斎藤さん(仮名・35歳)は美容師でありながら、美容院を運営する会社の取締役でもあります。斎藤さんに営業を続ける理由を伺うと、「事業を継続するため」との切実な回答が。

「美容室の形態上、お客様に来店していただき、お金を頂かないかぎり経営は成り立ちません。お客様のニーズがあるから、というのはもちろんですが、それは表面上なのかなと思います」

 斎藤さんは「行政に関しては、特別意見はありません」とした上で、コロナ禍で売り上げは右肩下がりだと語ります。

「実際、おおよその店舗では4月が前年比50%、よくて70%を割っています。5月も同様だと思います。これを回収するには超繁忙月の12月を5回以上繰り返さないとペイできない計算です。無理ですね(笑)。美容室の形態だけでは今後生き残れない可能性が大きいです」

 従来の美容室の形態では、客とスタッフが対面するのが普通。しかしコロナ禍の中、オンラインでいろいろな工夫がなされています。

「今後、自社でECサイトを立ち上げてサービスを提供したり、SNSやYouTubeを活用していく美容室も増えていくと思います。すでに、ECサイトで『30分の髪のお悩みカウンセリング』や『前髪カット講座』などを売り出して、Zoomを活用している美容師さんもいます。そういった流れは、今後強くなっていくはずです」

 コンテンツを有料にしたり、無料で顧客との繋がりを維持する手段にしたりと、オンラインにはまだまだ可能性がありそうです。

「まだ店舗には行けないけど、お気に入りのお店を応援したい」という人は、オンラインで美容院を利用するのも手。また、美容院の“前売りチケット”をオンライン販売しているサロンもあります。

 1日の感染者は徐々に減少し、5月25日、緊急事態宣言はついに全面解除されました。これからの美容業界は、営業形態を含めて変わっていくことでしょう。日本にいる以上は政府の充実した対応を求めたいところですが、「国に頼ってはいられない」というのも事実のようです。

<取材・文/増村ゆかり>

【増村ゆかり】
美容ライター。コスメコンシェルジュ資格保有。美容・ダイエット・健康予防・メンタルケアなどの記事を執筆。