春の総決算となるGI宝塚記念(阪神・芝2200m)が6月28日に行なわれる。

 ファン投票1位のアーモンドアイは不在ながら、2位のラッキーライラック(牝5歳)、3位のサートゥルナーリア(牡4歳)、6位のクロノジェネシス(牝4歳)など、今が旬の実績馬が参戦。春の「グランプリ」に相応しいメンバーがそろって、見応えのあるレースが繰り広げられそうだ。

 宝塚記念の過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気はわずか2勝。ゴールドシップ、キタサンブラック、サトノダイヤモンドなどが馬券圏外(4着以下)に沈んでいる。

 そうした状況にあって、3連単はすべて万馬券。50万円台や40万円台といった高配当も飛び出しており、ひと筋縄とはいかないレースとなっている。

 その要因のひとつが、この時期の阪神・芝コースのコンディションにある。梅雨の時期で、しかも開催8日目。つまり、決して万全とは言えない馬場状態をどう読むかが、馬券検討においては重要な要素となる。

 はたして、今年の馬場状態はどうなのか。この点について、デイリー馬三郎の吉田順一記者はこう分析する。

「先週の日曜日の特別戦では、3勝クラスの芝2000m戦の勝ちタイムが1分59秒1。オープンクラスのリステッド競走(芝1600m)の勝ちタイムが1分32秒7と、速めの時計が記録されています。

(阪神競馬場での)昨年の暮れや今年の春開催は、例年に比べると雨の影響があったのは確かですが、レース中に土砂降りになることが少なかったので、年明けや春の京都競馬場ほど、痛みがきつくなることはありませんでした。

 ただし、この週末は梅雨の時期らしい予報となっています。レース中に雨が降るか、降らないかで、馬場の痛みや時計の出方は大きく変わってきそうですが、軽い芝による高速馬場での時計勝負、というパターンはなさそうな気がします」

 また、吉田記者は、阪神・芝2200mのコース形態にも注目。それに対して、どういった馬が向いているのか、こんな見解を示す。

「GI大阪杯(阪神・芝2000m)と同様、宝塚記念も内回りを使用。速い脚よりは、機動力や自在性が大きなウェートを占める舞台と言えます。過去10年の勝ち馬を見てもわかるとおり、阪神と中山で好成績を残している馬が優位。しぶとさや粘っこさなどが不可欠でしょうね。あと、暑さもきつくなり、体調のよさもチェックしておきたいポイントとなります」


宝塚記念での巻き返しが期待されるブラストワンピース

 そして吉田記者は、中山巧者を穴馬候補の一番手に挙げた。

「ブラストワンピース(牡5歳)です。これまでの戦績が13戦7勝、着外6回と、伸るか反るかのイメージが強いのですが、とにかく、速い上がりを求められる流れや舞台設定では動き切れないことが多く、狙える”ゾーン”を絞りやすいタイプです。今回が、その時だと踏んでいます。

 掻き込みが効いたパワフルなフットワークや、ハービンジャー産駒という血統面からも、力の要る舞台は得意と言えます。

 大型馬特有の頭の高い走法でトモ腰がパンとしていないことが、スタートで優位に立てない要因のひとつ。その点を考慮すれば、ポジショニングでやや劣勢になっている2000m戦から、2200m戦になるのもいいこと。昨年6着、今年7着と、大阪杯では2回とも自分の力を出し切れていませんが、1ハロン距離が延びることで、競馬もしやすくなるでしょうし、本来の力を発揮できるはずです。

 1週前の追い切りでは、川田将雅騎手が美浦に駆けつけるほどの熱の入れよう。2つ目のグランプリ戴冠は十分にあり得ますよ」

 吉田記者はもう1頭、ダンビュライト(セン6歳)に注目する。

「GI天皇賞・春(5月3日/京都・芝3200m)における、キセキ(牡6歳)の行き脚は『さすが武豊騎手』と言ったところでしたが、それ以上のダッシュ力を見せたのが、音無(秀孝)厩舎勢。2着に入ったスティッフェリオ(牡6歳)と、9着に終わったダンビュライトでした。その2頭のうち、今回面白いのは、ダンビュライトのほう。

 好位で脚をタメる形に手応えをつかんでいるスティッフェリオに比べて、折り合い面や集中力に課題があるダンビュライトは、単騎逃げか、2番手の外目がベスト。天皇賞・春では、スタンド前からキセキに来られて、少しチグハグになりましたが、今度の舞台なら、キセキも途中から動きづらく、この馬の形で競馬ができる、という見立てです。

 ローテーションを問わない馬ですし、中間の攻め気配も良好。何より、気性で走る”大駆け”タイプ。去勢明け2戦目といったプラスアルファーも見込め、展開利とこの馬に合う力の要る舞台で、一発の魅力はあると思います」

 一方、日刊スポーツの木南友輔記者は、香港で大金星を挙げたグローリーヴェイズ(牡5歳)がかなり気になるという。

「結果的に過去2年の宝塚記念は、前走で香港のレースを走っていた馬が連対していて(2019年の1着馬リスグラシュー、2018年の2着馬ワーザー)、香港とこの時期の阪神には、少し共通するものがあるのかもしれません。

 前走の海外GI香港ヴァーズ(12月8日/香港・芝2400m)では、ラッキーライラックや香港の実力馬エグザルタント、さらにディアドラらを撃破。鞍上の好リードも光りましたが、ここまで差が開くのか、という圧巻の競馬でした。

(香港に渡る前)検疫期間中に、アーモンドアイと併せて、アーモンドアイに追いつかせなかった日があったんです。思い返せば、あれが本物だったんだな、と。

 今年は、海外で飛躍する年になるかと思っていたので、ここが今年初戦という誤算はあるかもしれませんが、能力的にはGI馬ぞろいの中でも、一枚違う可能性があります」

 木南記者ももう1頭、穴馬候補を推奨する。前走でGIII新潟大賞典(5月10日/新潟・芝2000m)を快勝したトーセンスーリヤ(牡5歳)だ。

「前走が斤量54kgで、今回は斤量58kg。2200m戦に臨むのも3歳の春以来と、条件は厳しいです。それでも、前走の走りっぷりが、本格化を感じさせる内容でした。昨年の新潟大賞典の覇者メールドグラースが、その後もポンポンポンと結果を出していったように、トーセンスーリヤもこのまま勢いに乗ってもおかしくないかな、と。

 父ローエングリン、母父デュランダルと、力の要る馬場への適性も十分にある血統です。阪神で結果を出せていませんが、それらのレースを見直してみると、いずれも脚は使っていました。当時よりも、脚質に自在性が出ているので、ロスなく立ち回れる枠、展開になれば、期待できると思います」 今年も好メンバーがそろった宝塚記念。過去に例が多いように、再び波乱の決着となるのか。もしそうなら、ここに挙げた4頭がその一端を担う可能性が大いにある。