開幕戦では73分に交代出場し、初のJのピッチに立った。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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 リーグ再開後に愛媛のキーマンとなるのは18歳のDF、三原秀真かもしれない。プロキャリアはたったの“17分”。しかし、このルーキーは若き大器たる期待を抱かせるだけでなく、世代交代に滞りが見られるチームを活性化させる“起爆剤”としても一役買いそうなのだ。

「走る部分では負けない自信がある。攻撃で突破してからクロスに持ち込むところも自分が武器とするところ。でも、まだまだ足りないと思う部分もたくさんある」

 こう話す三原は、愛媛U-18所属の高校1年時からトップチームで練習参加していたということもあり、すでにプロのスキルと自身を照らし合わせ、何が通用し、何が足りないかは把握済みだ。

 現状、三原のプレーはお世辞にも洗練されているとは言えず、攻守両面において粗削りな感は否めない。トレーニングマッチ等を見てもまだプレーにムラが多い。しかし、そんなネガティブな面も霞ませるのが持ち前のチャレンジ精神だ。ミスを恐れず、全力でトライし続ける姿勢は成長段階の真っ只中にあるこの年代で最も欠かせないものであり、若さゆえのなせるワザ。

「失敗をしたいわけではないけど、ミスから学ぶこともある。チャレンジしていくことが自分のためにもなるし、その先でチームのためにもなる。そこで得られる成功体験は自分にとって大きなもの」とトライ&エラーを繰り返しつつも力強く立ち上がり、常に貪欲に答えを見つけようとしている。
 
 三原は今季開幕戦の松本戦でいきなりベンチ入りを果たし、73分に小暮大器との交代でラスト17分に初のJのピッチに立った。現状では主力格に加わるまでには至っていないが、今回のコロナ禍によるリーグ戦の長期中断は、ある意味、三原にとって追い風にもなるだろう。

 リーグが再開すれば過密日程になるのは必至。加えて、今季はリーグから降格チームがないことも発表されており、監督目線で言えば、より若手を起用しやすいシチュエーションができている。出場機会を喉から手が出るほど欲しているルーキーにとっては、さらに大きくひと伸びするための絶好のシーズンとも言えるはずだ。

 三原は「今季、1試合でも多く経験を積んだ若手と、経験を積めなかった若手では大きな差が出る」と試合に出る重要性を説く一方で「成長するだけの年にするつもりはない」とも話す。ルーキーイヤーだろうが、求めるのは目に見える結果であり、そのうえでは目上の主力組を蹴散らす覚悟も決めている。

 チーム内で最も意識するのは東京五輪代表候補でもある長沼洋一。三原にとって長沼は同じワイドのポジションでプレーするお手本であると同時に強力なライバルにもなる存在だ。

「(長沼が)5個上の代表だから自分は試合に出られないだとか、そんなことを考えるのはプロじゃない。プロならそこを食って試合に出ようとするのが当たり前。逆に洋一君を食っていけば僕が東京五輪に出られるかもしれない」

 三原が順調に成長を遂げ、チーム内での地位を築くことができれば、そこから生まれる副産物もチームには好影響をもたらすだろう。昨季、愛媛が迎えた4人のルーキーはシーズンを通してほぼ試合に絡めない状況が続いたが、チームは今季もさらに4人のルーキーを獲得。くすぶる若手組の才能開花が早急に求められるなか、チーム最年少・三原の台頭は若手組への大きな発奮材料となるに違いない。

「いまの愛媛はベテラン、中堅が中心になっていて、若手がポジションを脅かすことができていない。若手からの刺激がないとチームが上を狙うことは難しい」

 すなわち、今季における三原の成長は個人の成長だけにとどまらず、チーム全体を活性化させることにつながると言っても過言ではないのだ。

「早く再開日が決まってほしい」

 そう、モチベーションのやり場に困っていた状況から、リーグ再開日は“6.27”に決定。猪突猛進するルーキーのチャレンジ・イヤーが再び走り出す。

取材・文●松本隆志

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