人と座席の対応関係を固定せず、オフィスの中で自由な席で仕事をしてOKという「フリーアドレス」は、さらに考えを拡張して働く場所をオフィス内外問わず時間も自由に選べるという「ABW(Activity Based Working)」や、1つの机やコンピューターを複数人で共有する「ホットデスキング」といった派生形態を生んでいます。

この「フリーアドレス」にとって核心の課題の1つは、「いかにして作業者の集中力を良好な状態に保つか」。その「最適なフリーアドレスの姿」は、いろいろなフリーアドレスで作業者の集中力がどれぐらいのレベルになるかを測定できれば探し出せるはず。こうした考えに基づき、ロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)のMohammad Saiedur Rahaman氏らが、「作業者がどれぐらい集中しているか」を割り出すための環境物理システムを考案し、実際にテストを行っています。

An Ambient-Physical System to Infer Concentration in Open-plan Workplace - IEEE Journals & Magazine

https://doi.org/10.1109/jiot.2020.2996219

Can't concentrate at work? This AI system knows why

https://techxplore.com/news/2020-06-ai.html

RMITの研究チームは世界的な設計会社であるArupと協力して、2つのABWのオフィスで31名のスタッフを対象に、4週間にわたってAI駆動システムによるテストを実施しました。

その結果、それぞれのスタッフには「窓際」「キッチンのそば」「上司の近く」などお気に入りの場所があり、場所を確保できないと集中力が下がることがわかりました。

また、どこに座っていたとしても、快適に集中できるかどうかの要因の1つは室温でした。ほとんどの人は22.5℃以下だと集中するには寒すぎると感じ、労働時間が経つにつれて室温に敏感になっていったとのこと。当然のことながら、前夜の睡眠の質も集中力に大きな影響を与えました。

さらに、会議の回数は集中力に影響を与えており、会議の出席数が多い人は出席数が少ない人に比べて集中力の低下が見られたとのこと。会議の数を減らすために「ざっくりとしたミーティング」を活用する人がいますが、他の人にとってはこの種のミーティングも会議と同様に集中力を散らす原因であるとみられています。このほか、ラハマーン氏はオフィスの人口密度が高いときの二酸化炭素濃度が集中の妨げになっている点についても言及し、「オフィス設計において、高品質の冷暖房換気システムと観葉植物が二酸化炭素削減のためにいかに重要であるかを示しています」と述べました。