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え!?単勝290倍もついたの!僕を養分にして!?

春競馬のシーズンもいよいよ佳境というなか、GI競争のなかった日曜日、僕にとってはGIには引けを取らない大競争が行なわれました。東京競馬第8レース、3歳以上1勝クラス(500万円以下)牝馬限定芝1600メートル。このレースには実に7ヶ月ぶりの出走となる愛馬シンハリング号が出走していたのです。

昨年11月に行なわれた赤松賞、直線抜け出して先頭に立ったときには「勝った」と思うレースでした。しかし、ややズブめのジリ脚である愛馬に対して、後方から差してきたシャインガーネットのキレが上回り、ゴール前でかわされての2着に。のちにシャインガーネットは重賞ファルコンSを勝ち、GI・NHKマイルカップでも6着と好走するなどチカラのある馬でしたので、愛馬も負けてなお強しといった内容でした。

さらに、3着以下の馬にもGIIIフェアリーSで2着して桜花賞・オークスにも駒を進めたチェーンオブラブや、GIIIクイーンC3着のセイウンヴィーナス、GIIIフェアリーSを勝ち桜花賞で3着したスマイルカナなど活躍馬が多数。何が言いたいかというと、「ほかの馬の活躍ぶりからすると愛馬も重賞クラスでいい感じに戦うところはイケるんちゃうか」ということです。

しかし、競馬というのは生き物がやるもの。桜花賞を目指していた愛馬は中間に鼻血を出し、長い休養に入りました。馬の鼻血にもいくつか種類がありますが軽めの肺出血だったようで、目指していた春競馬のクラシック競争は諦めざるを得ませんでした。そこからの休養と回復と成長の時間。ようやくターフに戻ってきてくれたのがこのレースだったのです。

チカラ関係で言えば上位であることは間違いないと確信していました。これまで戦って勝ってきた相手も同じ競争におり、それらとの比較で見ても勝ち負けは十分射程圏であろうと。突き抜けても不思議はないぞと。新聞の予想欄にも二重丸が並び、オッズでも途中1番人気に支持されたのは、決して僕がひとりで2億円くらい買っていたからではありません。

しかし、不安要素はいくつもありました。まず休養明けであること。休みボケというのはどんな生き物にもあるものです。そして雨。足元が悪いことを苦にするタイプではありませんが、父ダイワメジャーということを考えても「不良馬場がすごく得意」なんてことはなさそう。それから騎乗する横山典弘騎手のスタイル。ノリさんは馬に無理をさせないタイプの騎手ですので、休養明けの馬を雨のなかで限界まで追うことはないでしょう。ある程度、余裕のある走りでないと勝負にはいかないと見込まれます。要するに、愛馬は限界の仕上げではありません。

それを端的に示すように馬体重は前走からプラス20キロ。7ヶ月で筋肉が増えて成長した…とは思いますが、やはり少しゆるめかなという数字。パドックを見ても胸まわりや腰から尻のあたりにかけて一枚肉が乗っている感じに見えます。毎回見当違いのパドックコメントで僕を惑わすグリーンチャンネルは「見栄えはこのクラスの馬ではない」と絶賛しますが、「単に太いのでは?」と思うようなところも多分にありました。

ここで人生観というのが出てくるわけですが、人気馬の状態がどうやら完璧ではないぞとなったとき、折からの雨も考えれば「荒れ模様」を予想するのは当然のこと。道悪に強いステイゴールド産駒の馬などに人気が流れるのは当然の馬券術です。ただ、思ったのです。もし愛馬の不利を見て買い目を曲げて外したとき、それは人生観として受け入れられないだろうと。愛馬を買って外すのは納得の一蓮托生ですが、買わずに外すのは恥であると。そして僕は迷いを断ち切るように愛馬の単勝1点で勝負に行きます。2着・3着考えず、1着あるのみ。それが人生観であると。

↓クーーーー我ながらカッコいい!愛馬の単勝1点勝負!

