婚活をしても、なかなか結果が出せない人たちの共通点とは?(写真:shimi/PIXTA)

4月7日に緊急事態宣言が発出されて、婚活市場は、オンラインお見合いやオンライン婚活パーティーへと様変わりしていった。そして、ようやく緊急事態宣言が解除され、対面お見合いをする動きも出てきている。大勢集まる婚活パーティーはまだ難しいが、少しずつ以前の体を取り戻しつつある。

毎回1人の婚活者に焦点を当てて、苦労や成功体験をリアルな声と共にお届けしている「仲人はミタ」であるが、今回は番外編。お見合いをしても、なかなか結果が出せない人たちの事象と原因を考える。これから婚活に本腰を入れようと思っている人たちは、ぜひ参考にしていただきたい。

選ぶことばかりを考えて上から目線に

結婚とは、どういうときに成り立つのか。


この連載の一覧はこちら

これは、とてもシンプルなことだ。“選ぶこと”と“選ばれること”が、イコールになったときに成り立つのだ。ところが、それに気づかず、選ぶことばかりを考えている人たちがいる。

斉藤芳雄(仮名、40歳)は、身長181センチ、スラリとした痩せ型で、有名私立大学を卒業後、大手企業に勤める年収900万円のエリートだった。

私の相談所に入ってからは半年だが、その前にも大手結婚情報センターで7年間の婚活をしていたという。条件がいいし、お見合い写真が驚くほどよく撮れていたので苦労することなくお見合いが組めていた。

しかし、お見合いをしてもお断りされることが多く、交際になったとしても、1〜2度食事をすると、“交際終了”が来ていた。

あるとき、知り合いの相談室から38歳のぽっちゃりめの女性を紹介された。私が、「親しくしている仲人さんの会員さんよ。ものすごく性格のいい女性なんですって。お会いしてみたら?」と言うと、芳雄が言った。

「今は38歳ですけど、3カ月後には39歳になりますよね。子どもを授かることを考えると、やっぱり年齢は35歳までがいいなと思っているんです。実際サイトでは、35歳以下の方と組めていますしね。あと、太めの女性は好きじゃないんです。申し訳ないのですが、お見送りをさせてください」

確かにお見合いは組めている。でも、それがなぜ交際や結婚につながらないのか。

まずあげられる原因は、写真と目の前に現れた本人とに、乖離がありすぎることだろう。お見合い写真は、お見合いが組めるかどうかの呼び水なので、かなり盛ってきれいに撮るのは暗黙の了解事項だ。これは婚活をしている人なら、誰もが知っている。しかし、別人だと思われたときに、そのマイナスをプラスに変えるテクニックが必要だ。

女性の場合は、とにかく明るい笑顔で楽しく話ができること。男性の場合は、女性を飽きさせない会話をすること。そして、男女ともに大切なのは、相手の話には共感することを念頭に置いて、会話を進めていくことだ。

相手の心をつかむコミュ力に自信のない人は、実物とあまりにも乖離しているお見合い写真は使わないほうがいい。

芳雄のお見合い写真は彼の持ち込み写真だったので、それを指摘しながら、「お写真、撮り直しましょうよ」と提案したことがあった。すると、彼は言った。

「いや、僕はこの写真でいいです。気に入っているので」

お見合いが組めるので、そこには問題を感じていないのかもしれない。

また、スペックのいい男性は、どうしても話が上から目線になりがちだ。芳雄がそうだというのではなく一般論だが、お見合いのときの会話にしても、自分の仕事がどのくらい忙しくて大変かをとうとうと話したり、社会や政治の情勢を自分目線で分析したりする。コロナの話題にしてもしかりで、日本政府のやり方や見識者の意見を批判する。さらに、自分の趣味の話を楽しそうに語り続ける人もいる。

そんな話をされても女性はまったく興味が持てないし、楽しくないし、上から目線の男性を結婚相手に選ばない。結婚して“家庭”という小さな社会を築いたときに、女性を見下したり、批判したりするのを感じるからだ。

