選手とともに汗を流すユン・ジョンファン監督。積極的にコミュニケーションもしている。(C)SOCCER DIGEST

写真拡大 (全3枚)

 J2の再開を翌日に控えた6月26日、千葉のユン・ジョンファン監督が、オンライン取材で意気込みを語ってくれた。

 新型コロナウイルスの影響で無観客試合、いわゆる“リモートマッチ”で行なわれる大宮とのホームでの一戦。「サポーターのいない選手だけの試合になります。その雰囲気にどう適応するかやや不安です」と率直な想いを口にした指揮官だが、「やってきた通りのことをするのが大事です。再開する試合の重要性を理解してゲームに入りたい」と力強く語った。

 千葉は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて約1か月半、活動を休止。5月30日からチームトレーニングを再開させ、準備を進めてきた。

 強化ポイントのひとつは「キャンプをしながら良い準備ができたと思っていましたが、中断期間が長く、選手のコンディション調整が上手くいかなかった部分があるので、それをもう一度作り直す必要がありました」と話すように、フィジカル面の向上だ。

 その点では、ハードな練習を選手たちに課すことで有名な指揮官とあって、強度の高いメニューを積んできた様子。「厳しくトレーニングした部分はあります。それがプラスに出ないといけないですし、もしマイナスに出るなら少し危ないですが、選手全員がしっかり取り組んでくれました」と振り返る。
 
 またもうひとつ中断期間のテーマになったのが、戦術面の浸透だ。今季から就任したユン・ジョンファン監督が目指すのは安定感のある守備をベースにした、堅守速攻スタイルで、琉球に1-0で勝利した約4か月前のリーグ開幕戦でも、試合途中に最終ラインを4枚から5枚に変える“逃げ切り策”を披露し、開始直後に奪った1点を決勝点につなげた。

 指揮官もキャンプから開幕戦までの流れを「良い形でもっていけた」と評価する。ただ、その後に自粛期間を挟んだため、活動再開後には改めて、意識を徹底させる必要があったという。

「中断期間が長くなってしまったため、選手たちが忘れてしまったところもあると感じました。ですからそこは重点的にやらなくちゃいけないと考えていました。

(現状で自分の考えを)選手たちはすべて理解できているわけではないと思いますが、最大限、理解できるように話したつもりです。約束事は絶対に必要です。そこはここ2、3週間で、続けて伝えてきました。あとは相手にどう当てはめるかが大事。もちろん明日、どうなるか分かりませんが、試合をしながら修正したいです。トレーニングを再開し、守備の部分で不安なところが正直ありました。そこを重点的にやってきた形でした」
 今季は大幅な日程の遅れを受け、J1からJ2への降格がなくなるイレギュラーなシーズンとなり、本来行なわれるはずだった昇格プレーオフ(J2の3位〜6位が出場)が中止。J1に上がれるのは、上位2チームのみと、狭き門となった。

 ただユン・ジョンファン監督は、東日本大震災に見舞われた2011年にも、イレギュラーな日程のなかで、鳥栖をJ1昇格へと導いた実績がある。当時は夏場に強さを見せたが、その経験は活かせそうだ。

「集中力や体力的な部分は強調して言っていますが、夏場に耐えられるなら、自信も湧いてきます。その自信を結果につなげたいです。選手たちの雰囲気を上手く乗せられたら、良い方向にいけると思います」

 一方で、多くのタレントを揃える千葉は、今季取り入れられる「5人交代制」や過密日程を乗り切るための選手層という意味では利点がありそうだが、指揮官は「数がいるからといってすべてが良いわけではありません」とし、全員が戦術への高い理解力を示し、ゲームへ万全の準備を整える必要があると訴える。
 
 再開初戦の相手、大宮は「個々の能力が揃い、つなぐサッカーもしますし、カウンターも目立ちます。J2のなかでは上位にいる強い印象です」と警戒する相手だ。

 果たして“ユンスタイル”を表現し、好スタートを切れるのか。試合展開に合わせた指揮官の柔軟な手腕にも期待だ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)