緊急事態宣言が解除されて久しぶりの出社や登校が始まり、髪の毛も伸び伸びのまま、梅雨を前に煮えきらない天気が湿気をまとってきて、より髪がまとまらない。

【画像】髪型がサマになる髪の乾かし方

 お家に籠もっている間に記憶の奥にしまった美意識を引っ張り出して、「あれ、どうやってアイライン引いてたんだっけ?」と思いながら、美容室に行ったら第2波に巻き込まれるんじゃないかと身を案じている、そんな貴方へ。

 私、東京の二子玉川の美容室に勤める30代美容師が、伸びきった髪の毛でもできるヘアセットの仕方についてのお話をさせていただきます。


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応急処置1:てっぺんのふんわり感で見た目を変える

 ヘアスタイルをよく見せるには、形(フォルム)が大事です。カッコいい、カワイイ、キレイなヘアスタイルには、共通点があります。

 それは、頭のてっぺんがふんわりしていることです。それも、てっぺんが三角形になっています。三角になることでスタイリッシュに、こなれ感のある雰囲気になります。

 てっぺんのふんわり感を出すとなぜ違って見えるのか、それは日本人の頭の形にあります。

 例として、先程の男性の絵を坊主頭にしてみましょう。

 日本人の彼の頭はこんな形です。

 西洋人の頭の形は丸いのですが、対して日本人の頭は、絵の赤線の通り、四角く骨張っています(この角を『ハチ』と呼びます)。

 ハチが張っていて頭が四角いと、右の絵のように髪の毛もそのまま四角くなり、頭が大きく見えてしまうのです。

 ハチが張って見えない状況を作るために、てっぺんをふんわりさせつつ、ハチの部分は抑えて三角にする必要があります。

 これは、目の錯覚を利用している状態です。

 そもそも洋服を含めた「ファッション」は、西洋の文化です。カッコいい、美しいの基準は西洋の長い歴史の積み重なりから作られています。

『西洋人がより美しく見えるバランス』が洋服に反映されているので、同じものを日本人が使っても、体型が違いすぎて上手くいきません。

 日本人の場合は、西洋人のようなスタイルに見えるよう『錯覚・錯視』させることでカッコよく、美しく見せることができるのです。

 ちなみに『角刈り』や『アイパー』はこんなシルエットですが、あれは日本特有の文化なので、西洋の「カッコいい」の文化とは別物です。

てっぺんのふんわり感を作る乾かし方

 てっぺんのふんわり感を作るための手軽な方法は、ドライヤーの乾かし方です。

 髪の毛は、濡れた髪が乾いた時にクセがつきます。なのでドライヤーで乾かす時に、てっぺんを片手で握りながら、根元にドライヤーの風を当ててみてください。この工程によって、根元が少しふんわりします。

 これには注意点が二つあります。

 一つ目は、乾いた髪にやっても効果がありません。濡れた髪が乾いた時にクセがつくので、始めようとした時にすでに自然乾燥していたら、軽く濡らしましょう。

 二つ目は、必ず片手で握ること。ドライヤーの風だけで根元を立ち上がらせると、ふんわりし過ぎて不自然な立ち上がりになります。初期のX JAPANばりの立ち上がりは求めていません。

 また、「スタイリングだからヘアワックス使えばいいんじゃないの?」と考えた方もいるかと思います。特に男性はワックスでのスタイリングが多いので、それも間違いではないのですが、根本的にワックスでは根元を立ち上げることはできません。

 ワックスは形を固める、束感や艶っぽさを演出するものなので、ドライヤーで乾かした状態の土台を保持することしかできません。さらに髪を切れないでいると、毛量も多くなり、よりワックスが効きにくい状況になります。あくまでワックスは補助するものとして考えましょう。

