2020年女子ツアー「期待の新星」
安田祐香インタビュー(前編)

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7歳でゴルフを始め、高校2年生の時に日本女子アマチュア選手権で優勝。その後も、国内外、さらにはプロアマ問わず、数々の大会で好成績を残してきた安田祐香。昨年のプロテストに合格し、今季からツアー本格参戦を果たす。「大物ルーキー」として注目を集める、彼女の内面に迫る――。

――まずは、ゴルフを始めたきっかけから教えてください。

「最初は父、母、姉が練習場に通っていて、私は見学していただけだったんですけど、『私もやってみたいな』と思って、親にお願いしたのが、ゴルフを始めたきっかけです」

――練習は楽しかったですか。

「最初の頃は週3回くらい、父と一緒に練習場に通っていたんです。ずっとふたりだったので、やっぱり親子ということもあって、時にはモメたり、ちょっと『嫌だなあ』と思ったこともありましたね(苦笑)」

――小学校3年生の時ですか、古閑美保プロや上田桃子プロをはじめ、数多くのプロゴルファーを輩出している『坂田ジュニアゴルフ塾』(神戸校)への入塾が許可されたそうですね。

「坂田塾に入ってからは、毎日練習するようになったんですけど、ずっと楽しかったです。塾生は、日々の練習場でのボール代や、ゴルフ場のプレー代などが無料なんです。

 やっぱり”ゴルフをしている=お金持ち”って目で見られてしまいがちですけど、私はそれほど裕福な家庭で育ったわけではなかったので、塾に入らなかったらゴルフを続けていなかっただろうなと思います。

 もちろん、塾では怒られたりすることもありましたけど、『すごくいい環境だったな』と思っていました。塾では、メンタルトレーニングとか、特別に時間を取ってすることはないんですけど、塾長が怖かったので、自然とメンタルも強くなりました(笑)」

――坂田塾には、「隠し事をしない」「嘘をつかない」「約束事を守る」「挨拶は大きな声できちんとする」「お礼状を書く」「ラウンド前30分、ラウンド後1時間はアプローチ・パターの練習をする」「スコアを誤記しない」「ゴルフノート・漢字・英語の書き取りを毎日する」という8か条があるそうですね。

「なかには(8か条を)守っていない子もいましたけど(笑)。私は、自分が覚えている限りでは、一度も(8か条を)破ったことはなかったと思います」

――小学校6年生の時に出場した全国大会では、15位という結果でした。その成績についてはどう思いましたか。悔しかったですか。

「それが、悔しくなかったんですよね。『全国で15番目のプレイヤーって、私、なかなかすごい!』って思っていました(笑)。当時も『プロになりたい』と言っていたんですけど、(その時はまだ)漠然とした遠い夢でした。

 その後、中学生になって、競技成績が少しずつよくなり、プロのトーナメントにも参加するようになって、ギャラリーの方々に応援されることがうれしかったですし、優勝争いを演じている時が楽しかったので、本気で『プロになりたい』と思うようになりました。(プロの試合に出ている時は)『好きなことを仕事にできるならいいな』『ここで、私も戦いたい』って思っていました」

――「プロになれる」と確信した瞬間はいつでしたか?

「去年のプロテストが終わってからです(笑)。いろんな人たちが『絶対、プロになれるから』『大丈夫だから』と言ってくれたんですが、どの選手も必死ですから、『落ちる時は落ちるだろうな』と思っていました。変にプレッシャーを感じることもなかったです。

 もし落ちたら、その時は『次のプロテストまでの1年間をどう過ごすか、考え直せばいいか』と思っていました。大学にも通っているので、そちらを充実させることもできるでしょうし。ゴルフは、人生をかけてやってきたので、もちろんプロテストは通りたかったですけど、それほど深くは考えなかったです」

――お話を聞いていると、落ち着いているというか、クールな性格なのかなと思いますが、ご自身では自分の性格をどう見ていますか。

「負けず嫌いです。私をよく知っている人たちからも、よく言われます。悔しい時でも、表情にはあまり出さないですし、人前では涙を(流さないように)我慢していますけど、試合で成績が悪かったら、よく(隠れて)泣いているんで。あっ、でも、抑えきれない時は人前でも泣いちゃうんですけどね(苦笑)」


期待のルーキー、安田祐香

――今季ツアーがついに再開。プロデビュー戦となるアース・モンダミンカップ(6月25日〜28日/千葉県)がまもなく始まります。ここまで、とくに力を入れてきたことは何でしょうか。

「体幹を鍛えるトレーニングは、毎日やっています。あと、腰周りの筋肉をつけてケガをしないようにして、練習を多くこなせる体作りを目指しています。瞬発系のトレーニングも増やしていて、ドライバーの平均キャリーを、220ヤードから230ヤードに伸ばすことが目標です」

――プロデビューを目前に控えて、期待と不安、どちらが大きいですか?

「不安もあるんですけど、ワクワクのほうが大きいです。1試合1試合楽しみたいですね。なるべく早く1勝を挙げたいと思っています。まずは、初戦から予選を通過して、安定してプレーすること。そうすれば、自然と優勝争いもできるかなと」

――目標とする選手を教えてください。

「現役は引退されていますが、宮里藍さんです。プレーだけじゃなく、インタビューの受け答えなども見て『すごいな』と、いつも憧れていました。どんな質問に対しても、絶対にネガティブな発言をせず、聞く人の心に響く答えが必ず返ってくる。

 私も、そんな宮里藍さんのように、誰かに影響を与えることができる選手、小さい子たちに『こういう選手になりたい』と思ってもらえるような選手になりたいです」

(つづく)

安田祐香(やすだ・ゆうか)
2000年12月24日生まれ。兵庫県出身。身長163cm。血液型O。2017年に日本女子アマを制覇。国内外のプロのトーナメントでも活躍し、何度となくローアマを獲得してきた。昨年、プロテストに合格。QTで2位という結果を残して、今季からツアー本格参戦を果たす。