相場展望7月6日号 米雇用統計で7/2、+450ドル超上昇⇒+92高と失速 雇用統計改善するもコロナ再感染拡大懸念が強まる
・決算発表(4〜6月)を控え様子見姿勢強まりそう
■I.米国株式市場
●1.米雇用統計の6月非農業部門雇用者数と失業率は予想より好転
1)雇用者数は1939年以降で過去最多の+480万人増(予想+323万人)【前回は】相場展望6月29日号 IMFが株式・債券の再暴落を警告 (新型コロナ再拡大で、実体経済との乖離拡がる)
2)失業率11.1%(予想12.5%)、前月の3月13.3%からやや改善。雇用の悪化に底打ち感が強まった。
●2.米ダウは7月2日、雇用統計で一時+450ドル超の上昇 ⇒ 終値+92ドル小幅高に失速
1)雇用統計で、失業率が改善したことから景気回復への期待が強まり、買い注文が先行。2)だが、新規感染者数は5万人超と過去最多を更新し、新型コロナ感染再拡大への懸念もあり、先行き景気に対する警戒感も強く、伸び悩んだ。
3)参考:前月雇用統計発表時の米ダウは6/5に+829ドル高、6/6に+461ドル高だった。
4)IT関連銘柄の多いナスダック指数は、4日連続値上がりし、2日続けて最高値更新した。
●3.4〜6月期の決算見通しは前年同期比減益、通期見通しの撤回や下方修正もあり決算動向に注目
1)7月2日時点のSP500企業の1株当たり利益見通しは、前年同期比▲24.9%で、3四半期連続の減益が見込まれる。2)6月の雇用統計は改善したが、失業保険継続受給者数は1,929万人と予想1,900万人を上回り、雇用改善の遅れを示唆している。
3)また、新型コロナ感染再拡大に伴う経済活動の再開停止や規制の再導入を始める州も出ており、雇用の改善には時間がかかるとみられる。
4)7月中旬から始まる4〜6月期の決算発表で、企業に景況感の変化に関心が集まる見込み。
●4.米連邦議会予算事務局(CBO)のGDP見通し、2020年▲5.9%(前回▲5.6%)と低下
●5.大統領選挙・民主党候補のバイデン氏が認知症と有権者38%が思う
1)米世論調査機関大手のラスムセン社が6月29日調査の発表で判明した。米国のメディアの多くが「驚きの世論調査結果」として報道した。2)民主党バイデン陣営に衝撃走る。
3)バイデン氏の失言やミスの事例。 ・コロナウイルスで米国は1億2,000万人が死んだ。 ⇒ その時点の死者数は12万人 ・ここノースカロライナ州では・・・ ⇒ バージニア州に居る時に ・オハイオ州とアイオワ州を言い間違い
続いて、「中国株式市場」「日本株式市場」の分析、「注目銘柄」へ
■II.中国株式市場
●1.香港の地位低下
1)『香港の自由が失われる』のを恐れて資本が逃避 ・2018年1月に最高値33,000台に乗せた香港ハンセン株価指数は、今年7月には25,000台まで下がっている。 ・香港ドルの対円相場も、2015年8月には1香港ドル=16円から、今年7月には13円台にまで下がっている。 ・シンガポールの金融機関の外貨預金は前年同期比約4倍の約2兆900億円に膨れ上がっている。非居住者の預金も前年同期比+44%増の約4兆7,900億円に増加した。2)香港の国内総生産(GDP)は相対的に低下 ・英国から中国に返還された時点の香港は中国のGDPの20%近くを占めたが、今や香港の経済規模は2.7%に過ぎない。
3)香港国家安全維持法 ・同法の内容 (1)香港の自治を主張すれば、『国家分裂』を画策したことになる。 (2)共産党独裁の体制に異を唱えれば、『政権転覆』を図ったことになる。 (3)デモで抗議すれば、『テロ活動』を行ったとみなされる。 (4)外国のメディアや政府機関と関われば、外国との結託・通牒で『国家反逆罪』になる可能性がある。 ・対象を、外国人の香港以外での行為も対象としている。 ・よって、中国外から香港民主派応援や中国共産党を批判する言動も同法に抵触する恐れがあり、「香港や中国本土を『外国人が訪れた際に逮捕』される可能性がある」と香港紙・明報は報じた。 ・海外から香港や台湾の独立を主張する勢力や、中国への制裁を強める米国に対する『警告』の意味合いも強くあるとみられる。 ・国家安全法は、国家分裂や政権転覆、外国勢力と結託して国も安全を危うくする行為などを禁じているが、『違法行為の内容については幅広い解釈』が可能だ。7月1日のデモで逮捕された人は、ささいな行動を問題視された。
4)香港の国際金融センターとしての地位に影響する。 ・中国本土の金融政策を批判したビジネス関係者が香港に立ち寄った際、摘発される可能性がある。
●2.米国の国家安全の脅威に認定されたファーウェイとZTE
1)理由は、(1)両社は中国共産党や軍事組織と密接な関係があり、(2)中国の諜報機関との協力を義務付ける中国の法律の支配下にある。●3.中国とインドが一触即発! 両軍撤退合意も、中国側は約束を反故に突如攻撃!
