リーグ開幕戦は30分から途中出場した神谷。果敢な仕掛けから多くのチャンスに絡んでいた。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 2月22日のJ1開幕戦。瀬川祐輔が負傷し、30分で交代を余儀なくされた。

 J2を優勝した昨季、瀬川の活躍は出色だった。得点数は8とチーム4番目の数字だったが、攻守両面におけるチームへの貢献度は昨季J2でMVP級の働きと言っても過言ではない。したがって今季の開幕戦で、瀬川が早々に退くことになったのは、柏にとっては非常事態だった。昨年までならば――。

 交代で投入されたのは神谷優太。39番を背負うニューフェイスは、瀬川の不在を感じさせない素晴らしいプレーを披露し、チームの開幕戦快勝に貢献した。

 直近2シーズン、神谷は期限付き移籍先の愛媛で66試合に出場し13得点という成績を残した。昨年6月にはトゥーロン国際大会に出場するU-22日本代表にも選出されている。J1に再挑戦すべく、今季から柏に新天地を求めた。
「去年の愛媛では、僕ひとりで打開することしか考えていなかった」という神谷。ただ、柏の新体制発表会では、江坂任をはじめとした攻撃陣との共演を楽しみにしており、自分自身も含めて「僕たちのイメージはトップクラスだと思う」と融合に自信を覗かせていた。

 開幕戦のピッチでは、その感覚が間違いではないことを示した。札幌戦の自分のプレーを振り返る。

「良いコンビネーションができたと思います。自分は顔を上げた瞬間のアイデア、引き出しは持っていると思いますし、それを上手く合わせることができました。とにかくレイソルは一人ひとり個々の力が凄いので、どんなプレーをしても合わせられると思います」

 キャンプの時点ではまだ神谷の序列はそこまで高くはなく、一貫してBチームでプレーしていたため、江坂、オルンガ、クリスティアーノと同じチームで長い時間に渡ってプレーをするのは開幕戦が初めてだった。本来ならば連携不足を露呈してもいいはずだが、逆に神谷は今後に期待を抱かせるコンビネーションを見せた。

 左サイドからドリブルを仕掛け、カットインで侵入していくプレースタイルは、江坂、瀬川、クリスティアーノ、オルンガの4人とは異なるテイストだ。
 しかし、いくら攻撃センスに長けていようが、守備面を含めた戦術的タスクをこなせなければ、ネルシーニョ監督は戦力として見なさないだろう。その点も、瀬川の献身性を挙げて「瀬川くんは練習から凄いプレッシャーをかけて、チームのベース以上のことをやっている。あれを僕の中でもベースにしたい」と守備力向上にも前向きな姿勢を見せる。守備はあくまでもベース。そのタスクを遂行したうえで、自分の攻撃センスを発揮する。

「任くん、ミカ、クリスのプレーはすごく勉強になるので、先輩の姿を見て良いものは真似したいです。なおかつ自分が持っている誰も持っていない特長を出していけたらいいと思います」
 この2年間、J2では結果を残した神谷も、J1では湘南時代に14試合出場しただけで、いまだ無得点である。それでも、開幕戦のプレーを見た限りでは期待をせずにはいられない。

 江坂、オルンガ、クリスティアーノ、瀬川ら個性豊かなタレントと神谷の攻撃センスが融合すれば、間違いなく柏の攻撃力は増幅されるだろう。神谷にとっては4年ぶりのJ1。リーグ再開後は強烈なインパクトを放ち、爪痕を残せるか。

取材・文●鈴木 潤(フリーライター)

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