今年制作された「レッズ花壇」。2万株のビオラがクラブエンブレムを形作った。写真提供:東武動物公園

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 2000平方メートルの広大な花壇一面に植えられたビオラ2万株。黄色、赤、黒、白とそれぞれの花が見事な配列で並べられ、巨大なクラブエンブレムを浮かび上がらせる。

 東武動物公園の「レッズ花壇」。その名のとおり浦和レッズをイメージして作られた花壇である。

 レッズ花壇以外にも、浦和レッズと東武動物公園は、コラボチケットを発売するなど様々な取り組みを連係して行なっている。

「コラボチケットの企画はレッズさんからお話を頂きました。嬉しいですね。レッズのファン・サポーターの方にもっと東武動物公園に遊びに来てもらいたいですし、逆に東武動物公園のお客様にもレッズの試合を観に行ってほしい。その相乗効果がありますから」

 そう語るのは、東武動物公園の庭園管理士である東海林彬(とうかいりん・あきら)氏。2年前から「レッズ花壇」を手掛け、レッズとのつながりを作った張本人であり、元レッズのOB選手である。
 
 レッズとのつながりが生まれたきっかけは、思いつきだった。

 東海林氏は言う。「僕が担当しているハートフルガーデンのバラのエリアを拡張する機会がありまして。バラの品種を探していた時に、思いついたのが『レッズローズ』だったんです」。

『レッズローズ』とは、2010年に育種家の河合伸志氏によって作られたバラで、レッズの力強さや赤が表現されている品種だ。

「僕がOBだったこともあり、レッズローズには以前から興味があったんです。自分らしさを取り入れたいという想いから、プロジェクトチームでレッズローズの話をさせていただいたら、『面白いね』と言ってもらって。それからレッズローズの植樹イベントをやったりするなかで、僕が選手時代にお世話になったレッズのスタッフさんと『大きな花壇を使って何かできたら良いね』という話になりました。それからスタートしたのが『レッズ花壇』です」

 それから企画、デザイン、種の発注、苗の飼育、植え付けなどを経て、ついに昨年、「レッズ花壇」の1作目が完成した。
 その反響は大きかった。

「レッズのサポーターがユニホームを着て来場して写真を撮ってくれたり、『初めて見た』と感激してくれたり、それに会社に電話で問い合わせもあったりして。1年目にしてはかなり反響をいただきました」

 そして、そんな反響に応えるように、今年第2作目が庭園に完成する。しかも昨年よりも約6000株増のビオラ2万株。「昨年はもっと花と花の間隔を詰めたかった」という反省も踏まえ、スケールアップを遂げた。

 しかし――。

 ようやく見頃を迎えた4月〜5月、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で一時閉園を余儀なくされた。まさにピークと言える時期を棒に振ってしまうのだ。

「どうしようもないとしか言えないんですけど、もどかしいというか……。やっぱり現場で直に見ていただきたかった。壮大さやリアルな花の香りを体感してもらいたかったです」

 東海林氏は口惜しそうに言う。
 
「植えたばかりの頃はまだ花苗が小さいので、全然エンブレムの形が分からないんですけど、それから1カ月をかけて絵柄が浮かび上がってくるんです。それを見るのがもう、毎日楽しみで。早くお客様に見てもらいたいワクワクしていました。だからこそ残念で……」

 ただ一方で、生で観てもらえないからこそ、いかに周知するかを考えるようにもなった。

「今年はテレ玉の番組『GGR(REDS TV GGR)』に出演させていただいたり、映像で発信するような機会が増えました。多くの人に知ってもらうきっかけにはなれたかなと。来年に向けた起爆剤になったのではないかと思います」

 すでに東海林氏は来年に向けて動き出している。第3作目を画策中だという。

「とにかく今は映像でしか楽しんでいただくことしかできないので、YouTubeで載せている映像をひとりでも多くの人に見ていただきたい。そして来年の企画も応援していただけたら有難いです」

 東武動物公園は6月1日から営業を再開した。今後状況が落ち着けば、徐々に客足は回復していくだろう。そして来年の春には再び、満開のレッズ花壇の前で、お客さんの笑顔が咲き誇っているはずだ。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)