●SkypeでもWeb会議はできる

○テレワークを支えるWeb会議サービス

外出自粛要請やロックダウンの解除によって経済活動は徐々に以前の状態に戻りつつあるが、今回の経験を教訓として、業務形態を職場勤務から在宅勤務へシフト、または職場勤務と在宅勤務を混在させる形態へシフトさせる動きも出てきている。その背景には、新型コロナウイルスとの付き合いが長期にわたることが予測されることや、テレワークの実施が思いの外スムーズに進んだことなどがある。教育機関においても、今後、新型コロナウイルスの第2波、第3波の到来に備えて、リモート授業の準備や拡充に取り掛からなければならない状況にある。

在宅勤務には、出社退社にかける時間を省略できるという利点がある。その分を生活に振り分けることができるほか、現在は新型コロナウイルス感染リスクの低減にもつながる。働き方改革を考えれば、遅かれ早かれ、いずれかのタイミングでテレワークは推進する必要のあることだった。新型コロナウイルスが大きなきっかけになったことは間違いないが、今後は働き方改革も意識して、業務形態の改善が進められることになる。

在宅勤務の推進には、事務所の賃貸費用や諸経費・交通費などの削減という利点もある。これまで職場勤務が必須だと考えられていた業務も、コロナ禍を通じて在宅勤務で遂行できることがわかった企業は少なくない。そうした企業では、在宅勤務を推進することで諸経費を削減できる。交通費の代わりに、通信費用手当や在宅勤務手当といった経費が発生することになるだろうが、トータルでは削減に働く可能性が高い。売上を確保する上でも、在宅勤務は魅力的なカードというわけだ。

テレワークでは、メッセージングツールやWeb会議が重要な役割を果たす。テレワークの成功は通信技術やコミュニケーション技術に依存しており、コミュニケーションがスムーズにできるかどうかは重要だ。こうしたコミュニケーションを実現するサービスはいくつもあるが、主要なサービスを挙げると次のようになる。

Microsoftは、同社のクラウドサービスをすべてMicrosoft 365へ集約しようとしている。このため、コミュニケーションツールとしてはMicrosoft Teamsが注目されがちだが、実際には古くからある「Skype」にも多くのユーザーがいる。そこで、本稿では、Web会議サービスとしてのSkypeに焦点を当てる。

○Skypeの特徴とは?

新型コロナウイルスの発生が10年前だったなら、Web会議の主役はSkypeにだっただろうと言われることが多い。SkypeはWeb会議システムとしては歴史が長く、既存のユーザーも多い。Skypeは現在、Microsoftが所有しており、Microsoftアカウントがあれば使用できる。

Skypeにはビジネス向けの有償サービスがあるが、MicrosoftはこうしたサービスをすべてMicrosoft 365へ集約しようとしており、ビジネス向けとしては「Microsoft Teams」がその役割を担っていく形だ。Skypeは既存のユーザーに対してサービスを継続するといった形になりつつある。

本稿執筆時点でSkypeが提供するサービスのうち、Web会議に関する主な機能は次のとおり(「Skype Fair Usage Policy - Skype」の内容に準拠)。

Skypeはアプリケーションを使うタイプのWeb会議システムで、他のサービスと比較して1会議当たりの時間が長いといった特徴がある(ただし、1会議当たりの時間はどのサービスも拡張を続けており、あまり差がなくなってきている)。

Skype for macOS

Skype for iPhone

SkypeアプリケーションやSkypeアプリはビデオ会議用のアプリケーションとして扱いやすく、使っていて特に困ることはないと思う。これまでSkypeを使ってきたユーザーにとってみれば慣れたものだ。

●ブラウザでWeb会議ができる「Skype Meet Now」

○Skype Meet Nowの特徴とは?

Microsoftは最近、Skypeのサービスを拡張する形で「Skype Meet Now」というサービスを開始した。これはWebブラウザからWeb会議を作成して利用できるというもので、会議の作成や使用にあたってMicrosoftアカウントすら必要がないという仕組みになっている。会議当たりの長さ制限などもなく、WebブラウザさえあればWeb会議が利用できる無料のサービスだ。

Web会議に関しては、主要なベンダーが矢継ぎ早に新しいサービスを発表したり、上限の拡張や撤廃を行ったりしている。Skype Meet Nowは本稿執筆時点でもかなり新しいサービスであり、これまでで最も導入の敷居が低いものとなっている。

Skype Meet Now

Skype Meet Nowは競合サービスに対する対応策という位置づけが強いサービスと見られる。導入障壁を低くすることで、ユーザーが他社のサービスへ流れるのを防ぐとともに、SkypeやMicrosoft Teamsへ目を向けてもらう狙いがあると考えられる。

システムにSkypeアプリケーションやSkypeアプリがインストールされていればそちらが起動するが、インストールされていなければそのままWebブラウザが使用される。Webブラウザにはマイクおよびカメラへのアクセス権を与えておく必要がある。

○Webブラウザに与えた許可に注意

Skype Meet Nowに限った話ではないが、Webブラウザを使うタイプのビデオ会議サービスを使う場合、Webブラウザにカメラとマイクへのアクセス権を与えたことを覚えておく必要がある。

Webブラウザは頻用するアプリケーションであり、こうしたアプリケーションにカメラとマイクへのアクセスを許可することは、セキュリティの面で懸念が残る。必要がなくなれば、与えた権限は削除するようにしたいところだ。

○複数のビデオ会議サービスを使うことが日常風景になりそう

今回取り上げたサービスも含めれば、注目度の高いビデオ会議サービスは次のようになる。サービスごとに細かい違いはあるが、数名で1時間程度の会議をするとかビデオチャットをするくらいであれば、どのサービスを使ってもそれほどの差はないと思う。違いが出てくるのは、ユーザーが多くなった場合と、業務で頻繁に使うことになった場合だ。

最近は、無償利用でも同時に50名まで利用できるようになっていることが多い。しかし、名目上50名になっているからといって、実際に50名でまともに使用できるかといえば、それはまた別の話だ。音声のクオリティや継続性など、本格的に使ってみないとわからないことは結構ある。数名で試した時は問題なかったが、本番環境で使ったらまるで仕事にならなかった、ということもある。無償版と有償版では、そうしたところに差が出てくる。

Webブラウザを使うタイプのWeb会議サービスは、導入は簡単だが、長期にわたって本格的に使うとなると不便なことも多い。専用のアプリケーションやアプリと比べてリソース消費が多く、利用できる機能も少ない。通話クオリティも時折首をかしげることが出てくる。この辺りは使い込んでみないとわからないところだ。作り込まれたアプリケーションやアプリには、相応のアドバンテージがあることが多い。

今後、Web会議をする機会はこれまでよりも増えるはずだ。利用するサービスもさまざまだろう。これまでOffice 365(現:Microsoft 365)を使ってきた企業ならMicrosoft Teamsが使いやすいし、企業向けのGoogleサービスを使っているならGoogle Meetを使うのが自然だし、これまでWeb会議をする機会が多かった企業ならすでにWebex Meetingsなどを導入済みだろう。コロナ禍をきっかけにWeb会議を導入した企業はZoomの利用が多いかもしれない。

これから先、会議をする相手ごとに利用するサービスが違うというのが当たり前の光景になっていくだろう。どのサービスも招待を受けて利用する分には簡単だ。どのサービスも無償のサービスは簡単に導入できるので、あらかじめ試しておくのは悪くない投資だと思う。