3歳牡馬クラシックの第2弾、GI日本ダービー(東京・芝2400m)が5月31日に行なわれる。

 今年は、第1弾のGI皐月賞(4月19日/中山・芝2000m)を4戦無敗で制したコントレイル(牡3歳)が本命視され、同2着のサリオス(牡3歳)が有力な対抗馬と見られ、この「2強」の争いといった見方が強い。

 とはいえ、コントレイルと同様、無傷で一冠目を手にしたサートゥルナーリアが昨年、断然の人気を背負いながら4着と敗戦。波乱のダービーとなったことは、記憶に新しい。

 また、過去10年の3連単の配当を見れば、半分の5回が10万円超え。一昨年には、200万円超えの超高配当が飛び出すなど、ダービーは思いのほか”荒れる”レースなのだ。

 では、今年はどうか。

「やはり”2強”が抜けていると思います」と言うのは、スポーツ報知の坂本達洋記者である。

「GII青葉賞(5月2日/東京・芝2400m)を勝ったオーソリティが故障してしまい、ほかのトライアルを含めて、別路線からもこれといって目立つ馬が出てきませんでしたからね」

 既存勢力との勝負づけは皐月賞で済んでおり、新興勢力にも際立った存在がいない、というのが坂本記者の見解だ。これには、日刊スポーツの太田尚樹記者も同意。「コントレイルは、アラ探しをするのが、難しい存在ですよね」と語る。

 それでも、両記者ともに「今年も”第2のロジャーバローズ”がいるかもしれません」と口をそろえ、昨年のレースで逃げて波乱を起こしたロジャーバローズのような、ダークホースの台頭に微かな期待を寄せる。

 そうして、坂本記者はまず、今の東京競馬場の馬場傾向を分析する。

「今週から芝はCコースを使用するので、まだまだ内が伸びる馬場で、高速馬場の傾向が強いと思われます。先週のオークスも、勝ったデアリングタクトは別格として、2着のウインマリリンと3着ウインマイティーは、4角4番手から粘り込んでいますし、関係者の話を聞いても、前が有利であることは明らか。その流れは、ダービー当日も変わらないのではないでしょうか」


ダービーの舞台となる東京コースとの相性がいいビターエンダー

 そこで、坂本記者が目をつけたのは、ビターエンダー(牡3歳)だ。

「前走のオープン特別・プリンシパルS(5月9日/東京・芝2000m)を勝って、中2週での参戦となりますが、レース後の疲れからはうまく回復。5月24日にも美浦のWコースに馬場入りして、活気ある雰囲気を見せていました。

 皐月賞は14着に敗れましたが、東京コースは4戦2勝、2着1回、3着1回と相性は抜群。コース替わりは、間違いなくプラスになるはずです。

 そして、何よりの魅力は、安定した先行力と、長い直線で踏ん張りが利くスピードの持続力。逃げ馬不在のメンバー構成で、『前目で粘って……』というイメージが膨らみます。

 同馬を管理する相沢郁厩舎の荒木健太郎助手が、『(ビターエンダーは)乗りやすく、折り合いにも問題がないので、距離は心配ない。操縦性の高いところがいいところ』と言うように、初の2400mもこなせると思います。

 さらに、プリンシパルSの翌日に落馬負傷して戦列を離れていた主戦の津村明秀騎手が今週から復帰。ビターエンダーの特徴を手の内に入れている鞍上が戻ってきてくれたことは、心強い限りですね」

 坂本記者はもう1頭、GIIIきさらぎ賞(2月9日/京都・芝1800m)を勝っているコルテジア(牡3歳)に注目する。

「きさらぎ賞は、好位3番手から力強く抜け出して勝利。その時と同じく、本来の先行力を生かせる形になれば、波乱の使者になれるかもしれません。

 皐月賞では、3番枠から内の荒れた馬場を走らされたからか、うまく前に進んでいかず、後方からの競馬を強いられました。それでも、最後の直線ではごちゃつきながら、もうひと伸びししているように、7着という結果が本当の実力ではないと思います」

 一方、太田記者は、ヴェルトライゼンデ(牡3歳)を推奨する。

「皐月賞(8着)は、やや重の馬場にノメって、力を出し切れないものでした。重馬場の新馬戦を勝っているので、『道悪OK』と思われがちですが、理想は持ち前のキレが生かせる良馬場です。前走は度外視していいでしょう。

 昨年のロジャーバローズは、前哨戦のひとつであるGII京都新聞杯(2着。京都・芝2200m)のあと、馬がガラッと一変したんです。それと同じく、ヴェルトライゼンデもここに来ての上昇度が魅力です。

 同馬を管理する池江泰寿調教師も、『ダービーから逆算してきて、思ったとおりに仕上がりそう。馬がしっかりしてきた』と、さらなる上積みを見込んでいます。菊花賞馬ワールドプレミアの半弟で、距離延長も歓迎のクチです」

 太田記者ももう1頭、気になる馬がいると言う。

「サトノインプレッサ(牡3歳)です。コントレイルと同じ矢作芳人厩舎所属で、『2頭出しの人気薄』という点では、昨年のロジャーバローズと同じ立場にありますね。

 前走のGI NHKマイルC(13着。5月10日/東京・芝1600m)で初黒星を喫しましたが、前残りの展開に泣かされたもので、決して力負けではありません。矢作調教師も『(NHKマイルCは)外枠を引いて、ノーチャンス。あまりにも不完全燃焼』と振り返っていました。

 一気の距離延長など課題は多いですが、徐々に体質も強くなってきていますし、未知の魅力にあふれています」 先週のオークスでは、デアリングタクトが無敗で二冠を達成した。それに続いて、今週はコントレイルが5連勝で二冠を成し遂げるのか。それとも、昨年と同様、思わぬ伏兵があっと驚く激走を見せるのか。春競馬のクライマックスとなる頂上決戦から目が離せない。