Jミルクは27日、2020年度の生乳生産量と牛乳・乳製品の需給見通しを発表した。全国の生乳生産量は前年度比1・4%増の746万トンで、2年連続の増産を見込む。しかし、飲用の最需要期である夏場は、例年と異なり学校給食向け牛乳(学乳)の需要が見込まれる。Jミルクは「都府県を中心に夏場は逼迫(ひっぱく)感が強まる」とみる。

 生乳生産量は1月の前回予測値より0・1ポイント下方修正した。地域別では北海道が3・2%増の422万トン。乳牛頭数が増加しており、生産の主力となる2〜4歳頭数が直近5年間で最も多くなる見通しだ。都府県は0・9%減の324万トン。これまで減少していた2〜4歳の乳牛頭数が下期に増加傾向になり、減少幅は前年度から0・4ポイント縮小する。

 今回は、新型コロナウイルス禍で需給動向が不透明なことから、生乳生産量以外は上期(4〜9月)分に限った見通し。

 牛乳類の生産量は、前年比1・6%増の246万キロリットル。4、5月は前年割れだが、学乳が開始される6月に回復し、7〜9月は前年超えで推移する見込み。学乳は7月が前年同月比1・5倍の3万8000キロリットル、8月が同3・4倍の2万キロリットルと、異例の事態を想定する。発酵乳は、免疫力の強化など機能性への注目が高まり、上期計で前年比9・3%増の57万キロリットルとした。

 都府県を中心に、夏場は飲用向けの供給が追い付かなくなる恐れから、道外移出量は前年比8・5%増の31万トンとなる。特に7、8月が例年以上に多くなる。

 脱脂粉乳とバターの期末在庫量については、脱脂粉乳が前年比15・2%増の7万8200トンと、過去最多水準となっている。業務需要が落ち込むバターも同33・5%増の3万6400トンと、大幅に増加する見通しだ。

 Jミルクは「コロナ禍で懸命に対応を準備している」と、関係諸団体との連携を模索する。