米国のドナルド・トランプ大統領(左)と中国の習近平国家主席(2020年5月14日作成)。(c)Brendan Smialowski and Fred DUFOUR / AFP

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【AFP=時事】21世紀を決定付ける世界の二大勢力と目されている米国と中国はこれまでにも衝突や不和を繰り返してきたが、今ほど多くの重要局面で対立していることは過去に例があまりなく、米中関係の悪影響が世界中に飛び火することへの懸念が高まっている。両国が現在対立している主な分野についてまとめてみる。

■黒人男性死亡事件

 米ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で警察官が非武装の黒人男性を過剰な力の行使によって死亡させた事件をきっかけに全米で抗議活動が激化する中、中国外務省の趙立堅(Zhao Lijian)報道官は「米国の人種的なマイノリティー(少数派)に対する人種差別は、同国の社会の慢性病だ」と記者団に語った。

 一方、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の国家安全保障顧問であるロバート・オブライエン(Robert O'Brien)氏は米ABCニュース(ABC News)で中国当局に対し、「わが国で目にしていることに喜びと慰めを見いだしている」と非難。「(是正を求めている米国人は)平和的な抗議をしたことを理由に投獄されることはない。私たちとあなた方の国とでは違う」と述べた。

■新型コロナウイルス

 米国は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)によって世界で最も大きな被害を受けている。トランプ氏は、中国の都市・武漢(Wuhan)で新型ウイルスの集団感染が発生した際の中国政府の対応が透明性を欠いていたと非難。一方、中国側はそうした疑惑を否定し、米国が「新たな冷戦の瀬戸際」まで緊張状態を押し進めていると警告している。

 またトランプ氏とマイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官は、折に触れて新型ウイルスを「チャイナ・ウイルス」「武漢ウイルス」と呼び、中国の研究施設から流出したと主張し、中国政府を激怒させている。

■貿易

 トランプ氏は長年、中国は貿易上の不公平な優遇措置を通じて米国よりも優位に立っていると主張し、怒りを示してきた。また知的財産の窃盗を抑制する対策を講じていないとして、中国政府を批判している。

 そうした中、トランプ氏は2018年初めに中国に対する貿易戦争を開始。その後、両国間の報復関税の応酬により、数千億ドル規模の2国間貿易問題に発展した。世界経済はそのあおりを受け、新型ウイルスのパンデミック以前から不穏な空気が漂っていた。

 両国は今年1月、貿易交渉をめぐる「第1段階の合意」に署名したが、貿易戦争はいまだ完全には解決していない。

■ファーウェイ

 中国を国際的に孤立させるための措置をエスカレートさせている米国が標的としているのは、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ、Huawei)だ。米政府は同社が米国の企業秘密を盗んでいると非難し、また同社の機器を通じて中国政府が世界中の通信データを傍受する可能性があると警告している。

 直近では米国は5月、ファーウェイに対し、自国のソフトウエアや技術を用いて開発された半導体を同社に利用させない制裁を科し、打撃を与えた。

 米政府はまた詐欺の容疑で、ファーウェイの孟晩舟(Meng Wanzhou)最高財務責任者(CFO)のカナダからの身柄引き渡しを求めている。

■香港

 中国の全国人民代表大会(National People's Congress、全人代、国会に相当)は5月28日、香港への統制を強める「国家安全法」を導入する方針を採択した。政府は、香港で抗議を続ける民主派は外国の支援を受けていると非難し、法と秩序を確保して外国の干渉を防ぐために同法が必要だったと主張している。

 これに対し、トランプ氏は「香港にはもはや十分な自治はない」として29日、香港に認めてきた貿易上の優遇措置を撤回すると発表した。

■ウイグル自治区

 トランプ政権は、中国の新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)でイスラム教徒のウイグル人やその他の少数民族100万人以上が拘束されているとして、中国当局を公然と批判してきた。

 米議会はこの強制収容をめぐり、中国当局への圧力を強めるために5月27日、中国当局者に資産凍結と米国への入国禁止という制裁を科す「ウイグル人権法案」を超党派の支持を得て可決した。

■台湾

 中国は台湾をいつか統一すべき領土の一部と見なしており、場合によっては武力統一も辞さない構えだ。米国は、台湾との正式な外交関係はないものの、主要な同盟相手として、台湾最大の武器供給国ともなっている。そうしたことから中国政府は、米台間の武器売買や高官レベルの接触を非難してきた。

 5月に台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統の再選をポンペオ米国務長官が祝福した際、中国政府は猛烈に反発し、ポンペオ氏のメッセージは「非常に危険」だと表現した。

■南シナ海

 米中は、資源が豊富な南シナ海(South China Sea)をめぐっても衝突している。中国は南シナ海の大部分で領有権を主張しており、域内での覇権を強化するために人工島を建設。艦船を配備して前哨地を武装し、中国の漁船が他国の船舶に衝突する事例が相次ぐなどして近隣諸国の怒りを買っている。

 これに対し、米海軍は定期的に「航行の自由作戦」と呼ぶ演習を行っており、中国が領有権を主張する海域に近づいて、中国政府の非難を招いている。

【翻訳編集】AFPBB News

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