チームメイトで現キャプテンの東慶悟も「どんなスタンスで森重選手が(FC東京の)キャプテンをやっていたいかは本人に訊かないと分からないですが、それなりに苦労したはずです。それが今報われているというか、大きな責任を果たしたからこそ森重選手はプレーヤーとしても人間としても成長できたのではないでしょうか」とコメント。石川も「昔はイライラしている時もあったけど、今はまったくブレていないし、悟りをひらいている感じ(笑)」と褒め称えている。
 
 今季のパース・グローリー(ACLグループステージ第2戦)後には、せっかくの機会だからと「森重選手の大人の守備がチームに落ち着きを与えています。すごく上手く守っていますよね」と話しかけてみた。すると、森重は少し笑みを浮かべた表情で次のように答えてくれた。

「いや、もう30オーバーだし、動くとすぐ疲れちゃいますから(笑)。上手く味方を動かして、無駄な動きを減らさないといけない。まだまだ闘志は衰えていないし、頑張りますよ」

 そのコメントで感じ取れた余裕こそが森重の重要な武器なのだろう。

 石川はそんな森重に「お前はもう一回日本代表に行け」と伝えている。「現状に満足してほしくない」と思っているのは羽生も同じだ。

「もっと若手と話したり、彼らに教えてあげたり、声でリーダーシップを取ってもいいと思いますけどね。まあ、僕の知らないところですでにやっているかもしれないけど(笑)。

 最近はサッカー以外のこと(例えば英語の習得)にもチャレンジしている森重。プレーヤーとしても人間としても深みを増すのは、むしろこれからなのかもしれない。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
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