もう1つ選ばれない原因を挙げるなら、やたらとお金に細かい人だろう(芳雄は、その点例外だが)。これは、男性に多いのだが、「ホテルのコーヒーって、たいしておいしくないのに、1500円は高いですよね」「ここの店のパスタは〇〇円だけれど、どこどこに行けば、この半額でおいしいパスタが食べられる」など、何かにつけてコスパの話をしてくる。そして、こういう男性は、どんなに年収が高くても割り勘主義だ。

お断りばかりされている人は、お断りをされる原因があるはずだ。そこをもう一度自身で振り返り、掘り下げ、改善してみてほしい。

「また声をかけられて」と、モテ自慢の女性

藤田洋子(仮名、35歳)は、身長162センチのスレンダーな色白の美人だ。半年前に入会した。

入会面談のときに、こんなことを言っていた。

「今友達の紹介で合コンをしたり、婚活アプリに登録したりして婚活をしているんですが、なかなか結婚したい相手に巡り会えないんです。私は男性を見る目がないのかなぁ。なので、結婚相談所に入って、もっと真剣に婚活をしたいと思っています」

私は、婚活アプリを決して否定するつもりはない。会員で結婚相談所とアプリを並行して使い、アプリで出会って幸せな結婚をした人たちもいる。また、登録者数を見ると、アプリは結婚相談所の約10倍の人数がいる。

ただアプリで婚活し結婚する場合は、異性を見る目が相当養われていないと難しい。

アプリは値段が1カ月数千円と安いし(女性は無料のものも多い)、独身証明書、収入証明書などの公的書類の提出も義務付けられていないから、手軽に登録できる。手軽な分、結婚相手というよりは遊び相手を探している輩もいるし、パパ活女子もいるし、既婚者が紛れ込んでいることもある。

入会のときに、婚活アプリのこうした特性を洋子には話した。

「そうなんですよね。初めてのデートでホテルに誘われたこともありました。そういう人はまったく相手にせずに帰ってきましたけどね。やっぱり誠実な方と出会って、結婚したいです」

そしてスタートしたお見合い婚活だったが、彼女はなかなか申し込まれたお見合いを承諾しようとしなかった。また、年収のいい年下にばかり申し込みをかけるので、受諾されることはなかった。

さらに面談で会うたびに、私に婚活アプリで出会った男性の相談をしてきた。その男性たちは、決まって年下か同い年。結婚相談所のサイトから申し込んでくる男性は年上ばかりだから、ピンとこなかったのかもしれない。

「この人、どう思います?」

アプリでマッチングした30歳のジャニーズ系男性の写真を私に見せて、言った。

「この間一度ご飯を食べたんですけど、割り勘だったんですよね。でも、5つ下だから、仕方ないのかなぁ。私、30歳を過ぎてから付き合うのはいつも年下なんですよ」

「年下とばかり付き合ってきた」という30代、40代の女性は多いのだが、それで現在が独身ならば、年上に目を向けてみるのも1つの方法だ。人としての魅力に年齢は関係ない。年上でも素敵な人は、いっぱいいる。

また、こんなことも言った。

「この間、友達に誘われて合コンに行ったら、3人の男性から『LINE交換しよう』って言われたんです。そのうちの1人は私もいいなと思ったので、今度ご飯を食べに行ってみようかと思っているんです」

これもモテる女性からよく聞く話だ。「合コンに行ったら、こんな男性に連絡先を聞かれた」「どこどこを歩いていたら、声をかけられた」「元カレからいまだに連絡がくる」などと、いつも男性から声をかけられている。しかし、それが結婚につながらない。

多くの男性にモテるのではなく、たった1人の男性に選ばれる。それが、結婚できる女性だ。

連絡はいつも相手からの“待つだけタイプ”

私の会員である井川清美(仮名、36歳)は、大林真人(仮名、40歳)と交際に入り、2カ月が経った。交際の様子を聞こうと思っていたときに、真人の仲人から連絡が入った。

