勉強を効率化するにはどうすればいいのか。現役東大生の西岡壱誠さんは、「精神論で乗り切るのは限界がある。いまはスマホのアプリを活用するのがいい。おすすめのアプリが3つある」という――。

■テクノロジーとの向き合い方

「スマホは、仕事や勉強をする上で必要ない! 悪影響だ!」
「スマホがあると集中力がそがれてしまう」

三田紀房 『ドラゴン桜2』(講談社)

そんな風にお考えの人は多いかもしれません。しかし、実はそれはもう、古い考えです。

今やスマホを使って自分の仕事の進捗管理を行ったり、AIが自動生成した問題を解いたり、テクノロジーの力を使って仕事も勉強も効率化できる可能性が高いのです。

今日は、「テクノロジーとの向き合い方」と「自分の努力を継続的・効率的にしてくれるスマホアプリ3選」を紹介したいと思います。

具体的なアプリを紹介する前に、私が原作にかかわっているマンガ『ドラゴン桜2』の10巻から、「テクノロジーとの向き合い方」についてのエピソードをご覧ください。

画像=『ドラゴン桜2』(以下すべて同じ)

■「精神論」は何も意味がない

テクノロジーの力を頼ることで、なりたい自分になる……。

言ってしまえばこれは、「精神論ではなく、仕組みによって自分を変える」ということに他なりません。例えばなかなか勉強が手につかない、という人が「勉強のモチベーションが上がる本」をたくさん読んで、「勉強のモチベーションが上がるYouTube動画」を毎日観まくったとして、効果があるでしょうか?

少しはあるかもしれませんが、根本的な解決にはなっていないですよね。それよりは、多くの人が勉強している自習室に毎日行くことを習慣化するとか、そういう行為の方がよっぽど効果があるはずです。

三日坊主になってしまう人が、三日坊主なのをやめるために精神論に頼っても、なんの意味もないのです。三日坊主を防止できるようなアプリや仕組みを使う方がいい。「自分で自分を変えようとする」のではなく、モノに頼った方が建設的なのです。

そして今の時代、頼った時に効果的な「モノ」はたくさん存在しています。スマホアプリも日進月歩で、非常にいろんなアプリケーションが作られていて、どれも使えば自分の仕事の効率を上げてくれるものばかりです。経費精算をやってくれるアプリもありますし、名刺の情報をデータ化してくれるアプリもあります。声を録音しておけば文字起こしをしてくれるアプリもありますし、写真で計算式を撮ると勝手に計算してくれるアプリだって存在しています。

今までの苦労がなんだったんだ、と思えるほど素晴らしいものがたくさんあって、それに実は多くの人は気付けていないだけかもしれないのです。

さて、今日はそんな中から、東大生が使っている仕事や勉強の進捗が向上するアプリを3つ紹介します。

■リマインダーでタスクの言語化を

1.リマインダー

実は初期設定で多くのスマホにも入っているアプリでありながら、効果的に使っている人が少ない印象があるのが、このリマインダーです。

みなさんは、物事を忘れにくいタイプでしょうか? いろんな仕事をしている中で、忘れてしまうことも多いのではないでしょうか? 僕もまさにそんなタイプで、「あ! これやろうと思ってたのに!」とか、他の人に「西岡さんまだですか?」と言われて「そうでした!! やります!!」となることが多いです。

そういう時にオススメなのが、リマインダーです。自分のやることや、やらなければならないこと、やろうと思っていたことを全部ここに入力して、未来の自分に通知するようにするのです。解決するまで何度も通知が来るように設定すれば、絶対に忘れることはありません。要は、他の人に「西岡さんまだですか?」と言われるのを自分の中でシステム化してしまうということです。

これがオススメな理由はもう1つあります。それは「自分の中で、タスクが言語化できる」ということです。「何をやるか」が不確かな状態だと、なかなか取り組むこともできません。例えば「なんかちょっと数学の勉強しておきたいんだよな」「部下とコミュニケーション取っておきたいな」とか考えても、具体性がないと行動にまで移せないですよね。しかしリマインダーで何かを打とうとする時には「なんとなく」ではなくなることが多いです。

