲には、つぶやき声で「JYP」というサウンドロゴ(シグネーチャー)が入っている場合も多い。このサウンドロゴは2014年以来使っていなかったが、NiziUの「Make you happy」で久々に復活している。

J.Y.Parkの一貫したメッセージ「自分を特別だと信じて」


JYP Entertainmentは昨年、ITZY(イッチ)というガールズグループをデビューさせた。ITZYの楽曲テーマは、「私は私!」という自己肯定だ。J.Y.Parkも『Nizi Project』の中で候補生たちに「自分が特別だと信じて、特別だということを世界に証明してみせるという心構えが必要です」と述べていたが、「Make you happy」で「ハッピーにしてあげる」と歌っているNiziUはデビューの際に、どんなテーマで私たちをポジティブにしてくれるのかも楽しみだ。

今回話題になった日本の『Nizi Project』だけでなく、JYP Entertainmentは中国、タイ、アメリカで活動するグループの現地サバイバルオーディションを企画している。韓国から世界へ進出していたK-POPは、K-POPのセオリーで現地のアーティストを作り上げる時代に突入するのかもしれない。

もちろん、プロデューサーとしてのJ.Y.Parkの今後の活動からも目が離せないが、2016年にリリースした「Still Alive」では「レコードがカセットになって、カセットがCDになって、CDがダウンロードになっても俺はイケてる。10年で歌手、20年でスター、30年でレジェンドだけど、俺はまだまだやるぜ!」と歌っているように、プレイングマネージャーとしての活動は当面続きそう。いい人だけじゃない、アーティストとしてのJ.Y.Parkにも注目してほしい。
(坂本ゆかり)