TikTokが香港市場からの撤退を表明。米政府はTikTok含む中国製アプリの禁止検討も
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動画投稿アプリ「TikTok」が、中国の国家安全維持法の施行を受け、数日以内に香港での運営を停止し撤退すると発表しました。TikTokのスポークスマンは「最近の状況に照らし、われわれは香港でのTikTokアプリの運営を停止することに決めました」と述べています。

米国や西側諸国において、TikTokアプリは中国政府への情報共有が疑われています。これに対し、TikTokは中国当局との関係はなく、米国のユーザーデータは米国内に保管(バックアップはシンガポール)していると述べ、さらに中国政府から開示要請を受けてもそれに応じることはないと主張してきました。それでも米国では7月6日、ポンペオ国務長官が「TikTokを含む中国のソーシャルメディアアプリ」の禁止を検討していると発言しています。

国家安全維持法によって、香港では実質的に中国政府の意向に反する香港市民を逮捕拘束し中国へと引き渡せるようになりました。こうなると、TikTokにとっては赤字だったとされる香港市場での事業を継続するより、撤退を表明するほうが、改めて米国政府などに自社が中国当局の影響下にないことを示せるかもしれません。

一方、TikTokの親会社ByteDanceは、中国本土内ではTikTokと同様の機能を持つ別アプリ「抖音(Douyin:ドウイン)」を提供しています。もしかすると香港の混乱が落ち着いた頃には、このアプリが一般に宣伝されるようになっているのかもしれません。

ちなみに、TikTokを含む中国製アプリは米国だけで問題になっているわけではありません。インド政府は先週、TikTokを含む中国製アプリを「主権と誠実さへの脅威」をもたらすとして、その使用を禁止すると発表しました。ただしこれは6月15日に発生したインドと中国間の軍事衝突をきっかけとした措置とも言われています。

source:Axios
via:The Verge