アルプス山脈の一部にあるプレゼナ氷河で「ピンク色の雪」が見つかっています。この雪は気候変動の影響を示すものであるとされており、研究者たちが原因を調査しています。

Algae turns Italian Alps pink, prompting concerns over melting | World news | The Guardian

https://www.theguardian.com/world/2020/jul/06/algae-turns-italian-alps-pink-prompting-concerns-over-melting

Mysterious Emergence of Pink Ice in The Alps Could Have Dire Consequences

https://www.sciencealert.com/italy-s-alps-have-turned-pink-prompting-an-investigation-into-the-sudden-algal-bloom

イタリア国立研究評議会のビアジオ・ディマウロ氏は、イタリアのプレセナ氷河で観察された「ピンク色の雪」について調査した結果として、「グリーンランドのダークゾーンで発見されたものと同じ藻類が原因である可能性が高い」「藻類は危険なものではなく、中緯度の土地で春と夏の期間に多く発生する自然現象ですが、ポーランドなどの高緯度の土地でも見られるものです」と語っています。



「ピンク色の雪」の原因となったのは、「Ancylonema nordenskioeldii」と呼ばれる藻の一種です。この藻はグリーンランドでも確認されています。Ancylonema nordenskioeldiiが見つかったグリーンランドやプレゼナ氷河では、「雪が溶けている」という共通点があります。

通常、氷は太陽放射の80%以上を反射しますが、藻が出現すると反射率が低下してしまうため、より多くの熱を吸収してしまい、その結果雪が早く溶けることとなります。これが「ピンク色の雪」が発生した土地で雪が早く溶けている理由です。

氷がより早く溶けると、藻の成長に欠かせない水と空気を供給することとなり、より多くの藻が発生することとなります。これが標高2681メートルのパッソガビアにあるプレゼナ氷河でピンク色の雪が増殖するメカニズムです。



ディマウロ氏は「雪の色を暗くするものはすべて、放射熱の吸収を加速してしまうため、雪どけを加速させます」「我々は地球温暖化に対する人間以外の現象の影響を定量化しようとしています」と語っています。

なお、2017年に発表された研究論文では藻類を含む微生物の集まりが雪どけの6分の1以上に寄与したことが示唆されています。