「数学のこの本を読む」とか「部下にLINEで声をかけておく」とか、そういう具体性が伴う場合が多くなります。言葉にするから、「なんとなく」を消すことができるのです。リマインダーはすごく使い勝手のいい機能ですし、いろんなリマインドアプリがあります。僕は初期設定のアプリを使っていますが、みなさんはいろいろ新しいものも試して、自分に合ったものを探してみるといいと思います。

2.写真・アルバム

皆さんは、スマホで撮った写真をどう利用していますか? 実はスマホのアルバム機能は非常に使い勝手が良いのです。東大生は、受験生時代から「できなかった問題アルバム」を作っている人が多く、問題集や試験などでできなかった問題を写真で撮り、アルバム化し、それを後から振り返って勉強する習慣を持っています。そしてこれを応用して、「覚えておきたい実用書の一節」や「後から見直したいTwitterの投稿」などを写真・スクリーンショットで撮ってアルバム化しています。

覚えたいものを覚えるには、やはり復習が一番手っ取り早いです。何度も何度も見直すことで、忘れたくないことを忘れないようになっていきます。だからこそ、そういった「覚えたいもの」を集めておき、こまめに見られる状態にしておくのは有効なのです。

スマホであれば、お風呂に入っている時に復習することも、電車に乗っている間に確認し直すこともできます。さらに、「本当に覚えたいこと」「忘れてはならないこと」をホーム画面に設定することで、スマホを見る時に必ず目に入るようにするという方法もあります。これならどんなにものぐさな人でも、スマホをいじるたびに確認することができるというわけです。

■同じ目標を持つ人同士で励まし合える

3.みんチャレ

上記2つはスマホに最初から入っているアプリですが、3つ目の「みんチャレ」は、A10 Labという企業が提供している「5人1組で続ける習慣化アプリ」です。私が原作にかかわっているマンガ『ドラゴン桜2』でも紹介しています。

西岡壱誠『東大式スマホ勉強術』(文藝春秋)

勉強・仕事・ダイエット・スポーツの練習……多くのことは、自分一人でやるとどうしても三日坊主になってしまいがちです。誰も見ていないと、簡単に止めることができてしまうのです。他の人を巻き込んで「一緒にやろう!」とやっておけば、簡単に止めることもありません。努力した時に「おお! 継続してできていて偉い!」と褒められて、「お前今日やってないのか?」と人から言われるというストッパーがあれば継続できるけど、それがないとなかなか継続が難しいのです。

その中で、このみんチャレは「偉い!」と「どうした?」の声掛けをしてくれるアプリです。このアプリをインストールすると、「ダイエット」とか「勉強」とか「本を読む」とかそう言った目的を同じくする人たちのための部屋があって、そこに入ることになります。何人もの人が同じ部屋の中に集まり、その目的をおのおのが実行していきます。継続したらその証拠となる写真をアップして、その部屋の人が「すごい!」と褒め合う、ということが行われます。一人でやっている場合でも何人もの人と一緒にやっているのと同じように努力を継続することができるというわけです。「今日は2時間勉強継続できた!」「すごい!」というような会話がいろんな部屋で行われるのです。

こうして、リアルの場で自分の周りにその目的を達成したいと思っている人がいなかったとしても、「声掛け」による三日坊主の防止が可能になるというわけです。

■お風呂でも電車でも復習ができる

リマインダーもみんチャレも写真アルバムも、精神論で解決するのではなくシステムで解決することができるという点で、非常に優れたアプリであると感じますね。

今までは気合で乗り切ることを美学とする風潮が、今後はいろんなテクノロジーを活用することを良しとする空気に変わっていくのだと思います。その波に乗るためには、いろんなアプリをどんどん試していく「アップデート」の作業が必要不可欠だと言えます。みなさんもぜひ、インストールしてみてはいかがでしょうか?

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西岡 壱誠(にしおか・いっせい)
東京大学4年生
1996年生まれ。偏差値35の無名校から東大を目指すものの、2年連続で不合格に。二浪中、独自のスマホ勉強術を駆使して東大合格を果たす。自身のノウハウを全国の高校生に教える傍ら、人気漫画『ドラゴン桜2』(講談社)に情報提供を行う「ドラゴン桜2 東大生チーム『東龍門』」のプロジェクトリーダーも務める。『東大式スマホ勉強術』(文藝春秋)など著書多数。
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(東京大学4年生 西岡 壱誠)