 寝グセ頭はワックスでは直すことができないので、髪を濡らして乾かす事が大切です。

応急処置2:おでこと眉毛を出す

 顔にかかる部分の前髪(バング)は、おでこと眉毛が見える加減によって印象が変わります。絵の女性は、同じ顔と髪型のまま、前髪だけを変えた6パターンです。

 髪が伸びてしまうと野暮ったく、不潔な印象になりやすくなります。しかし、図の4.5.6のようにおでこと眉毛が出るような前髪にすると、清潔感が増して「しばらく美容室に行ってない」印象を回避しやすくなるのです。

 また前髪は、ちょっと大げさですが、まるで美容整形したかのように、その人の顔の印象を変えることができます。

 図の4.5.6のようにおでこと眉毛が出ていると、

外交的、強気、カッコいい、大人、精悍、活発、ハキハキしている、賢い、仕事ができる

 と言った印象を与えやすくなり、逆に1.2.3のようにおでこが隠れていると、

内向的、優しい、可愛い、子供、柔らかい、ナヨナヨしている、幼い、芸術性がある

 と言った印象を与えやすくなります。

 おでこと眉毛を出すとなぜ違って見えるのか、それはおでこと眉毛が見える加減によって自分の表情がどれくらい見えるかが変わるからです。

 顔の表情は、コミュニケーションの大部分を占めています。髪の毛で隠れている加減によって、初対面の人でも、相手が外向的な性格なのか、内向的な性格なのか、また個性的でありたいのか、コンサバティブでいたいのか、などを直感的に受け取ることができます。

 髪が伸びて不潔な印象にならないように、おでこと眉毛が出るような前髪を意識しましょう。

応急処置3:耳を出す

 次の絵は、耳周りの髪の毛の長さだけを変えた男性です。

 右の絵の方が髪が長く、野暮ったい印象です。逆に左のように耳を出すようにすると、ちょっとスッキリした感じに見せることができます。

「わざわざ言われなくても分かってるよ」というぐらいのことかもしれないですが、意識してやると、確実に効果があります。

 耳を出すとなぜ違って見えるのか、それは、顔の出る面積が増えるからです。

 耳を出した分、特に輪郭の部分がハッキリと見えるようになります。顔の見える面積が増えることによって、清潔感を演出することができます。

 髪の長い女性は髪を結ぶと効果絶大です。

 男性のフォーマルなスタイルも、耳が出るようなスタイルが好まれます。刈り上げやツーブロックは特に、精悍で仕事ができそうな雰囲気を演出することができますが、髪を切れずに伸び切っている今は、耳にかからないようにしてみましょう。

応急処置4:ツヤを出す

 車に例えてみましょう。新しい車と古い車。形はカッコよくても、古びてツヤがないと高級感はありません。ツヤは、整っている印象を与えます。

 ツヤがあると、

 新品、高級感、キレイ、大事に扱っている、フォーマル

 ツヤがないと、

中古品、生活感、汚い、使い古した、カジュアル

 といった印象になります。経年劣化した古い車にはキレイに見えない理由があるのです。

 例えば、男女問わずフォーマルな装いにはツヤ感、特に女性のドレスにはドレープ感(ツヤっぽい生地のシワの光沢)が強調されています。

 ツヤを出すのに最も簡単なのは、ジェルやグリース、女性ならオイルなどのツヤツヤになるスタイリング剤を使うことです。これらを使うと、反射しやすい反射板をつけているような状態になります。

 また、ブラシやコームを通して、髪の毛の「平面」を整えるだけでも髪の毛のツヤは増します。web会議前のコーミング、ブラッシングは効果アリです。

 ただし、例外があります。ツヤツヤ、そしてコーミングというと、僕は『いいよなおじさん』を思い出してしまいます。見たら笑っちゃうので、これは、アウト!

あくまで応急処置です

 伸びた髪の毛をよく見せるために「清潔感」に比重を置いて説明していますが、「この4つのポイントさえ抑えれば、どんなボサボサヘアもキレイに見える!」ということではありません。

 このご時世ですので、これはあくまで応急処置です。どこの美容室も三密対策に手を焼いているところですが、お客様もできる最善の注意を払って、美容室に行くことをお勧めします。

(操作イトウ)