「愛馬が勝てば必ず当たる」買い方はコレしかない!

馬連とか3連単で全通り買うのはバカバカしいし!



そして始まったレース。愛馬はすんなりとゲートに入り、落ち着いた様子。スタートもバッチリで、3番手くらいで先行集団に取りつきます。じょじょにペースを落ち着かせつつ…というかズルズルと下がりつつ、先頭を見るように5・6番手での競馬。3コーナーから4コーナー、やや反応は鈍いか。騎手は内に入れるようなコース取りでしたが、コーナーをまわり終わると外側にふくらむような格好となっています。騎手コメントでは「少しのめった」といった話も出ていました。

そこからの直線追いくらべ。前を行く馬を外からかわして…と思ったところ、ちょうどタイミング悪く外に馬がかぶってきてしまい出せず。切り返して内に戻して…と思ったところ、そこも間が狭くなって突っ込めず。だいぶロスはありましたが、それでもようやく前に出られたところで騎手が軽くムチを使うとグッと加速する伸びも見せます。

ただ、不良馬場の足元で、すでに抜け出している先頭を追うのは無理がある状況でした。1・2着はないなと悟った時点で騎手は明らかに手をゆるめ、最後は流すようにして4着でゴール入線。休み明け、太目残り、道悪、横山ノリさん…これだけ条件が重なればこうなるわなという展開で、「本番は次走」「今回はまわってきただけ」「お疲れ様でした」というレースとなりました。

↓そして僕のような養分を吸って、このレースは単勝290倍、3連単1万6895倍の大荒れに!

1着を当てれば100円で2万9000円!


この結果を見て「馬券は負けたが、人生観では勝った」と思いました。この倍率を見ても、まったく悔しくなく、「金!金!金がほしいいいい!」とはならなかったのですから。もしも愛馬が負ける世界を望み「愛馬が負けたら絶対に当ててウエメセで茶化してやろう」と思っていたら、この単勝290倍は取れていたでしょう。「ほーらね」と言いたいためだけの悪意があれば。しかし、僕はダメそうな周辺事情を悟ったうえで、しっかりと愛馬に張って負けた。

しかも、中途半端にいろいろ買うのではなく単勝1点勝負、これもよかった。だって3連複とかワイドとか複勝とか「3着以内なら当たる馬券」で買っていたら、最後の直線で明らかに横山典が手をゆるめて「あ、追うのヤメたぞコイツ!」と思ったときに、「追えやあああああ!!」「ムチ入れろムチ!!」「何でお前の勝手な判断で馬の将来性とか大事にしとんねん!!」「未来より今!!」「将来の金より今の金!!」「脚が折れても走らんかい!!」「八百長やってんちゃうんかああああ!!」と下賤な気持ちが出たかもしれませんからね。1000円でさすがにそこまでは言わないかもしれませんが、多少なりともイラッとはしたことでしょう。「今、手綱引いて止めたよな?」という動きさえありましたから。

単勝1点だったからこそ「うん、これはもう無理ですね」と横山典が追うのを止める前の段階で落ち着くことができたのです。これが人生観の勝利でなくてなんでしょう。たかだか1000円とか2000円とかの金でそんな醜態をさらすぐらいなら、スコーンと負けたほうがマシというもの。やはり欲や金や損得勘定ではなく「愛」に殉じることが自分の生き方なのだと改めて納得することができました。最終的に欲しいものは目先の金ではなく、愛馬が大きなレースに出て活躍するという思い出。この負けが次につながり、いつか重賞の舞台で走る愛馬を現地で応援することができるよう、信じて待ちたいと思います。その結果として、愛馬が人気薄で勝ち、それで取る単勝290倍があったらいいなと思いつつ。


結果として、単勝290倍取りたいなと。

結果として、金が欲しいなと。

単勝290倍なんて愛馬でもなきゃまず買わないですからね!



愛馬が勝ったレースを現地で見る、この馬はそれを叶えてくれそうな逸材!