「彼にしては、珍しくマメに連絡を取り合っているみたいなんですよ。『井川さんは明るくて、話をしていても本当に楽しい』って言っています。このまま結婚につながればいいなと思っています」

その話を聞いて、私も清美に連絡を入れてみた。

「大林さんのお仲人さんから、お電話をいただいたの。交際は順調そうね。『マメに連絡を取り合っていて、清美さんと話をしているととても楽しい』って、おっしゃっているそうよ」

こう言うと、清美は言った。

「マメにと言っても、週に2回くらいですよ。連絡を入れるのはいつも私からです。LINEを送ればすぐに返信が来るんですけど、彼から率先して連絡が来たことはありません」

真人は、大手企業に勤めていて、年収は870万円あり、結婚するにはよい条件の相手だった。

清美は続けた。

「高学歴で年収が高いのに独身のまま40歳を超えてしまった男性って、恋愛経験がない人がほとんどなのだなって、この活動をして知ったんです。でも、プライドは高いから、話しているとどうもマウントを取ろうとする。自分のルールを押しつけてきたり、自論を展開したり。でも、大林さんはそういうところがないし、自分では動けない人だけれど、会って食事をして話していると楽しい。だから、私から連絡を入れるようにしています」

さらに言った。

「私、婚活をして2年半になるじゃないですか。お見合いも60回近くやって、男性が自分から動かないから残っているというのもわかった。大林さんもそういうタイプだけれど、会っていて嫌なところがないし、もうそろそろこのへんが決め時かなって思っています。ただ私が頑張りすぎると疲れちゃうので、頑張りすぎないようにしています」

恋愛経験のない人、少ない人に“待つだけタイプ”は、とても多い。なぜ、自分から連絡を入れないのか。男性の場合は、「入れるタイミングがわからない」と言う。女性の場合は、「連絡は男性からしてもらうもの」と言う。結局はやったことがないので、相手から来る連絡をひたすら待ってしまう。

待つだけタイプの人に、「婚活においてのLINEは、連絡ツールではなく、コミュニケーションツールなんですよ」と言っても、響かない。というよりも、コミュニケーションツールとして使うことは、ハードルが高いのかもしれない。

清美主導で付き合いが進んでいた2人だったが、4月は緊急事態宣言の発出とともに、不要不急の外出が自粛となった。

5月に入り、大林の仲人から連絡が入った。

「4月は、まったく井川さんとお会いしてないようです。『将来のパートナーの女性と会うことは、不要不急の外出ではないわよ。でもあなたが車で井川さんをお迎えに行って、風通しのいい公園のような場所で、2時間くらいベンチでお話ししたらどう?』ってアドバイスしたのだけれど、『会社での立場もあるし、僕が感染者になるわけにはいかないから』と言って聞かないんですよ。本当にまじめで頑固で嫌になってしまう。こんなに放っておいたら、井川さんにフラれてしまいますよね。井川さんのお気持ちは今どうですか?」

この連絡が入ったことを清美に伝えた。

「まあ、そのまじめなところが彼のいいところですから。またお会いしたときに、いろいろ話をしてみます。そのとき、自分の正直な気持ちで、今後お付き合いするかどうかを決めていきます」

待つだけではなく自分から動く努力も

清美のような女性は婚活市場には少ないので、待つだけタイプの男性は、お見合いを繰り返しながらも、交際が長続きせず、結婚できないまま年齢を重ねてしまう。待つだけタイプの女性は、彼女をとことん気に入ってくれる押しの強い男性に巡り合えれば結婚できるが、そうした男性を女性側が好きになることは少ない。

婚活をするというのは、どういうことか。

それは、婚活市場に自分を棚卸しすることだ。“独身”という商品はたくさん並んでいる。いったん手に取ってもらったとしても、努力をしないで、ボーッとしていたら、棚に戻されてしまう。選ばれる努力をしている人に負けてしまうのだ。

待つだけタイプの人は、自分から動く努力もしてほしいと思う。