李氏はグループ傘下2社の合併とグループ経営権継承を巡る不正への関与が疑われている(コラージュ)=(聯合ニュース)

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【ソウル聯合ニュース】韓国のソウル中央地検は29日午前、サムスングループの経営トップ、李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長を再度呼び出して聴取している。2015年のグループ傘下2社の合併とグループ経営権継承を巡る不正疑惑に関し、当時グループの司令塔だった未来戦略室(現在は廃止)への指示・報告内容を引き続き調べている。

 李氏は26日にも検察に出頭し、17時間におよぶ聴取を受けた。その際はこうした疑惑に関し「報告を受けたり指示したりした事実は全くない」と供述したとされる。

 検察は、15年のサムスン電子と第一毛織の合併と、その後のサムスンバイオロジクスの会計基準変更が李氏の安定的な経営権継承を目的としていたとみている。不正が疑われる行為の企画・実行者を突き止める一方、李氏を頂点とするグループ首脳部がどこまで報告を受け、指示を出していたかを探る考えだ。

 捜査の発端となったのは、第一毛織の子会社だったサムスンバイオロジクスの会計基準の変更だ。2018年11月に金融委員会の証券先物委員会はこれを粉飾会計疑惑として告発し、検察が捜査を開始した。検察は、サムスンバイオロジクスの財務状況がサムスン物産と第一毛織の合併に支障を来さないよう、両社合併後にサムスンバイオロジクスの会計基準が不当に変更されたとみて、グループ経営権継承に絡む事件として捜査を拡大した。

 一方、サムスン物産と第一毛織の合併は約3対1の株式交換比率で行われ、サムスン物産を社名とし、持ち株会社の役割を担うことになった。第一毛織の23.2%の株式を保有していた李氏はサムスン物産の株式を十分に確保することでグループ支配力を強めた。この株式交換比率については、意図的にサムスン物産の株価を下げる一方、第一毛織の企業価値を水増しした疑いがもたれている。