「新型コロナウィルスによる肺炎で亡くなった岡江久美子さん。その遺作となった映画が公開できない状況に陥っています」と司会の国山ハセンが声をあげた。

映画は「車線変更―キューポラを見上げて―」で、この春公開予定だった。パラリンピックを目指す元オートレーサーの青年の苦難を描いた物語で、岡江さんは主人公の青年(平田雄也)の母親役。父親役の村上弘明は「この映画に全力を傾けてきた。早く公開してほしいと思います」

営業再開しても過去のリバイバルでしのぐ状態

国枝秀美プロデューサーによると、コロナ禍で公開に必要な資金集めがストップし、延期を余儀なくされている。さらに、公開したとしても「3密」を避ける映画館の客数制限により、収益が見込めないというのだ。

映画館もピンチだ。2か月ぶりに営業再開した横浜市のシネマ・ジャック&ベティでは、客を半数制限にし、前後左右の座席を一つ置きにしている。梶原俊幸支配人「営業再開できてよかったが、お客さんは戻っていない状況。この先どうなるのか」

大手映画会社も新作の配給をいつにするか様子を見ているという。映画コメンテーター有村昆は「今は過去のリバイバルでしのいでいるが、今後、新作映画の玉突き現象が起こるのではないか」という。夏休みや正月に新作公開が集中し、共倒れが懸念される。

司会の国山が「映画館は再開しましたが、これからが大変です」と映画業界の現状を解説した。去年の興行収入は2612億円と過去最高だったが、今年は3月が70.2%減、4月は96.3%減、5月98.9%減とほぼ全滅だ。

感染を防ぐための撮影条件も厳しい。日本映画製作者連盟が策定した基準では、撮影関係者で2メートルの距離をとり、一度にセットに入れる人数は最大50人まで、出演者は撮影前後に手洗いと口などの消毒などと細かく決められている。撮影に時間と費用がかかってしまうのだ。

「映画館を元通りにするのは無理」で出演者が激論

上地雄輔(俳優)「ドラマを撮影中ですが、演者もスタッフも全員がフェイスシールドとマスクをしています。スタッフの人数を減らしているので時間がかかります」

映画監督でもある鴻上尚史(作家・演出家)「キスシーンや乱闘シーンを止めるとフランス映画界で発表していましたが、映画は歴史に残るもの。あとあとしんどくなる」

西村博之(2ちゃんねる開設者)が「映画館を元通りにするのはたぶん無理。ネット配信を進めていった方がいいと思います」というと、他の出演者がざわついた。「ネットフリックスで配信した『ROMA/ローマ』という映画がアカデミー賞をとったりしている。ネットで回収する方が安全だと思う」

上地雄輔は「作り手としては大画面で見てほしいのですが」と苦笑い。

文・ムギ