1)紛争の先に「チベット独立」の可能性も。2)インドは、対中国関係悪化を受けロシア製戦闘機33機購入を承認した。
●4.米国のチベット対応
1)米下院は2020年1月、チベット自治区での人権弾圧を批判し、人権や宗教の自由を擁護する「チベット人権法案」を可決している。2)共和党のスコット・ペリー下院議員は5月、チベット自治区を独立国として認める法案を議会に提出した。
●5.ボルトン氏、「台湾の国家承認」を米国に促す
●6.中国が南シナ海の西沙諸島(パラセル諸島)で軍事演習、米国防総省が懸念表明
1)同区域は、中国・ベトナム・台湾が領有権を主張する。●7.日本に対しても中国は強硬姿勢
1)中国外務省は、『習氏の訪日は調整せず』と発言。2)尖閣諸島に中国艦船が侵入するのは7月5日で83日連続し、この海域で日本漁船に接近するなど、中国の実効支配をアピール。中国の艦船には機関砲を装備。
3)中国外務省は、中国海警局の艦船による沖縄県・尖閣諸島での日本領海侵入を巡り、日本が厳重抗議したことに対し、尖閣諸島は中国の固有の領土だとして、日本の抗議は「絶対に受け入れない」と主張した。
4)尖閣諸島の海域に中国艦船が現れたのは2019年だけでの282日。そのうち、162回も日本領海侵犯をしている。最近は、中国艦船に日本領海侵犯を警告しても、出ていかない。『中国は、本気で尖閣を乗っ取りにきている』という声が強まる。中国の領土拡大戦略で、沖縄の漁師たちが危険にさらされている。
■III.日本株式市場
●1.日銀短観:景況感リーマン・ショック以来11年ぶりの低水準
1)日銀が6月分について1万社に景況感を調査した結果を、7月1日発表した。2)代表的な指標である大企業・製造業の業況判断指数(DI)はマイナス34と、前回3月から▲26ポイントと落ち、落ち幅では2009年6月(マイナス48)以来の低い水準となった。 ・自動車が前回から55ポイント落ちマイナス72になり、1983年以降で最大だった。 ・宿泊・飲食サービスでは32ポイント悪化のマイナス91。 ・遊園地やゴルフ場などを含む対個人サービスが64ポイント悪化のマイナス70。 ・交通機関など運輸・郵便が36ポイント悪化のマイナス43。
3)新型コロナの影響長期化への不安を色濃く映す結果になった。
●2.日経平均株価の7月相場は弱含み
1)株主総会前の底堅さは、(1)自社株買 (2)配当を原資とした再投資 (3)ファンドの決算対策という好需給の要因があったということもある。2)株主総会後は、上記の好需給要因が消え、さらにファンドの売りも予想されるため、相場環境は弱くなりやすい。
●3.クレディ・スイス(Cスイス)は、リスク管理を見直し、ソフトバンクGとの取引部門も調査
1)Cスイスは、不正会計に揺れている中国のカフェチェーン瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー)と、ドイツのオンライン決済会社ワイヤーカードに絡む案件を手掛けたこともある。2)ソフトバンクGがワイヤーカードへの投資が利益相反の疑義があると英フィナンシャル・タイムズ(FT)が報道したが、Cスイスは否定している。(ブルームバーグ)
3)ワイヤーカードは破産申請した。金融詐欺との指摘もあり、金融バブル相場の特徴的な事案として、不透明感強まる恐れ。