スマートである反面、使いにくいという意見も

 最近のクルマはあらゆる部分がシンプルでスマートだ。メーターまわりしかり、スイッチ類もその昔はアナログの物理キーがあちこちに付いていたが、最近ではタッチパネルとなって液晶画面に集約されていたりする。

 タッチパネルにすると、インパネまわりのデザインをスッキリとさせられるし、さまざまな機能を一箇所に集めやすい。しかし操作性でいうと、指先の状態によっては反応が鈍くてイライラさせられたり、手アカがペタペタと付いてみっともないということもある。要はスマホと同じ感じだ。

 物理キーであればカチカチとスイッチを押せばオンオフが確実だし、とてもわかりやすい。それでもタッチパネルが増えているのにはいくつかの理由がある。

車内のネットワーク化によりいまやスイッチは意味をなさない

 まずそのひとつが、今やスイッチはスイッチでないということ。変ないい方かもしれないが、簡単に言うと昔はバッテリーから電装品につながる配線の途中にスイッチを付けて切ったり、つないだりすることで作動させていた。それが今では車内はネットワーク化され、LANが張り巡らされている。

 そうなるとスイッチは信号を出すだけなので、物理キーの意味はなく、タッチパネルで十分ということになる。わかりやすい例がリーフなどが採用する「スマホの操作でどこからでもエアコンをオンにできる」というもの。スマホは信号を出すだけで、別にバッテリーからの電気を制御しているわけではない。車内のタッチパネルはつまり、このスマホのような機能ということだ。

 そしてもうひとつ。現在まだ物理的なスイッチも使い勝手や操作感を重視した部分には使われているが(こちらも信号を送っている)、ここまで静電気式のタッチが普及すると、コストはどんどんと下がってくるので、複数のスイッチをひとつのタッチパネルに集約したほうが安いということ。

 ユーザーの視点に立ったクルマ作りとはいえ、大量生産品を前提とした実用品だけに、コストは最重要項目だ。よほどのこだわりがない限りは採算度返しで、採用するということはない。この点でもひとつの機能に対して物理キーひとつというのはデメリットになるので、タッチパネル化が進むというわけだ。