ヴァンラーレ八戸にとって2年目のJ3が幕を開ける

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新型コロナによる活動休止期間を
経てJ3開幕へ

 J1が7月4日、J2は6月27日に再開される。ところが、J3にとっての6月27日は、再開ではなく開幕にあたる。2年目のJ3に挑むのがヴァンラーレ八戸だ。新型コロナウイルスの影響で4月上旬から休止していたチームトレーニングも、5月25日から再開させて開幕へ機運を高めている。

 細越健太郎ヴァンラーレ八戸社長は、「選手一人ひとりが『いつか再開する』ということに向けてトレーニングを積むことと、SNSなどオンラインを通して情報などを発信していくことくらいしか活動ができませんでした」と自粛中の活動を振り返る。

 クラブを経営するうえでも、新型コロナの影響は大きくのしかかってきた。「試合の入場料収入がありませんでしたし、試合がないとスタジアムでのグッズの収益も見込めなくなります。スポンサー企業さんに対する活動もできなくなっていましたし、苦労の部分が本当に大きかったです」。それでも、と細越社長は続ける。「苦しいですが、チームが成長するうえで、大きな財産になっていると思います」。そう力強く答えた。

ヴァンラーレ八戸FCの細越健太郎社長


子どもたちのために
Jリーグクラブをつくろう

 八戸市生まれの細越社長は、八戸高校のサッカー部で汗を流した。青森県には、直近5年の高校選手権で優勝2回、準優勝1回、3位1回という輝かしい成績を誇る青森山田高校という全国区のチームがある。現在23年連続で高校選手権に出場中だが、その連続記録の1回目は、細越社長が高校3年生のときからはじまっていて、「私にとっては大きな存在」だという。

「チームカラーが同じ緑ということもあって、チーム立ち上げ当初は『ヤマダのマネをしている』というご意見をいただいたこともありました。ライバルということではなく、いずれはヤマダから選手が入ってくるようになったらうれしいですね」

 細越社長は八戸高校卒業後に青森県を離れ、首都圏の大学へ。大学卒業後は宮城県仙台市でフットサル場や大会の運営を行っていた。そんな折、下平賢吾ヴァンラーレ八戸専務取締役から誘いを受ける。

「八戸のあたりは小学生まではサッカーが上手い選手が多いのに、中学生以上になると指導者が足りないため伸び悩んでいる。専門的な指導者を配置した、子どもたちのクラブチームをつくりたい、という話でした。」

 2006年4月にヴァンラーレ八戸を発足。育成年代の強化を目的としたクラブは、U-12、U-15、社会人チームというカテゴリーで走り出した。

「発足当初は、社会人チームのゴールを定めていませんでした。子どもたちが目標にできるところをつくってあげたいという思いにかられ、Jリーグを目指すことにしました」

 反対の声も少なくなかったというが、細越社長は明確なゴールを目指し突き進んだ。2010年の東北社会人リーグ2部から階段をかけあがると、2018年11月20日、ついにJリーグ入会が承認された。

開幕の相手は福島ユナイテッドFCに決まった


夢を持ってもらえる
ような環境づくり

 昨シーズン、初のJ3を戦ったヴァンラーレ八戸は、10位でフィニッシュ。今シーズンからは中口雅史監督を招聘しており、開幕節の6月27日が新生ヴァンラーレの初陣となる。「2年目のJリーグではどのように戦えるようになったのか、見ていきたい」と細越社長は期待をこめた。

 クラブ発足から15年目。当然、Jリーグ入りがゴールではない。

「Jリーグは条件をクリアできれば、上のカテゴリに上がることができます。チームの成績や経営規模、スタジアムなどさまざまな条件をいかにクリアしていけるか。応援してくださっている方や行政の方、そして選手たちの力になって、夢を持ってもらえるような環境づくりをすることが自分の役割だと思っています」

 ヴァンラーレ八戸と細越社長の挑戦は続く。

(取材・文 奥山典幸)