寺尾氏が5月に購入した横浜市のマンション。「この物件は業者の転売物件でしたが、結果的には相場よりもかなり割安で買うことができました」

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 働き方から余暇の過ごし方までライフスタイルを一変させたコロナショック。投資環境にもさまざまな変化が起こりつつある。新型コロナウイルスの感染拡大により、市況が大きく変わるなか、我々はどう勝負していくべきか。明確なプランを描く大家を直撃した!

◆物件価格は下落傾向……狙い目は業者が投げ売る「損切り物件」

 ’04年から不動産投資を開始、現在の所有物件は165室。これまでに好不況を経験してきたベテラン大家である寺尾恵介氏は今後の展望を次のように読み説く。

「リーマンショックと比べて、コロナショックの影響範囲は広大なため、『家賃が払えない人』がかなり増えるはずです。特に高価格帯の賃貸物件の住民には高給を得ていた職業の方もいるでしょうし、その影響はかなり大きい。ただ、その一方で生活保護が制度破綻しない前提に立てば、都内近郊で家賃月5万〜6万円程度の手頃な価格帯の物件は空室のリスクが減り、大家目線で考えると物件運営も安定していく可能性が高いと見ています」

 ただし、賃貸経営を支える保証会社の淘汰は懸念点だと明かす。

「滞納保証会社の経営悪化が心配です。すでに北海道で自主廃業した業者もあります。滞納保証会社は現状、監督官庁や業法が存在しません。なので、悪意がある業者は逃げ得が許される。本来であれば有事のセーフティネットになるべき存在が正しく機能するか……モラルハザードがはびこらないことを祈ります。潰れる保証会社かどうかは財務内容をしっかり見る必要がありますが、上場していないと情報が乏しいので自分で調べられることにはどうしても限界があります」

◆先行き不透明だからこそファミリータイプ賃貸は安定

 関東を中心にファミリータイプの区分マンションを多く所有する寺尾氏だが、現時点でコロナの影響はかなり限定的とのこと。

「この先行き不透明な状況で、新たに35年ローンを組んでマイホームを買って引っ越す人はかなり減っているので、ファミリータイプの賃貸は安定が続いています。ただ、これまでは退去後には実需層へ販売することでキャピタルゲインを得ていましたが、そっちは期待薄。そもそも現地に物件を見にいく人がいないですし、コロナ禍で転勤がなくなったり、結婚すら延期になったりしている状況なので、このあたりは仕方ありません」

◆有事には格安物件が市場に出てくることも

 それでは歴戦の投資家が考える今後の勝ち筋はどこにあるのか。寺尾氏はタイミングを慎重に図ることの重要性を強調する。

「これからは融資がさらに厳しくなる可能性が高く、そうなれば物件を買える人はますます限られてきます。結果、物件価格が総じて下がることになるため、値下がりが起きたタイミングで一気に勝負をかけられるキャッシュを確保している人にとっては有利な展開といえます。実際、市場を見てみると高利回りの魅力的な物件が増えてきた印象です。ただ、不動産価格は遅効性があるので、焦って大切なキャッシュを投入せず、購入のタイミングはじっくりと図ることをおすすめします」

 そうは予想しつつも実は寺尾氏は今年5月も一物件、購入した。

「先月、横浜市戸塚区のファミリータイプの区分を買いました。業者が短期の高値転売を諦めた事実上の損切り物件。広さ60屬曚匹龍疥拜蠑譴ら考えると約3200万円と試算されるスペックの物件でしたが、2000万円で手に入れることができました」

◆「個人」だからこその強みを活かせ

 お値打ち物件が手に入った背景には業者と個人投資家の違いがある。

「プロである業者はノルマが常にあり、資金効率が落ちる『保有』はやりません。平時だと資金力や情報収集力に勝る業者に個人投資家が太刀打ちするのは難しいですが、有事にはこうした損切りのためにやむなく売られる物件も出てくるので、実は大きなチャンス。個人投資家がプロに勝るのは『長期保有できること』と『買いたいときだけ買うことができる点』。そこは最大限、活用して勝負をしていくべきです」

 焦らず戦略を練れば、有事こそ個人投資家の好機となりえるのだ。

●寺尾氏流 [有事の投資術]

・手頃な価格帯の物件は空室のリスクが減り比較的安定の見通し
・物件価格は下落が予想されるが遅効性があるため、焦りは禁物
・個人投資家の強みである「時間」を最大限活用して勝負

【寺尾恵介氏】不動産投資家
’73年、愛知県生まれ。住友海上火災保険富山支店在任時代に不動産投資に目覚め、大家を志す。現在の保有物件は165室、家賃年収は1億2000万円。著書に『フツーのサラリーマンですが、不動産投資の儲け方を教えてください! 』(ぱる出版)など

<取材・文/栗林 篤 藤村はるな>