アマゾンのフルフィルメントセンター(写真:ロイター/アフロ)


 アマゾン・ドット・コムは6月29日、物流施設や店舗など現場で働く従業員らに総額で5億ドル(約540億円)以上の臨時ボーナスを支給すると明らかにした。

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アマゾン、「現場で働き続けた人に謝意を示す」

 新型コロナウイルス感染拡大が続き、EC(電子商取引)需要が急増する中、現場で働き続けたスタッフに謝意を示すとしている。

 ボーナスの支給対象者は、6月(1〜30日)を通じて勤務した人で、金額はフルタイムが500ドル(約5万4000円)、パートタイムが250ドル(約2万7000円)。アマゾンの物流拠点と傘下の高級スーパー「ホールフーズ・マーケット」の従業員に加え、業務委託先の配達ドライバーも対象にする。

 また、店舗マネジャーなどのリーダー職には1000ドル(約10万8000円)を、配達業務請負業者の経営者には3000ドル(約32万3000円)を支給するという。

 アマゾンには、自家用車を持つ一般の人が専用アプリを介して急ぎ便商品を宅配するギグワーカー・プログラム「Amazon Flex」がある。これらの人も6月中に11時間以上働いていれば、150ドル(約1万6000円)を支給するとしている。

 (参考・関連記事)「誰でも配達人になれる『Amazon Flex』、米国で開始」

従業員、「危険手当を打ち切られた」と主張

 アマゾンは今年3月中旬、米国内の物流施設と配送業務で10万人を新規雇用すると発表した。それからわずか1カ月でこの募集枠は定員に到達。同社は北米の物流施設などで7万5000人を追加採用すると明らかにした。

 その後の同社の報告によると、この計17万5000人の募集は今年4月末までに完了した。そしてこの時、同社が導入したのが、これら新規採用者も対象にした一時的な賃上げだ。

 米国ではそれまで15ドル(約1620円)だった物流拠点と配送の最低時給を2ドル増やして17ドル(約1830円)とし、カナダや英国、欧州でも同様に引き上げた。また、米国とカナダでは倉庫従業員の時間外労働賃金を2倍にした。当初、時給の引き上げは4月30日まで、時間外労働賃金の引き上げは5月9日までとしていたが、いずれも5月30日まで延長した。これらに伴う費用増加額も当初の3億5000万ドル(約380億円)から約7億ドル(約750億円)に引き上げた。

 米ウォールストリート・ジャーナルによると、最終的にアマゾンは賃上げの費用として約8億ドル(約860億円)を支出したという。

 また、5月28日には、3月以降に臨時雇用した17万5000人の約7割に当たる12万5000人に正社員の機会を用意すると発表した。

 ただ、米CNBCによると、こうした措置を取ってもアマゾンの従業員は満足しなかったという。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、アマゾンは5月末で「危険手当」を打ち切ったと、従業員は捉えたという。

 これに対しアマゾンは、賃上げの目的は、急増するEC需要に対応するためだったが、今は物流の混乱が収まっていると説明した。

 ただ、それでもアマゾンの従業員は不満を募らせ、一部では署名活動が起きていた。今回の臨時ボーナスはこうした不満に対応するための措置だったようだ。

コロナ対策に4300億円

 「2020年4〜6月期は約40億ドル(約4300億円)の営業利益を見込んでいるが、同額かそれ以上を新型コロナウイルス対策に使うつもりだ」。同1〜3月期決算を発表した4月30日、アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)はこう述べた。

 アマゾンのウェブサイトによると、経費は、従業員の賃金増加分や、マスクの購入費用、施設の消毒・洗浄費用、新型コロナの検査設備・運用費用などに充てるようだ。物流施設ではソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)を励行しており、これによる業務効率低下に伴うコスト増加分もこの経費で賄うとしている。

 先ごろは、アマゾンが倉庫従業員を対象にした新型コロナウイルス検査態勢を拡充すると、CNBCが伝えた。これは、従業員自らがガイダンス動画の指示に従い、検体を採取するというもの。夏には数百万件実施する見通しで、大半の従業員が1週おきに受けられるようになるという。同社は検体検査のための施設をカリフォルニア州とケンタッキー州に設置する計画だという。

 (参考・関連記事)「アマゾン、あの手この手の「社会的距離」対策」

筆者:小久保 重信