「綺伝 いくさ世の徒花」を「改変」して科白劇として上演する(C)舞台『刀剣乱舞』製作委員会 (C)2015-2020 DMM GAMES/Nitroplus

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舞台「刀剣乱舞」の最新作「『刀剣乱舞』 綺伝 いくさ世の徒花」は、「舞台『刀剣乱舞/灯』綺伝 いくさ世の徒花 改変 いくさ世の徒花の記憶」に改題し(「綺伝 いくさ世の徒花」には打ち消し線)、科白劇(かはくげき)として上演されることが2020年6月1日に発表された。

新型コロナウイルス対策として「舞台上での」ソーシャルディスタンスを保って上演する予定であり、新展開の舞台がどうなるかみどころだ。

「刀ステ」8作目に降りかかったコロナ禍

舞台「刀剣乱舞」シリーズは2016年の初演で、キャストとエピソードを変えつつ、新作を繰り返し上演してきた。一貫して末満健一さんが脚本・演出を担当している。5月25日から31日まで、動画配信サイトのDMMで全作品を無料配信して話題にもなった。

当初「『刀剣乱舞』綺伝 いくさ世の徒花」として上演予定だった最新作は8作目にあたるが、同じキャストのまま公演日程を変更して地方公演を中止し、6月からの上演予定を7月からに変更して行う。

舞台「刀剣乱舞」、通称「刀ステ」はダイナミックな殺陣や精緻な衣装、原作ゲームの歴史観を踏まえた脚本がみどころだ。しかし、新型コロナウイルス対策として当面ソーシャルディスタンスが求められるために、科白劇としての上演になった。

また追加キャストとして、大友宗麟役・三浦浩一さん、細川忠興役・早乙女じょうじさん、黒田孝高役・山浦徹さん、高山右近役・黒川恭佑さん、小西行長役・堀田勝さん、大村純忠役・石原正一さん、有馬晴信役・船木政秀さんの出演が決定した。その他の出演者は「綺伝 いくさ世の徒花」と変わらない(歌仙兼定役・和田琢磨さん、山姥切長義役・梅津瑞樹さん、にっかり春江役・佐野真白さん、亀甲貞宗役・松井勇歩さん、獅子王役・伊崎龍次郎さん、篭手切江役・大見拓士さん、古今伝授の太刀役・塚本凌生さん、地蔵行平役・星元裕月さん、細川ガラシャ役・七海ひろきさん)。

事態終息後に「改変」前の舞台も

「科白劇」「出演者同士のソーシャルディスタンス」とのことで、シリーズの大きな魅力だった殺陣は今夏の新作では一旦封印となるだろう。「科白劇」を額面通りに解釈すれば、動きのない、俳優の語りとしぐさだけで構成される舞台になると思われるが、演出に注目だ。

また気になるのは舞台の内容。当初のタイトルの「『刀剣乱舞』綺伝 いくさ世の徒花」を残しつつ、「改変 いくさ世の徒花の記憶」というサブタイトルを付け加えた。サブタイトルの「改変」の二文字が気にかかる。

もともとゲーム「刀剣乱舞」は、歴史の改変を目論む歴史修正主義者に対抗して、名刀の付喪神である刀剣男士が過去に送り込まれて戦うという設定である。つまり、このコロナ禍そのものを当初企画されていた舞台への「改変」とみなし、それをほのめかすような物事が脚本に盛り込まれるのでは、と想像もできる。

科白劇上演のお知らせとともに、もともとの「綺伝 いくさ世の徒花」は、「事態が終息したのち、改めてお届けできるよう努めて参ります」というメッセージも発表されている。

初演から5年目、8作目では初の女性キャスト、七海ひろきさん(細川ガラシャ役)を起用する新しい試みも打ち出した刀ステに降りかかったコロナ禍であるが、5年間続けてきたダイナミックで美しい舞台も届けたいとのスタッフの意気込みもうかがえる。

刀ステなどの2.5次元舞台はうなぎ上りの勢いで市場を拡大し続け、2018年には既に市場規模は200億円を超えたと報じられている。新型コロナ感染防止策に配慮した科白劇の上演も、厳しい状況が続く中でも舞台エンタメの灯を絶やさないための刀ステ制作陣の意志のあらわれと受け止めたい。舞台は6月2日時点で、7月16日〜8月2日に東京・品川プリンスホテル ステラボール、8月4日〜9日に東京・日本青年館ホールで上演予定である。

(J-CASTニュース編集部 大宮高史)