アップルのシェア2位も見える?2020年第1四半期のスマホ市場は意外な結果に:山根博士のスマホよもやま話

2020年第1四半期(1月〜3月)のスマートフォン出荷台数は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け前年同期を大きく下回っています。カウンターポイントの調査によるとこの減少は2014年第1四半期以降初めてとのこと。外出ができないだけではなく小売店の営業停止になる国も多く、ネットショッピングはできてもオンライン販売だけでは実店舗の売り上げダウンをカバーすることは難しいのでしょう。

ではスマートフォンの出荷台数はどれくらい落ち込んでいるのでしょうか。カウンターポイントによると第1四半期の出荷量は2億9490万台で前年から13%のダウン。中でも中国は26%のダウンと大きな影響を受けています。

メーカーごとの影響を見るとサムスンが19%ダウンと影響を大きく受ける一方、アップルは5%ダウンと踏みとどまっています。またシャオミは7%アップと上位メーカーの中で唯一影響を受けずに成長を続けています。

各社のシェア順位を見ると、サムスンが20%で1位は変わらないものの、2位のファーウェイ(Honor含む)が17%とかなり肉薄しています。またアップルも14%でファーウェイの後にしっかりついています。

2019年第1四半期を見ると(グラフの形が横向きなので比較しにくいのですが)、サムスンと2位以下の差は大きく離れていました。なお2019年はファーウェイにHonorが含まれていないため、2020年のグラフと比較するならファーウェイの数字は1%ないし数%高まります。それでもサムスンとの差はまだまだ大きいでしょう。

アップルはサムスンとシェア争いをしているように見えますが、毎年9月に発表される新型iPhoneが好調のため、第4四半期(10月-12月)は好調な売り上げを記録します。2019年の第4四半期もカウンターポイントの調査を見ると、サムスンと並ぶ1位になっています。しかしそれ以外の四半期は一気に売り上げが落ちるのがここ数年の傾向。そのため、通年のシェアではファーウェイに抜かれて3位に留まっているのです。

しかしこの世界的な危機の中、主力マーケットが先進国であるにもかかわらず出荷台数減を最小限に抑えたところにアップルの強さがあります。不要不急なものは買わず、必要なものだけを選択する、その中にアップルの製品が選ばれているということは、信頼とブランド力の高さを改めて証明したということになるでしょう。

アップルは3月にこれまでは考えられなかった低価格な新製品「iPhone SE 2020年モデル」を発売しました。現在ハイエンドモデルを使っているユーザーがこれに買い替えることは無いでしょうが、古いiPhoneを使っているユーザーの買い換えを一気に促すことができます。性能比でいえばシャオミなど中国メーカーのより低価格なモデルがカメラスペックなどで上回っているものの、iPhone 6や7をいまも使い続けているユーザーがAndroidに乗り換えることは考えられません。

iPhone SE 2020は毎年iPhoneを買い替えるようなユーザーではなく、使いやすさから同じiPhoneを使い続けてきたユーザーたちを一気に買い替えさせる力を持っています。中国では4月に入りiPhoneの売り上げが回復し、iPhone SEが全体の1/4に達したとの情報もあります。このペースで行けば第2四半期は引き続き出荷台数ベースでのシェアを維持し、例年の落ち込みをカバーできるかもしれません。ちなみに2019年、2018年第2四半期のアップルのシェアは10%程度でした。

ファーウェイは海外市場で苦戦を強いられています。ドイツで1年前の製品を「P30 Pro New Edition」として再投入するなど、GMS(Google Mobile Serivces)対応のハイエンドモデルを今でも販売することで海外でのプレゼンスを維持している状況です。その一方、中国国内では巨大な旗艦店を次々とオープンさせ、しかもハイエンドから超低価格まで5Gスマートフォンを毎月のように投入しています。

中国の第1四半期のファーウェイのシェアは過去最大となる41%に達しました。2位Vivoが17%で、2位との差も過去最大に広がっています。ファーウェイは中国の消費者の5G端末への買い換えブームに乗じて販売数を伸ばすことで製品開発を続け、GMS問題が解決するまでの時間を稼ぐことで生き残りを図ります。しかしアメリカの動き一つでかじ取りが大きく左右されるため、予断を許さない状況が続きます。

サムスンは年々シェアを下げていますが、その地位を脅かしているのはアップルではなく中国メーカーです。折りたたみ端末を出すなど最新技術の開発を続けつつも、数が稼げる中低位機種の底上げも行わねばなりません。特に2020年に入ってから中国メーカーが低価格な5Gスマートフォンを次々と送り出す中で、Galaxy Aシリーズの5Gモデルも拡充しなくてはならないでしょう。韓国では「Galaxy A51 5G」を57万2000ウォン(約5万円)で投入しましたが、今後は「Galaxy A41」など下のモデルの5G対応も必須となるでしょう。

5Gスマートフォンは3Gや4G時代のように「ハイエンドモデルから対応」ではなく、いきなり普及価格帯の製品も登場しています。5Gスマートフォン=ハイエンド、という考えでは中国メーカーに勝てません。2019年にフルモデルチェンジしたGalaxy Aシリーズを2020年はどう展開していくのか、これがサムスンの今後の動きのポイントになります。

5Gスマートフォンは2020年第1四半期に約2000万台が出荷されました。2019年第4四半期が約400万台ですから、5倍も伸びています。COVID-19の影響の中でこれは明るいニュースでした。

2020年も下半期を迎えようとしています。年内には5G対応のiPhoneも出てくるでしょうし、サムスンや他社から新たな折りたたみスマートフォンも登場するでしょう。COVID-19の影響はまだしばらく続くかもしれませんが、スマートフォン市場は引き続き多くの話題を提供してくれそうです。

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