きょうは女優の黒木瞳さんについて話そうと思います。脚本家の井上由美子さんに黒木さんを紹介されてから、定期的に食事会を開き、良いお付き合いをさせていただいています。

黒木さんとのことで、真っ先に思い出すのは、ドラマ「白い巨塔」です。2003年から2004年まで、プライムタイムの連続ドラマとしては珍しい2クール、フジテレビ系で放送されました。各回、20%を超える好視聴率を記録し、最終回は多くの地域で30%を超え、さまざまな反響を呼んだドラマでした。

原作・山崎豊子、脚本・井上由美子で、主人公(唐沢寿明)は食道外科を専門としている天才的なオペの名手であります。義父(西田敏行)の強力な援助により、教授へと上り詰めました。物語の終盤では気胸で倒れ、ステージ4の肺がんと診断されます。朦朧とした意識の中で、がんセンターを同僚(江口陽介)とともに盛り立てる夢を見ながら、この世を去ったのです。

黒木さんは、唐沢寿明が通うクラブのママ役で、彼の愛人という設定。彼が教授へと上り詰める姿を、楽しみながら見守っています。実は、彼女は唐沢が勤める大学の医学部に籍を置いていたのですが、中退しており、唐沢とはそのときからの関係でした。

すごい色気と存在感で、唐沢寿明を包み、医学界の裏表にも詳しい存在でした。なにしろ、綺麗だったのです。

明治座の「京の蛍火」でたくましい寺田屋の女将を熱演

次に、黒木瞳さんで印象に残っているのは、「京の蛍火」という舞台です。2017年11月、明治座で上演され、今から約155年前の京都・伏見に生きた、船宿「寺田屋」の女将お登勢の物語で、黒木さんは主役を演じました。寺田屋は、あの寺田屋騒動の場所。お登勢は尊王攘夷派の志士たちを陰ながら支え、新たな時代の礎を築いた男たちの、精神的な支柱となった人物です。幕末から維新という時代の変わり目に、さまざまな境遇の中で、己を貫いた人々の生き様が交錯し、色濃く浮かび上がってくる内容でした。

若き志士たちの壮絶な死を目の当たりにしたお登勢は、彼らに母のような気持ちで接するようになり、世間からも、度胸のある女として、一目置かれるようになります。船宿の女将としてたくましく成長するお登勢。その過程を見事に演じきった黒木さんの姿に共感しました。