あなたはどこで観る? 競技のベストな観戦ポイントを思考する
大会一番の目玉、陸上男子100mも、現地観戦向きというより、テレビ向きだ。北京五輪で、ウサイン・ボルトが9秒69の世界新記録(当時)を出した瞬間に立ち会っているが、速すぎてよく分からなかったと言うのが、正直な感想だ。観戦していたポイントは80m付近。隣は記者席というかなりよい観戦環境だった。だが選手が通過した次の瞬間、僕は、本能的にスタジアムの大スクリーンに目を凝らしていた。
どこで観戦するべきか、最も悩むのは、ダウンヒル(滑降)だ。スタート地点とゴール地点の標高差はおよそ1000m。時速は100キロを超えることもある。ゴール前にいれば、選手が次々とゴールするので、誰が何秒で滑ったか即座に分かる。しかし、それでは面白くないというか、ダウンヒルを観戦した気にならない。雪山を猛スピードで滑り降りてくる選手の、ダイナミックなアクションを実際に見たいとなれば、上の方に登るしかない。ただ、ここだという場所に辿り着ける保障はない。観戦場所が無限にあり過ぎて、逆に困ってしまう。
テレビ観戦に向いた競技と言われればそれまでだが、同じテレビ向きでも卓球より夢のある話だと思う。
ゴルフもダウンヒル的だ。ゴルフ場は広い。観戦ポイントはごまんとある。その中からどこを選ぶか。
僕が知りたいのは、すべての競技のベストな観戦ポイントだ。どこで見るのが通なのか。どこが特等席と言えるのか。現地ではなくテレビ、お茶の間であったとしてもいいと思う。それを知れば、それぞれの競技の魅力や真髄はより鮮明になる。僕はそう思うのだ。
外部サイト
スポーツライター杉山茂樹氏の本音コラム。