いじめ、非正規雇用……現代人の苦悩を描いた歌集を映画化 (C)2020「滑走路」製作委員会

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 32歳で命を絶った“非正規歌人”萩原慎一郎氏による歌集を、水川あさみ主演で映画化する「滑走路」に、新たに坂井真紀、水橋研二、吉村界人、染谷将太、木下渓、池田優斗が出演していることがわかった。

 いじめや非正規雇用など、自らの経験をもとに短歌を発表し続けた歌人・萩原氏。「歌集 滑走路」のあとがきを入稿した翌月、32歳の若さで亡くなった。デビュー作にして遺作となった歌集は、困難の中にあっても生きる希望を歌い、苦悩を抱える人へのエールとして多くの共感を呼んだ。新聞やテレビなどで次々と取り上げられ、自費出版がメインとなる歌集の世界において、累計8刷、3万500部という異例のベストセラーを記録。大庭功睦監督がメガホンをとり、水川をはじめ、浅香航大、新人の寄川歌太が共演した。

 本作では、原作をモチーフにしたオリジナルストーリーが紡がれ、それぞれ悩みを抱えて生きる3人の人生が交錯する。30代後半に差し掛かり、将来への不安を抱える切り絵作家・翠(水川)。非正規雇用問題に向き合いながら、自らも過重労働に苛まれ仕事への理想を失っている厚生労働省の若手官僚・鷹野(浅香)。幼なじみをかばったことで、いじめの標的にされてしまう中学2年生の学級委員長(寄川)。いじめ、非正規雇用、過労、キャリア、自死、家族――現代で若い世代が抱える不安や葛藤、それでもなお希望を求めてもがき生きる姿を鮮烈に描き出す。

 新たに参戦が発表された坂井は、シングルマザーとして学級委員長を育てる母・陽子役。「一生懸命生きることは、楽しくて辛くて、喜んだり悔やんだり、止まったり進んだり。見てくださった方の手の上にそっと手を重ねられるような、あたたかい作品となって届けられたら嬉しいです」と願いをこめる。鷹野の同期・雨宮役を務める吉村は、「少し高飛車で表面的には強いサラリーマンにも見えますが、そんな人間が垣間見せる虚勢や、友達にしか本音を吐露することができない繊細さみたいなものが少しでも伝われば幸いです」と役どころを明かし、「卒なく生きている人間の隠れてる内側の部分が見え隠れしながら進んでいく作品だと感じています」と印象を語った。

 鷹野が自殺の原因を探る青年の元同僚・明智役の染谷は、「繊細で濃密な人間の闇と美しさを描ききった作品だと思っています。それを実現したのは大庭監督。監督は人としてとても繊細であり、そのうえ人を奥深くまで解釈しようとする器量がこの作品に現れていると思います。一筋縄では行かない人生と葛藤から生まれる人としての美しさ。皆様へピュアに届く事を祈っております」とコメントを寄せた。水橋が翠の夫で、高校の美術教師として働く拓己に扮したほか、木下が学級委員長のクラスメイト・天野、池田が幼なじみ・裕翔を演じた。

 「滑走路」は今秋に全国公開。