来週の「エール」を見る朝ドラファンは、違うドラマになってしまったのかと仰天するに違いない。まるでファンタジーなのだ。ある昼下がり、古山音(二階堂ふみ)が娘の華を寝かしつけようとしていると、亡き父の関内安隆(光石研)が白装束姿で現れる。あの世で宝くじに当たり、閻魔様(橋本じゅん)から1泊2日の現世への旅が許されたというのだ。ただ、姿は家族にしか見えない。

帰宅した夫の裕一(窪田正孝)は、音から安隆の命日が近いと聞くと、そばに本人がいるとも知らず、「お義父さん、音さんを産んでくれてありがとうございます」などと正直にしゃべている。

幸せそうな音を見て安心した安隆は、今度は豊橋にいる妻・光子(薬師丸ひろ子)のもとへと向かった。そこで三女・梅(森七菜)から、馬具屋を継いでいる岩城新平(吉原光夫)の光子への気持ちを聞いた安隆は、岩城の働く作業場に「再婚を許す」と書いた紙を置く。

「かぐや姫に恋」

来週は恋の話が続く。裕一・音の家の隣の喫茶店「バンブー」の店主・梶取保(野間口徹)は、かつて神田で古本屋を営んでいた。常連客の木下一(井上順)は、内向的な保のことを気にかけていた。

そんなある日、若い女性(仲里依紗)が店に現れた。二宮恵と名乗り、博識で、保との会話も盛り上がった。以来、毎週木曜日になると現れるようになり、保は恋心を抱くようになる。

恵に気持ちを伝えることができない保。木下が親戚の子どもを連れてきた。佐藤久志(山口太幹)だった。木下から事情を聞いていた久志は、「なぜ行動に出ないのですか」などと子どもらしくないことを言い、ズバズバと保の図星をついてきた。

さらに、保は恵が左手薬指にはめていた指輪の意味を知って、外国人と婚約していると思い込んでしまう。「このままでは月に行ってしまいますよ」という久志の一言で、保は心を決めた。「月からかぐや姫を奪ってきます」と言うと、恵にプロポーズをしたのだ。

「パリの悲恋」

もう一つは悲しい恋だ。大正2年(1913年)春、パリで声楽を学んでいた双浦環(柴咲コウ)は、今村嗣人(金子ノブアキ)という日本人の画家と恋に落ち、一緒に暮らし始めた。日々練習に明け暮れる留学生と、天才と称される新進気鋭の画家の幸せな生活だった。

夏になり、嗣人は個展を開くが、新聞で酷評される。一方の環は、その美ぼうと才能を認められ始めていた。そして、とうとうオペラハウスで上演される『蝶々夫人』のヒロイン役をつかみとった。嫉妬した嗣人は、「俺は君という光の影でいるのは、耐えられない。歌を諦めてくれ」と環に懇願する。環は「私は光でいたい」と伝え、嗣人のもとを去る。

(NHK総合あさ8時)