春のGIシリーズがひと区切り。さらに、来春のクラシックを目指す2歳戦も始まったことで、夏競馬の到来ムードが一気に高まっている。そうしたなか、関東では今週末、GIIIエプソムC(6月14日/東京・芝1800m)が行なわれる。

 過去10年の成績を見てみると、1番人気は4勝、2着2回、3着1回、着外3回と、比較的安定した結果を残している。だが、直近3年は1番人気の勝利がなく、波乱の傾向にある。しかも、今年はフルゲート18頭が出走予定。紛れが起こる可能性も少なくない。

 また、梅雨前線が活発化し、馬場への影響も相当ありそう。そうなると、悪条件のなか、思わぬ馬の台頭があっても不思議ではない。そんな状況を鑑(かんが)みて、日刊スポーツの松田直樹記者はこう語る。

「やや重開催だった昨年は、5番人気のレイエンダが2番手から抜け出して勝利。2着にも逃げ粘ったサラキア(7番人気)が入って、3着以下の追い上げをしのいでいます。10週連続開催となる東京競馬場も、今週で8週目となり、さすがにタフな馬場になりつつあります。加えて、週末は雨予報。道悪となれば、先行馬の残り目を狙いたくなります」


エプソムCでの一発に期待がかかるアトミックフォース

 そこで、松田記者は上がり馬のアトミックフォース(牡4歳)に注目する。

「前走はオープン入り初戦で、重賞のGIII新潟大賞典(5月10日/新潟・芝2000m)に挑戦し2着と奮闘。道中はマイペースで逃げて、直線では勝ったトーセンスーリアと競り合う形となりました。

 結局、1馬身半の差をつけられてしまいましたが、直線が長い新潟で最後まで踏ん張ったのは、地力強化の証だと思います。適度に休養を挟みつつ、大事に使われてきた成果が、ここに来て結果に表われているのでしょう。

 同馬が勝った4勝はすべて左回り。そのうち3勝が東京と、舞台巧者でもあります。ハンデ戦の前走から別定戦となる今回は、斤量が54kgから56kgに増えますが、今の充実ぶりであれば、それぐらいの斤量増もこなせると思います」

 松田記者はもう1頭、東京巧者の名前を挙げる。

「ダイワキャグニー(牡6歳)です。全7勝を挙げた”ホームコース”とも言える東京が舞台となって、見直したいと思っています。3歳時に、オープン特別のプリンシパルS(東京・芝2000m)を快勝し、オープン特別のキャピタルS(東京・芝1600m)で古馬相手に勝利した実力は、いまだ衰えていません。

 前走では、アトミックフォースと同じ新潟大賞典に出走。トップハンデタイの斤量57.5kgを背負わされて、14着と惨敗を喫しました。ただ、新潟では2戦して、ともにふた桁着順に終わっており、東京と同じ左回りでも相性はよくありません。

 昨秋も、GIII新潟記念(新潟・芝2000m)で16着に終わったあと、オープン特別のオクトーバーS(東京・芝2000m)を制しました。今回もその時と同じく、前走の大敗を度外視しての、V字回復を期待していいはず。中間も、少しずつ動きに力強さが戻ってきましたし、逆襲の準備は整いつつあります」

 一方、デイリースポーツの大西修平記者は、別の東京巧者に目を向ける。

「インビジブルレイズ(牡6歳)です。重賞初挑戦となった前走の新潟大賞典は5着に敗れましたが、上位4頭はすべて、自身よりも軽いハンデの馬でしたし、前が残る流れのなかで、しっかりと掲示板を確保したのは、地力強化の証明でしょう。

 今回は、2戦2勝と相性抜群の東京が舞台。前走よりも、さらに高いパフォーマンスが期待できます。

 同馬を管理する吉村圭司調教師も、『大事に使ってきたし、ハーツクライ産駒らしい成長を見せてくれている』と、6歳を迎えた今が、まさに充実期と言っていいと思います。

 3勝クラスのレースながら、3走前にはやや重で行なわれたレースを快勝。多少の馬場渋化にも、十分に対応可能です。『1800mも問題ない』と吉村調教師。別定戦に戻ることは、大いにチャンスがあると思います」

 大西記者ももう1頭、推奨馬を上げる。

「シャドウディーヴァ(牝4歳)です。前走のGIヴィクトリアマイル(5月17日/東京・芝1600m)は10着に敗れましたが、3コーナーでスムーズさを欠いたことが響きました。高速決着のマイル戦というのも、本質的には不向きだったのでしょう。最後は上がり33秒4という、力強い末脚を見せているように、条件や展開がかみ合えば、ここでもやれる力はあります。

 東京コースは、8戦1勝、2着4回、3着1回、着外2回と連対率は6割を超えており、もともと得意なコース。2、3歳時には2000m戦を主戦場としてきただけに、距離が延びるのもプラスに働くでしょう。

 未勝利戦を勝った時や、GI秋華賞(京都・芝2000m)で4着と善戦した時は、やや重の馬場。ある程度の渋った馬場なら、問題なく対応できる点も心強い限りです。うまくスタートを切って、中団ぐらいでリズムよく運べるようなら、好勝負できると踏んでいます」 コロナ禍にあって、梅雨入りとは……気分が重くなるばかりだが、ビッグな馬券をゲットして、そうした状況から一瞬だけでも開放されたいところ。そんなささやかな夢を叶えてくれる馬が、ここに挙げた4頭の中にいてもおかしくない。