北海道最大の新型コロナクラスターが発生し、15人の入所者が亡くなった札幌市北区の介護老人保健施設「茨戸アカシアハイツ」だが、そのうち11人は病院に入院できないまま施設で死亡していた。

施設での最初の感染者は60代女性。4月18日(2020年)に発熱し、25日に陽性が確認された。その後28日は70代から90代の14人の感染も判明した。

国の指針は「新型コロナ陽性患者は原則入院」だが、施設の14人はすぐには搬送されなかった。

支援に入った医師「どうしていいか動けなくなりました」

なぜ病院で治療を受けることができなかったのか。札幌市保健所は「原則入院であることは承知しています。搬送時の病状悪化リスクを考え施設内療養と入院療養のどちらが適切か判断しています」と説明する。受け入れが遅れたことについては「GW期間中は札幌市内の受け入れ態勢がひっ迫していた」と回答。さらに、入所者は食事や排泄の介助が必要だが、ひっ迫する医療現場での対応が難しかったという介護施設特有の事情もある。

しかし、母親を亡くした遺族は「7回以上入院要請したがかなわなかった」「命の選別じゃないですか」と悔しさをにじませる。母親が亡くなった5月12日の時点では、石狩管内の重症者用病床32床のうち13床が空いていた。

職員にも感染が広がり、自宅待機や休職が相次いだ。通常70人の職員のうち、残ったのはわずか15人。ご飯が配れず、入浴の介助もできない。業者が入らないため、シーツも替えられない状態になった。

支援に入り、施設で診療した大友宣医師は「防護服を着て入りましたが、災害に似た状況でした。どうしていいのか絶望的で、めまいと息苦しさで動けなくなりました」と当時を振り返る。

ようやく入院が始まったのは集団感染発表から2週間後の5月12日で、それまでに11人が施設内で命を落としていた。

小倉智昭キャスター「介護施設は、資格をもった介護士さんはいるが、病人の世話はほぼできない状態ですよね」

二木芳人(昭和大学医学部教授)「ヨーロッパも高齢者施設で亡くなった方が非常に多い。市中感染に比べて脆弱な部分があるので対策しなければいけないが、どこの国でも後回しになる」

丸田佳奈(産婦人科医)「一回入院すると数週間病床を使うことになる。今後こういうことを起こさないよう、今対策が必要」

文・みっちゃん