EU、アップルを独禁法違反の疑いで正式調査。楽天Kobo等の苦情申し立てを受け

EU(欧州連合)の欧州委員会は16日(現地時間)、アップルのApp StoreとApple Payが独占禁止法違反の恐れがあるとして、正式な調査を開始したと発表しました。

このうちApp Storeの調査につき、欧州委員会は音楽ストリーミングのSpotifyと「電子書籍/オーディオブック配信業者」からの苦情を受けたものと述べています。そして後者の業者とは、具体的には楽天グループの電子書籍サービス会社「Kobo」であると英Financial Timesが報じています。

Financial Times報道によると、Koboは自社のiOSアプリ内で電子書籍を販売する場合は30%の手数料を支払う必要があるのに対して、アップル自身のApple Booksは同じだけの収益が削減されないこと。それを避けるため、Koboが自社サイトでの購入を顧客に求めざるを得ず(iOS版Koboアプリ内に電子書籍購入機能はありません)、ビジネスの機会を失ったことが独禁法違反の疑いがある――との申し立てを3月に行ったと伝えられています。

こうした主張は、2019年3月にSpotifyが欧州委員会に行った苦情申し立てと似ています。同社もApp Storeで徴集される30%の手数料に焦点を当てており、プレミアム会員の料金がApple Musicを上回るように誘導されたと述べていました。

またApple Payに関しては、欧州委員会いわくアップルが他の支払いサービスを提供する企業に利用を拒否したり、iPhoneの近距離通信(NFC)機能へのアクセスを制限している疑いがあるとのことです。こちらについても、2019年9月の時点でEUの規制当局がサービスプロバイダや銀行、アプリ事業者に意見を求めていると報じられていました。

アップルはこれら欧州委員会の決定につき、米国版Engadgetに対して同社は法律に従い、競争を受け入れているとの声明を発表。その上で委員会が「ただタダ乗りをしたいだけ、他の人たちと同じルールに従いたくない一握りの企業からの根拠のない苦情」に動かされていると述べています。

App Storeが独禁法に違反しているかどうかを争う訴訟は、アップルの母国である米国でも継続しています。アプリストアで売上の30%を徴集するビジネスモデルはGoogleも同じであり、事態の成り行きを静かに見守っているのかもしれません。

Source:European Comission(1)/(2)/Financial Times

Via:The Verge

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