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欧州の若手写真家たちが参加する写真フェスティヴァル「CIRCULATION(S)」は2011年にパリで初開催されて以来、世界有数の写真イヴェントのひとつへと成長を遂げてきた。そこには毎年、新進気鋭のアーティストによる最先端の作品を鑑賞するために、世界各地から多数のキュレーターやコレクターが集まる。

「多くの「死」の渦中にある生の証し:欧州の若手写真家たちがパンデミック下にとらえた11のシーン」の写真・リンク付きの記事はこちら

これまでに作品を発表してきた写真家の多くは、いまでは輝かしいキャリアを築いている。そしてCIRCULATION(S)は2020年3月、16カ国を代表する45人の写真家の作品を集めた写真展を開き、その10周年を祝うはずだった。

その初日に当たる3月14日、フランス首相のエドゥアール・フィリップは新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、必要不可欠ではない国内の全企業に営業停止を要請した。奇しくも写真誕生の地であるフランスで、CIRCULATION(S)は「必要不可欠」の基準を満たすことができなかったのである。

「中止を余儀なくされたとき、わたしたちにとっても未知の状況でした」と、CIRCULATION(S)のゼネラルコーディネーターのクララ・シャロウは語る。「最初はどうしたらいいのかわかりませんでした。でも、アーティストたちの作品をみなさんに見てもらうためにも、フェスティヴァルをこのまま終わりにしたくないという気持ちをスタッフの誰もが強く感じていました」

パンデミックへの不安を色濃く反映

写真展のヴァーチャルツアーを独力で実施することは難しかった。そこでシャロウをはじめとするキュレーターたちは、フェスティヴァルの今夏の再開に望みを託しながらも、CIRCULATION(S)のInstagramアカウントとFacebookページを使ったオンライン版写真フェスティヴァル「STAY HOME(S)」の開催を決断した。

CIRCULATION(S)のSNSアカウントには3月21日以降、2020年の参加アーティストによる新しい写真が1枚ずつ投稿されていった。新作を発表するアーティストもいれば、自身のアーカイヴから作品を選んで発表するアーティストもいる。

アーティストたちの写真の多くには、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックに対する不安が色濃く反映されている。ドイツのフェリックス・フォン・デア・オステンは、人工呼吸器を手に持つ医療従事者を撮影した。ブルガリアのヴェラ・ハジースカは、自宅の植物たちを写真に収めた。それらは、あまりにも多くの「死」の渦中にある生の証しだ。

そしてポーランドのヴェロニカ・ペルロウスカは、テレビを見ている女性の奇妙なコラージュを制作した。その作品に彼女は、「絶望に脅かされ、希望に誘惑される」というキャプションをつけている。

「わたしのお気に入りです」と、シャロウは言う。「ある日、目覚めて『最悪の状況だわ』と言う。でも、また別の日には『大丈夫、わたしは生き延びられる』とつぶやく。ある女性の、そんな日常を見事にとらえています」

アーティストは危機を生き延びられるのか

誰もがそうであるように、写真家たちも自分の生活を心配している。家から出られない状況で、どうすれば写真を撮り続けられるのか。CIRCULATION(S)のようなフェスティヴァルに参加できるのか──。

「プロのアーティストが困難を乗り越えて創作活動を続けていくことは、本当に大変になってくると思います」と、シャロウは語る。それはキュレーターにも当てはまる。世界各地で毎年開催されている写真フェスティヴァルのなかで、いったいいくつが危機を生き延びられるのだろうか。

DropboxやWeTransferといったファイル転送サーヴィスのおかげで、写真はどこへでも飛んでいける。だが、写真家はそうはいかないのだ。そしてCIRCULATION(S)は2021年の開催に向けて、作品の募集を開始している。

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