1/9夜空をさっと横切ることから、ローマ神話に登場する足の速い「神々の伝令」にちなんで名づけられた水星(マーキュリー)は、88日周期で太陽をまわっている。水星は灼熱の世界で、表面温度は平均で華氏332度(摂氏167度)にもなるが、奇妙なことに、影になったクレーターのなかには氷が潜んでいる。この写真は、米航空宇宙局(NASA)の探査機「マリナー10号」が1974年に撮影した、最初の水星の写真だ。表面が衝突クレーターで穴だらけになっているのがわかる。これは、内太陽系が形成されたときに起きた衝突の名残だ。PHOTOGRAPH BY NASA/JPL/USGS2/9古代ローマ人は金星に、愛と美を司るローマ神話の女神にちなんだ名(ヴィーナス)を与えた。夜空で輝くその姿があまりに明るく、美しかったからだ。古代ローマ人は知らなかっただろうが、金星は有害ガスでできた厚い大気に覆われているし、硫酸の雨が降り注ぐ表面は、華氏863度(摂氏462度)という恐ろしい高温に達する。金星は太陽に2番目に近い惑星で、地球とサイズや組成が似ていることから、地球の姉妹惑星と呼ばれることも多い。PHOTOGRAPH BY NASA/JPL3/9われらが故郷、そしてローマ神話にちなんだ名をもたない唯一の惑星へようこそ。地球(Earth)という語は、「地」を意味する英語やドイツ語の単語が起源になっている。NASAの衛星「ゴーズ(GOES)」が撮影したこの写真では、北米と南米がはっきりと見てとれる。PHOTOGRAPH BY NASA4/9古代ローマ人が火星(マーズ)に戦争の神にちなんだ名をつけたのは、この惑星が赤っぽい色をしているからだ。当時の人たちには知るよしもないが、火星の赤い色は血ではなく、土壌に含まれる酸化鉄(さび)によるものだ。火星全体をとらえたこの写真は、NASAの人工衛星「ヴァイキング」が1998年に撮影した。極地の氷冠が見えるだろうか? PHOTOGRAPH BY NASA/JPL/USGS5/9木星(ジュピター)の名は、その巨大さから、神々の王にちなんでつけられた。実際、木星は太陽系最大の惑星だ。木星のなかには地球1,300個がすっぽり入る。木星の動きを観察した大昔の人たちは、その明るさと動きの遅さからこの惑星の巨大さを推測したが、それは正しかった。NASAのハッブル宇宙望遠鏡がとらえたこの木星画像では、北極で輝くオーロラが見てとれる。PHOTOGRAPH BY GSFC6/9土星(サターン)の名は、農耕と富の神にちなんでいる。そんなわけで、土星が派手な巨大な環(リング)に囲まれているのもうなずける。NASAの探査機「カッシーニ」は2017年、土星の大気に突入して燃え尽きるほんの数日前に、この写真を撮影した。PHOTOGRAPH BY NASA/JPL-CALTECH/SPACE SCIENCE INSTITUTE7/9天空の神にちなんで名づけられた天王星(ウラノス)は、地球からとても遠く離れている。人類が天王星に到達したのは、1986年の一度きりだ。そのときに、NASAの探査機「ヴォイジャー2号」がこの写真を撮影した。水色の大気はおもに水素とヘリウムで構成され、若干量の硫黄が混ざっている(そう、天王星はおならのような匂いがするかもしれない)。PHOTOGRAPH BY NASA/JPL-CALTECH8/9この巨大な氷の惑星は、1846年にユルバン・ルヴェリエが発見した。当時、ルヴェリエやその同僚が望遠鏡を通して見たこの惑星は、海のような青い色をまとっていた。そんなわけで、太陽から8番目にあたるこの惑星は、海の神にちなんで海王星(ネプチューン)と名づけられた。天王星と同じく、人類が海王星を訪れたのも、ヴォイジャー2号が通過した1989年の一度きりだ。PHOTOGRAPH BY NASA/JPL9/9はるか彼方にある小さな冥王星(プルート)は、とても寒くて暗いことから、冥界の神にちなんで名づけられた。さらにいえば、この準惑星と衛星系は、どれも冥界にちなんだ名をもっている。NASAが冥王星に初めて到達したのは2015年のことで、それが唯一の訪問でもある。この年、探査機「ニュー・ホライズン」が太陽系を出る途中で冥王星の近くを通過し、冥王星と、窒素の氷でできた巨大なハートマークを写真に収めた。PHOTOGRAPH BY NASA/JOHNS HOPKINS UNIVERSITY APPLIED PHYSICS LABORATORY/SOUTHWEST RESEARCH INSTITUTE

天文学者のウィリアム・ハーシェルが1781年に新しい惑星を発見したとき、その惑星を当時の英国王ジョージ3世にちなんで「ゲオルギウム・シドゥス」(ジョージの星)と名づけたいと考えた。ところが太陽系のほかの惑星は、どれもローマ神話の神にちなんで名づけられていた。

「美しい惑星と、いにしえの神々を巡る旅:今週の宇宙ギャラリー」の写真・リンク付きの記事はこちら

仲間の天文学者ヨハン・ボーデは、「ウラノス」(ギリシャの神)という名のほうがふさわしいと主張した。しかし、その名が定着するまでには、さらに50年を要した。

太陽系のほぼすべての大惑星は、ローマの神か女神にちなんだ名をもっている。一部の惑星は、星の動きが名前の根拠になった。

例えば、水星(マーキュリー)は空を猛スピードで横切るように見えることから、神々の伝令にちなんだ名がつけられた。実際に水星は太陽のごく近くをまわっているので、空を横切るスピードは速い。また、巨大な木星(ジュピター)は、神々の王の名にちなんでいる。

西洋では太陽系の惑星はローマの神々にちなんだ名をもっているが、そのときどきによって別の名前で呼ばれることもある。古代ギリシャ人は当然のことながら、ギリシャの神々の名で呼んでいた。木星はゼウス、水星はヘルメス、金星(ヴィーナス)はアフロディーテだった。古代バビロニア人も自分たちの神々にちなんだ名をつけており、木星はマルドゥク、水星はネボ、金星は女神イシュタルだった。

今週の宇宙ギャラリーでは、太陽系の惑星を残らず訪ねる壮大な冒険に乗り出し、それぞれの名前の由来をひも解いている。三叉のほこと翼のついたサンダルを用意して、太陽系を巡る旅に出よう。

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