堀江貴文さんが「直接会いたい」という依頼に懐疑的な理由とは?(写真提供:学研プラス)

3月6日、僕のYouTubeチャンネル、ホリエモンチャンネルでカルロス・ゴーンさんと対談した動画をアップした。ゴーンさんが滞在しているレバノンに出向いて、撮影したものだ。

反響はすさまじかった。アップした直後に、SNSのニューストレンドのトップに上がり、1週間ほどで再生回数は200万回に迫った。僕のチャンネルのなかで、過去最大級の話題の動画となった。

ゴーンさんは現状、日本のマスコミとはごくわずかなメディアを除きコンタクトは取っていない。インタビューを許される大手メディアは皆無と言っていい。そんななか僕は個人的なつながりで、ゴーンさんとパイプがあり、対談することができた。新聞社やテレビ局の驚きは、相当なものだっただろう。

古いシステムを守っていると本当の成果は得られない

スマホで手軽に、個人が情報発信できるようになって、大手の組織の権威とか調整力は、意味をなさなくなった。むしろ僕のように、各分野に自由なつながりを持ち、機動性の高い多動な生活をしている個人のほうが、社会的に重要な情報をキャッチアップできるようになっている。メディアと個人との境目が溶けてきている時代の実態を、多くの人に理解してほしい。

まず大手の組織の人たちは、思考回路が古い以前に、スマホをまるで使いこなせていないのが問題だ。高度な情報化社会においては、とにかく早く行動しなくてはいけないのに、「上との調整をしないといけない」「周囲の根回しを済ませてから」……などと時間をかけてしまう。そんなものスマホで、さっさと片付けてしまえ!と言いたい。イライラするような作業に、いつまでも時間を取られ、しがらみや決まり事にも足を引っ張られているうちに、肝心なタイミングを逃しているように見える。

機材や人脈を備えれば、いいというものではないのだ。大手のマスコミが、ゴーンさんとの対談のように社会的にインパクトのある動画を撮るのは、もう難しいだろう。

ホリエモンは飛び抜けた有名人だから、大手企業のできないようなこともできるんだ、という意見もあるが、まったく違う。要はスマホを使いこなす基本的な理解力と、動き出しの早さの問題だ。スマホ革命が起こした、社会の変化を認識していれば、どう動くべきか、自分の頭でわかるはず。会社など、古いシステムのスピード感を守っているうちは、本当の成果は得られないのだ。

会社員のように、大きな組織に所属する選択も否定はしないが(いいところはゼロという僕自身の意見は変わらない)、組織の体質に染まり、行動の意欲を下げ、立ち止まっていてはダメだ。

宮迫博之さんとの対談動画をアップしたときもそれを痛感した。スマホを生かした素早い動き出しで、個人の立場で大手メディアに匹敵する、センセーショナルな情報は、いくらでも発信できる。そういった時代のリアルな性質を深く理解してもらえたら、サラリーマンでも、行動は変わっていくだろう。

大手企業に所属するのも、安心感に頼るのも、結構だ。しかし組織のルールにとらわれ、動きだす一歩をためらい、「旧世代」にのみ込まれてはいけない。

スマホの可能性をフルに発揮して、「旧時代」の常識を振り切り、新しい時代に乗っていくのだ。

優れた人に会いたければ自分のレベルを上げよう

僕は仕事の打ち合わせや段取りの確認など、すべてスマホでこなしている。微妙なニュアンスが必要なクリエイティブな仕事は、SkypeやLINEのグループ通話で進めることができる。

そんな時代に、「どうしても直接お顔を見ながら話したい」とか「何とかお会いする時間をいただけませんか?」と言ってくる人がいる。こうして相手の時間を平気で奪う自分本位の人間とは、はっきり言って、もう付き合わなくていいと思う。

「直接会って話せばわかり合える」という根拠のない“常識”が、いまだに根強く残っている。SNSでは真意が伝わらないと決めつけて、話せば万事、心が通じ合う、みたいなことを思い込んでいる。会えば相手のことが全部わかるなど、人間の複雑な側面を軽く見すぎだろう。

直接会ってもウソしか言わない人はたくさんいる。むしろ、直接会って話したときのほうが人間はウソをつきやすい。スマホで済むような話を、わざわざ会って処理させる人を信用してはいけない。相手の時間を余計に奪うことは、ウソつきよりも質が悪い。

SNSのメッセージアプリを使えばデータにきちんと記録が残るし、“書く”という手作業に落とし込んでいる分、思考の本質が強く出る傾向がある。だから受け手の側も、直接会うときより相手の真意を測りやすいのだ。

堀江貴文さんに会いたい、ぜひお話ししたい!という人は、すごくたくさんいる。スマホであれだけ考え方や情報を発信しているのに、なんで会いたいの?と思う。講演会の依頼も多いが、基本的に特別な関係以外のオファーは断っている。

生で会うホリエモンから、ネットにはアップされない、特別な面白い話を教えてもらえると考えているのかもしれないが、ただの幻想だ。生で会わないと得られない面白い話なんて、持っているはずがない。

面白い話というのは、一緒につくり出すものだ。例えば「こんなアイデアがあります」「こっちのほうがいいんじゃないの?」「なるほど。じゃあこうしてみます」と議論して、話は段階的に面白くなっていく。もちろん、これは直接会わなくてもメッセージアプリで実現できることだ。

対等に話し合える関係性でなければ、会う意味はない。これは僕に限らず、著名人に会いたいと願う人に覚えておいてほしいことだ

烏合の衆となって、拝みながら“ありがたい言葉”を聞きたいというスタンスでは、優れた人に会っても何も生まれない。しかし、スマホを駆使して多くの思考と発信を続け、自分のレベルを上げていけば、そこで何かが生まれるチャンスはある


一般の人でもSNSでの活動をきっかけに有名クリエイターとコラボしたり、超一流の起業家を取材したり、大手企業から講演に招かれることは少なくない。僕の主宰するオンラインサロン・HIUでも、無名からコツコツと努力して、本を出版するチャンスをつかんだメンバーがいたりする。

いまはスマホで簡単に情報が手に入る。誰だって1つの分野に深く精通することは可能だ。まずは学びを深掘りして、高いレベルに上がる作業を重ねよう。

影響力のある人と出会い、そこで化学反応を起こすためには、努力を重ねて、相手にメリットを与えられる確かな実力をつけるしかないのだ。