ジュニアユース時代、ユース時代と厳しくも最大限の評価をしてくれた恩師のもとで再びプレーする機会を得た。もちろんいくら縁があったと言えども、それで出番が確約されるほど甘い世界ではないことは十分に理解している。

「橋岡は中1の時から知っていて、当時から凄かったし、『絶対にトップに上がるだろうな』と思っていた。1対1でシュートを打っても必ず身体のどこかに当たるし、ヘッドもめちゃくちゃ強いし、とにかく相手を潰せる守備は凄い。それほどの守備力を持っていても、トップチームでは後ろ(ディフェンスライン)の3枚に絶対的な選手がいて、ウイングバックでプレーするなんて当時は思ってもいなかった。キャンプに行っても『この選手が紅白戦にも出られないのか』『この選手で練習試合の3本目から出場なんだ』と驚いた。やっぱり覚悟をして入らないといけないクラブですし、この1年でもっと成長しないとこの厳しい生存競争に生き残れないと思っています。それに大槻さんは選手としても人間としても、いろんな学びを与えてくれた尊敬する恩師。高校時代は期待を裏切ってしまったので、今度こそプレーで応えたいと思います」

 いざ待ち望んだ場所へ。今度は応援する側から応援される側になって、埼玉スタジアムを熱狂の渦に導く番がやって来る。恩師とともに、誇り高きレッズのエンブレムを胸に宿して。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)