『Inkscape』のウィンドウ

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◆無料のドロー系ソフト Inkscape 1.0 がリリース

 無料のドロー系ソフト『Inkscape』のバージョン 1.0 が、2020年の5月4日に公開された。私自身、非常にヘビーに利用しているソフトなので興奮した。一般の人には馴染みがないと思うが、無料で利用できるグラフィックソフトで、Linux、Windows、MacOS のいずれでも動くので有用だ。

 『Inkscape』は、基本的には2次元の画像を作成するグラフィックソフト(お絵かきソフト)だ。2次元の画像を作成するグラフィックソフトは、大きく分けるとラスター形式とベクター形式に分けられる。

 ラスター形式は、1ドットずつに色を置いていく方式である。写真などでよく見る JPEG などは、この形式である。Windows 付属の『ペイント』や、『Adobe Photoshop 』などが、この方式である。

 ベクター形式は、複数の点の座標を用意して、ソフトがそのあいだに線を引く方式である。代表的なソフトは、『Adobe Illustrator』になる。この形式は、写真のような精細な画像を作成するのには向かないが、拡大縮小してもきれいな線のままという特徴を持っている。そのため、ロゴや地図などを作るのに向いている。

 ベクター形式の場合、基本的に、図を組み合わせたり、点を移動したりして絵を描くので、フリーハンドで絵を描く能力がなくても、絵を作ることができる。そのため、簡単な図形を組み合わせて絵を描きたい場合は『Inkscape』は威力を発揮する。

 次項では、さらに踏み込んで『Inkscape』を紹介していく。

◆Inkscape はどんなソフト?

 『Inkscape』の保存ファイルの形式は『SVG(Scalable Vector Graphics)』になる。SVGは、Webページで標準的に利用できる画像形式だ。そのため、Webページ用のSVG形式の画像を、『Inkscape』で作成することができる。

 また『Inkscape』は、作成した画像を好きなサイズでPNGファイルにして出力することもできる。さらに、PDFとして出力することもできるので、1枚ペラの文書や案内状を作る際にも用いることができる。Excel方眼紙のような用途の場合、たいてい『Inkscape』で事足りることになる。

 『Inkscape』は、保存形式がSVGという標準的なファイル形式なのは先ほど話した。このSVGはXMLベースで、その中身はテキスト形式になっている。そのため、テキストエディタで開いて中身を確認することができる。また、XML形式なので、XMLエディターを使い、ツリー状に構造を表示することができる。

 こうした形式であることは、プログラマーにとっては非常にありがたい。自分でプログラムを書いて、データの構造を書き換えたり、色を置換したりすることが簡単にできる。また、『Inkscape』は、コマンドラインで呼び出して、SVGを好きな解像度でPNGに出力したり、PDFファイルに出力したりすることもできる。こうした特徴を組み合わせると、グラフィックに関わる作業の自動化を、高度に実現できる。

 また、エクステンションという拡張機能のプログラムを、自前で書くことができる。エクステンションを使うと、『Inkscape』上での手作業の多くを自動化することが可能だ。私自身も、エクステンションを書いて活用している。また、他人が書いて、ネットに公開しているエクステンションを利用することもできる。

 私はインディーゲームを作る際に、この『Inkscape』をよく利用する。SVG形式でグラフィックを作り、プログラムで色やサイズのバリエーションを作り、『Inkscape』のコマンドライン機能を利用してPNGで出力する。その後、『ImageMagick』というラスター形式の画像を扱うプログラムを利用して、キャラクターを並べて配置して、キャラクターチップを作成する。