photo via Pexels

写真拡大

 在宅勤務をはじめとする生活様式の変化は、企業における会議時間の短縮をもたらしている。対面に代わる電話やZoomなどのリモート会議が時間短縮に一役かっている。

◆実行に映らない見せかけの会議

 しかし、リモート会議はファシリテーションスキルを発揮しないと一方的な伝達になってしまい、合意形成ができない状態を生んでしまう。

 合意形成ができないと、会議で決定したはずなのに実行に移されないという見せかけの合意を頻出させてしまう。リモート状況のなかで実行度合の確認が甘くなれば、事態はさらに深刻だ。

◆都度都度の議論が混乱を招く

 一定時間内に合意形成するために最も効果のあるファシリテーションスキルが、4つの質問で合意形成する手法だ。

(1)「洗い上げ質問」で、異論や懸念を洗い上げ、

(2)「掘り下げ質問」で、出された異論や懸念を深刻な順に掘り下げ、

(3)「示唆質問」で前提を置いて方向性を示唆して合意形成し、

(4)「まとめの質問」で確認をする。

 洗い上げ質問で異論や懸念が10出ようと、20出ようと、これらの異論や懸念を掘り下げ質問で一番深刻なものから20番目に深刻なものまで、深刻な順に並び替えて、一番深刻なものから順に示唆質問、まとめの質問で合意形成していく。

 そうすると、深刻なものから3つの異論や懸念について合意形成した段階で、参加者にはこれ以上議論する必要がないという思いが浸透するのだ。逆に言えば、一定時間内に合意形成できない会議は、異論や懸念の洗い上げと掘り下げが不十分な会議なのだ。

 よくある会議では、進行役がよかれと思って、出された異論や懸念に対して出された順に、その都度議論を促す。出された異論や懸念は、20番目のものかもしれない、6番目のものかもしれない。ファシリテーションができていないこのような会議では、いくら時間があっても合意形成できない。

◆リモートでこそ時間内の合意を

 このように申し上げると、必ずといって出される質問に、「真理は200番目に深刻な意見に含まれているかもしれない」「エラーの原因は50番目に深刻な意見に求められるかもしれない」ので、異論や懸念の数だけ合意形成をする必要があるのではないかというものがある。

 サイエンスの真理の探究は、とことん実施すればよい。システムのエラーの解消は、徹底的に実施しなければならない。しかし、これらは合意形成のための会議で行うのではなく、科学者や技術者が十分にリソースをかけて実施すればよいのだ。

 真理の探究やエラーの解消を、合意形成の会議に持ち込むから会議が紛糾する。ビジネスディシジョンのための合意形成の会議は、参加者が実施してみようと思う程度に合意形成できていればよい。合意できていない、深刻度合が低い異論や懸念が残っているが、実行している間にその深刻度合が高まったら、次の会議で合意形成していけばよいだけのことなのだ。

 生活様式が変化し、在宅勤務の機会が増え、リモート会議の時間が明確に示されるようになった。この時間内で合意できることを合意して、実行に移す。実行してみて異論や懸念が出たら、次の機会に解消する。リモート会議でファシリテーションスキルを発揮することで、生活様式が変化してもなお、実践力を高めることができるのだ。

◆たった3回程度のプロセスで合意はできる

 質問:異論や懸念の数だけプロセスを繰り返さなければならないのか

 洗い上げ質問で異論や懸念が20出て、20の異論や懸念について深刻度順に掘り下げたとすれば、その後、20回示唆質問とまとめの質問のプロセスを繰り返さなければならないのでしょうか? それでは気の遠くなるような時間が必要になると思うのですが。